商標の調べ方

京都機械の"二重丸京"を発見!

 

商標登録されていることが分かっているのに検索サイト/J-PlatPadでは探せない場合が戦前から戦後10年に掛けて多くあり、困っていました。

試行錯誤の結果、調べる方法を確立できました。

例えば、これまで『登録されていない訳が無いのに』と思っていた京都機械/一重丸京  の商標を見つけることが出来ました。

さらに、その京都機械が登録した二重丸京  まで見つけてしまいました。(KTCが二重丸京を登録した5年後)

また、TONE  が戦前から商標登録されていたことも確認できました。

その検索方法について京都機械とTONEを例にして前半で解説します。

また、後半で通常の商法検索方法であるJ-PlatPadの使い方も解説します。

 

1.戦前~戦後10年の調べ方

昔の商標は、J-PlatPadで探すことが出来ないことが多いため、これまで偶然に頼って見つけてきましたが、京都機械の一重丸京を探していく過程でその探し方を確立させました。

その方法を解説する前に、まずは探し当てた成果から。

 

『京都機械の一重丸京は商標登録されているはずだ』と思いながら、3年間探し続けていましたが、1950年9月13日に出願されているのをついに見つけました。

一重丸京のロゴ自体は、戦前の1940年頃から海軍向け工具用としてゼロ戦スパナ等に打刻されていましたが、商標としては戦後になってからの登録です。

KTCが創業した同年8月2日のすぐ後に出願されていますので、京都機械の対抗意識を感じます。

なお、KTCの二重丸京は、京都機械/一重丸京から1ヶ月遅れの同年10月16日に出願されています。

・この1st商標は戦前から使われてきた実際のロゴとは字体が異なっていて、後述の2nd商標の方が実際に近くなっています。

・1st商標が製品や外箱、公告等に使われた実績は見つかっていません。

・使用実績も無く、その後も使われないロゴを何故最初に登録したのか不明です。

↓実際のロゴ…左から戦前のゼロ戦、戦後のスパナ、ホルダー、外箱

 

古い商標の探し方を確立できたと思ったら、いきなり物凄いのを見つけました。

KTCでは無くて、京都機械(株)の二重丸京。

最初の一重丸京登録から5年後の1955年に京都機械が2ndバージョンの商標を2つ出願しています。

この中に二重丸京が入っていて、びっくりです。

KTCの二重丸京  は漢字の"工"をデザインしているので、二重丸の上が開いていて、さらに下がつながっています。

一方で、京都機械の二重丸京  は完全な二重円になっています。

二重丸京はKTCが5年早く登録していて、京都機械が同じような二重丸京を後から登録していることに驚いてしまいます。

もっとも、元々は京都機械の一重丸京に似たデザインの二重丸京をKTCが登録したことに始まった話ではあります。

但し、下に掲載のように京都の会社が屋号/商標として"丸京"を使用するのは良くある話ですので、KTCが一重丸とは異なる二重丸で商標登録したことに違和感は感じません。

なお、KTCが創業した1950年5月の翌月からトヨタトラックに納められていた車載スパナが京都機械からKTCに切り替えられ、その時からKTCは二重丸京を採用しています。

全く同じ形状のスパナでの切り替えでしたので、トヨタ自動車が大きな差が発生するのを嫌い、似たロゴにするように要請した可能性もあると考えています。

それにしても、KTCを追従して京都機械が二重丸京を登録しなくても良いのではないかと思ってしまいます。

ここでも京都機械がKTCに対抗心を持っていたことが窺えます。

なお、京都機械が商品や広告に二重丸京を使った形跡は無く、使用実績は無いようです。

 

↓京都機械は、2つめの一重丸京と、完全二重円の二重丸京を1955年に同時出願。

 

 

↓KTCの二重丸京(1年ほど前に他の商標を探していて偶然見つけました)

 

調査の過程で別会社の一重丸京も見つけました。

京都機械とKTCも含めて現在までに27件の商標"丸京"が見つかっています。

3年間も探し出せなかったのに、方法を確立させたら一気に他の会社の"丸京"まで沢山探し出せた次第です。

この27個の"丸京"を見つけたことが、私の検索方法が正しかったことの証だと思っています。

↓1924年~1953年+京都機械1955年2つ+KTC2001年(11件)

↓1953年~1970年(8件)

↓1996年~現在(8件)

 

1)古い商標の探し方(戦後/京都機械の例)

(1) 『文字商標集』を国会図書館デジタルで閲覧(無料のID登録要)

・『文字商標集』(1~4巻)…1953年発刊、戦前1935年から戦後1953年までに登録された商標の"商標名"と"登録番号"だけを類別順に記載。

・国会図書館デジタルで閲覧可能であり、アプリ内で検索が出来ます。

・京都機械は創業1938年なので、商標が登録されていれば、この商標集の掲載範囲。

 

(2)『文字商標集』から商標名で検索(例…"京")

・『文字商法集』内を"京"で検索 ⇒ 100件以上がヒット。(東"京"なども含む)

※後で分かったことですが、この"京"100件以上の中にKTC/二重丸京が第7類で登録されていました。

・"京(マル)"での登録が複数あることを確認。←重要ポイント

・"京(マル)"で検索 ⇒ 11件がヒット。(まだ多い)

・この時代の工具は、第19類/農工機具で登録するのが基本のため、第19類で検索 ⇒  "キ"のページに"京(マル)"が1件。

・第19類/工具の"京(マル)"であることから、高い確率で京都機械の一重丸京だろうと推察できます。(但し、国会図書館資料ではこれ以上は調べられません)

↓第19類(第2巻)、"キ"のページ

 

(3) 特許庁で公告番号を調査

・戦前から戦後10年(~1955年頃)の商標は、広告番号でしか管理されていない場合が大半のため、公告番号が分からない限りJ-PlatPadでの検索が出来ないことが多く、登録番号から公告番号を調べる必要があります。

※1921年法により平成9年/1997年までは出願と登録の間に公告があり、その公告番号をキーにして商標を管理しているのに、初期の『文字商標集』には登録番号しか掲載されておらず、商標検索を難しくさせている根本原因です。

・特許庁の公報閲覧室で商標の登録内容を紙の一覧表で保管していますので、これを1ページ毎に見て調べます。(実際には紙資料の画像ファイルをPCで閲覧)

・これが唯一の調査手段です。

・件数が少なければ電話での確認に応じて貰えますが、訪庁して閲覧するのが原則ですので、確認件数が多い場合などは特許庁(霞ヶ関)へ行く必要があります。

(公報閲覧室の利用でも地下駐車場は無料でした)

 

・特許庁で閲覧した以下の紙資料より、京都機械『一重丸京』候補の登録番号"402974"は、昭和26年の公告番号"7289"と分かりました。

 

↑商標一覧…京都機械の『一重丸京』候補

※特許庁が紙で管理している登録番号をキーにした商標一覧

 

(4) J-PlatPadで検索

・これでやっと商標検索のJ-PlatPadが利用できます。

J-PlatPadの『簡易検索』で、"S26-7289"と検索。(Sを忘れるとエラーに)

※S26-7289…昭和26年、公告番号(または出願番号)7289

・出願と公告、登録番号の3つが表示されますので、入力した公告番号をクリック

・推測通り京都機械の一重丸京が表示され、ビンゴでした。

 

全ての工具が第19類で登録されているわけではありませんので、仮に第19類/工具の"京(マル)"が京都機械では無かった場合は、検索対象を第19類以外の"京(マル)"10件、さらには"京"100件に拡大させて行く必要があります。

なお、1955年以降は、『文字商標集』に登録番号と共に公告番号も併記されていますので、特許庁での調査は不要となり、簡単に公告番号が分かります。

 

ちなみに、一重丸京  は全部で8件が登録されていて、京都機械とKTC以外は、大正13年以降が6つ、大正13年以前は3つ。

大正3年以降の6つは、以下の公告番号/登録番号になっています。

S6-9213/232375、S11-909/277838、S14-766/326882、S25-13723/395955、S26-3049/400953、S26-8301/406444

J-PlatPadの簡易検索を使いこの公告番号で検索すると、6つ共に  であることが確認できます。

← 京都機械 ← KTC

さらに、『文字商標集』5~21巻(1955年~1971年)でも"京(マル)"で検索してみたら、別の10件がヒットしました。

この内の2件は、冒頭で説明の通り二重丸京を含む京都機械の別バージョンでした。

 ← 京都機械/1955年2つ

KTCの二重丸京も加えれば、1970年までに合計19件の"京(マル)"が登録されていたことになります。(昔は似た商標が沢山あったのが分かります)

最近のものはJ-PlatPadで直接検索できますので、簡易検索で"京(マル)"と入力すると、1996年~現在で8件の一重丸京がヒットします。

さらに、KTC二重丸京が2001年に再登録されています。

← KTC/2001年

"京(マル)"で商標名が登録されているのを見つけたのが、成功の重要ポイントです。

ちなみに"丸京"で検索しても、数点しか出てきませんし、"京"を丸で囲ったロゴではありませんでした。

← 最初の一重丸京(1885年/明治18年)

前述の丸京27件は1924年以降で調べていますが、一番最初の丸京は明治18年/1885年6月5日の登録番号118番。(商標法が発足し、登録1番の3日後に登録)

 

大正13年以前の一重丸京3つに話を戻します。

大正13年/1924年以前(登録番号1~160000番)は、特許庁/公報閲覧室に紙資料も保管されていませんので、公告番号を調べることは出来ません。

特許庁曰く『J-PlatPadで登録番号の1番から160000番まで順番に見ていく以外に探す方法は無い』とのことでした。

但し、期間検索で5年毎に分けてから全ての登録番号を順に確認してみましたが、3つ共に登録番号(66828、69274、73430)は飛んでいました。

つまり、特許庁がこの登録番号を管理しておらず、これ以上の調査は出来ないことになります。

↓"66828"は管理されていないことが分かる検索画面コピー

3つに関しては、誰かが"京(マル)"という名称の商標をこの番号で登録したというのが分かることの全てとなります。

 

★京都機械は戦前に商標を登録していたか?

京都機械は1938年の創業で、戦前は海軍専用工場として工具を作っていて、一般市販はしていないことから、戦前の商標登録は無いと考えていました。

上の7つの内、S14-766/326882だけが1938年以降の戦前に該当しますが、他の会社による登録になっています。

したがい、京都機械による戦前の一重丸京は推定通りに商標登録されていなかったことが今回の調査で確認できたことになります。

 

★京都機械/一重丸京の商標を他の方法で検索出来るか?

どういう形でこの商標が管理されているのか確認しました。

・検索出来た登録画像内の公告番号以外の6つの情報である会社名、出願代理人、登録番号、出願番号、出願日、公告日のどれをJ-PlatPadで検索してもヒットしません。

・また、3種類の番号である登録番号、公告番号、出願番号を期間検索をしても、この商標は飛び番号になってしまい、表示されません。

・つまり、この商標画像が"S26-7289"として登録されているだけで、その中身が何なのか一切データーになっていないことが分かります。

・したがい、特許庁から説明のあった『J-PlatPadで登録番号の1番から160000番まで順番に見ていく』方法を行っても、この番号は飛び番号になって表示されません。

・私はたまたま最初の方法で京都機械の商標に辿り着けましたが、『文字商標集2巻』の第19類ページに"京(マル) 402974"と表示されているのを見つける以外には京都機械/一重丸京に辿り着く手段は無いことが分かりました。

 

2)古い商標の探し方(戦前/TONEの例)

TONEの商標は戦前の1941年に登録されたことになっていますが、J-PlatPadで"TONE"や"トネ"、会社名の"前田金属工業"、社長名の"前田軍治"で検索してもヒットしません。

したがい、前述と同じ方法で調べてみました。

 

(1) 国会図書館デジタルでタイトル『文字商標集』、『トネ 第19類』で検索

 

(2) 検索結果 ⇒ 第19類で1件ヒット

 

(3) ヒットしたページに『TONE』と『トネ』を確認

 

(4) 登録番号から公告番号を調査@特許庁/公報閲覧室

・TONE…登録番号337967 ⇒ 公告番号6452/昭和15年

・トネ…登録番号357917 ⇒ 公告番号5570/昭和17年

 

(5) J-PlatPadで公告番号検索

 

・"TONE"と"トネ"が戦前から商標登録されていたことが確認できました。

・"TONE"の公告が1940年ですので、通常では登録は公告の翌年になります。

・したがい、冒頭の『TONEの商標は1941年に登録』は正しい情報だと確認できました。

 

★戦前~戦後10年の調査方法まとめ

(1) 戦前から戦後10年(~1955年/昭和20年頃)の商標は、『文字商標集』の戦前版と戦後の1~4巻で確認。(会社名では無く、商標名での確認)

さらに、特許庁/公報閲覧室にある紙資料で公告番号を調べてからJ-PlatPadで検索。

(2) 1955年以降は『文字商標集』(5巻以降)に公告番号も掲載されていますので、戦後と限定できていて上記(1)で見つからない場合は、5巻以降も確認。

なお、5巻以降は公告番号も表示されていますので、特許庁へ行かなくても公告番号を確認できます。

『文字商標集』は22巻/1971年まで国会図書館デジタルで閲覧できます。

(3) 大正13年/1924年(登録番号160001)よりも古い商標は、今回利用した紙資料一覧表も保存されていませんが、登録番号の1番から160000番まで範囲検索で例えば100件毎に順番に見ていくことは可能です。

但し、表示される(=デジタル管理されている)のは2割程度。

(4) 最終手段

J-PlatPadで公告番号をひとつひとつ入力して探すのが最終手段です。

但し、例えば1950年は1年間で12,000件の登録がありますので、S25-1からS25-12000までひとつひとつ入力していくのは物理的に不可能に近いと思います。

(1)~(3)で見つからなければ、諦めるしか無いでしょう。

 

★調査を諦めた例

旭金属工業の前身会社が戦前に"大王"という商標を登録していることが1941年の公告で分かっています。

『文字商標集』の戦前版と戦後の1~4巻で"大王"を検索すると20件がヒットし、大正13年/1924年以降は16件。

公告番号を調べてからJ-PlatPadで確認すると16件全てが"大王"の商標でしたが、残念ながら旭金属はありませんでした。

"DAIO"でも検索したところ、1件だけヒットしましたが、やはり別会社でした。

『文字商標集』には基本的に商標名で登録されていますが、念のために当時の会社名である"宮野商店"、"旭工具製作所"、"旭金属"で検索してみましたが、ヒット無しでした。

なお、大正13年/1924年以前の4件は調査できませんが、最初の会社(宮野商店)は1930年の創業ですので、4件は対象外になります。

実は工具の第19類に2つ"大王"があり、ビンゴと思ったのですが、別の会社でした。

『文字商標集』には全ての商標が掲載されていると理解していますので、別の名称で登録されているのかもしれません。

但し、可能性のある全ての名称で検索していますので、これ以上は調べようもありません。

確立させた検索方法を使って戦前のTONEを調べたところ、あっさりと見つかりましたが、旭金属の"大王"は難儀をしたうえで最後まで見つからず、最終的に諦めました。

 

★商標集

参考まで登録商標を掲載した商標集(辞典)を明治時代から下記します。

※全て国会図書館デジタルで閲覧可。

・日本登録商標大全 第1~6編 by 特許局…1905年/明治38年

(商標法施行1884年/明治17年以降初めての商標集)

・日本登録商標大全 第2輯~25輯 各上下巻 by 特許局…1908年~1930年

・文字商標集 第6巻 by 特許局…1931年

・文字商標全集 第1~3巻 by 帝日特許書院…1931年

・日本政府登録商標大完 文字商標 by 帝国商工協会…1936年

・日本政府登録商標大完 図形商標 by 帝国商工協会…1936年~1937年

・新興日本商標総覧 by 大阪発明協会(商標画像付き)…1937年

・日本政府登録商標大鑑(イラスト付)…1937年(1、6~8、32~37類のみ)

・文字商標集 第7巻上下 by 特許局…1937年

・文字商標集 第1~4巻 by 弁理士会…1953年(良く使う)

・文字商標集 第5,6巻 by 弁理士会…1955年(同)

・文字商標集 第7,8巻 by 弁理士会…1957年(同)

日本商標大辞典 商標研究会…1959年(同)

・全国商標社章図鑑 by 学窓社…1959年(同)

・文字商標集 第9~22巻 by 弁理士会…1959年~1971年

全国商標社章図鑑 改訂版 by 学窓社…1965年 ※1800社の商標


2.J-PlatPadでの調べ方

1)会社名から検索(調べ方の基本)

特許庁の外郭団体が運営する商標検索サイト"J-Plat Pat"を使用します。

会社名または商標登録番号で検索すれば、過去分も含めて商標が表示されます。

会社名と登録番号以外にも検索方法は色々とありますが、既に抹消されている過去商標が上手く検索できないなど何かと不便ですので、会社名を使うのが基本で、かつ便利です。

京都機械工具/KTCを例にして具体的な検索方法を下記します。

なお、J-PlatPad講習会のテキストが公開されていますので、こちらも参考にして下さい。(特許制度の全体像や歴史も説明されています)

下はテキスト内の商標法変遷を解説しているページですが、今回の調査対象となる大正11年~平成9年は"公告"をキーにして管理されていたことを理解することが大事です。

 

(1) 初期画面

J-Plat Pat初期画面の青帯(特許・実用新案、意匠、商標、審判)内の『商標』をクリックし、オープンした窓内の上から2番目『商標検索』をクリック。

 

(2)入力画面

下の入力画面がオープンします。

 

(3)会社名入力

①『その他の検索キーワード』下の『キーワード』枠に会社名を入力。

完全一致での入力が求められますので、『京都機械工具株式会社』、または記入省略記号の『?』を使って『京都機械工具?』と入力します。

株式会社等が前にある場合と後ろの場合がありますので、私は前後に?を入れて『?xxx?』と入力しています。

ちなみに、完全一致が必要なので、『京都機械工具』では何も検索されません。

次に、下側の『検索オプション』をクリックして検索一覧をオープンさせます。

②『ステータス』は『出願・権利存続中』に初期チェックが入っていますが、抹消済みの過去分も見たい場合は、『全て』にチェックを入れます。

さらに、登録できなかった却下分も見たい場合は、『出願却下を除く』のチェックを外します。

そして、一番下の『検索』ボタンをクリックします。

 

(4)検索結果

過去分も含めたKTCが出願した全ての商標(全119件)が表示されます。

119件は多いように見えますが、ひとつの商標を複数の分類項目毎に申請しているためで、119種類が登録されている訳ではありません。

例…楕円KTC:10件、楕円なしKTC:12件、Nepros:5件

なお、古い商標の場合、一覧表には商標の画像が表示されない場合がありますが、個別表示では全ての画像を確認できます。

登録中、過去分(抹消)、審査中、不許可

 

(5)個別表示

上の(4)検索結果の①『登録xx』をクリックすると、詳細まとめがオープンします。

KTCで一番古い商標/二重丸京が一番上に表示されますが、試しにそれをオープンさせます。

KTC創業/1950年5月の5ヶ月後/1950年10月に早くも商標出願しているのが分かります。

 

さらに、一覧表右側の②『広報表示』ボタンをクリックすると、出願公告当時の資料が表示されます。

当時の資料には出願公告時の会社名が表示されます。(上の①では新会社名で表示されます)

したがい、詳細を確認するには①よりも②の方が使い勝手が高いと思います。

なお、戦前からの商標を見ていくと、同じハンドツール/作業工具でも出願分類が変化し、3種類ありますので、当時の資料を見る方が良く分かります。

ちなみに、二重丸京の場合は1959年~1992年の分類に基づいています。

ハンドツールの場合は、~1959年:分類19(農工機具)、1959年~1992年:分類13(手動工具)、1992年~現在:分類8(手動工具)になります。

なお、古い商標の『農工機具』は、農業と工業の器具という意味で、ハンドツールは工業器具としてこの分類に入ります。

 

上の画面の①『経過情報』ボタンをクリックし、さらに表示された下画面の②『登録情報』を選択すると消滅/権利満了情報が表示されます。

 

3種類の番号(『出願』、『公告』、『登録』)が出てきます。

*『出願』:特許庁に申請

*『公告』:仮承認状態で、申請状況を公にし、他社の意見を求める(大正11年~平成9年だけに存在したシステム)

*『登録』:正式に承認(7桁表示)

 

2)他の検索方法

(1)登録番号が分かっている場合

上の二重丸京の登録番号は"0405682"ですが、初期画面で①商標を選択してから、②検索枠に登録番号を入力すれば、二重丸京の情報が表示されます。

出願番号の"S25-024105"や公告番号の"S26-010594"を入力しても同じ情報が表示されます。

 

ちなみに、商標法は明治17年に始まっていますが、登録番号1番(0000001)を入力すると、日本で最初の登録商標が表示されます。

下の4件は出願と登録が同じ日ですが、一番右側の男性画像の商標が登録番号1番になっています。

 

なお、何も選ばずにどこかの項目(例えば会社名)に?を入力すれば過去に出願された全ての商標がヒットしますので、6百万件(6,249,330件)が明治17年以降に出願されているのが分かります。

考えてみれば、6百万件越えの全てが画像も含めてデーターベース化されていて、その1件1件を個人PCで閲覧できるのですから、凄いことだと思います。

 

(2)古い分類での検索

1959年~1992年のハンドツールは分類13(手動工具)でしたが、検索したい探し物が一番ある時期です。

この時期に分類13で登録されたものを全表示できると便利だと思ったのですが、これがなかなか上手く行きません。

『法区分』という項目に"113"(1995年法以降で分類13)を入力すると、基本的には検索できるのですが、1992年の法改正時に商標が有効なものだけが分類の書き換えが実施され、この書き換えされた案件だけが検索対象になるようです。

つまり、1992年時点で抹消されている商標は、書き換えが行われていないので、法区分"113"で検索しても表示されません。

1992年時点で消滅している商標/工具会社はまさしく調査したい対象の中心なので、ちょっと残念です。

ちなみに、法区分"113"だけを入力して検索すると14,577件がヒットしますので、多すぎて一覧表示されません。(1992年時点で有効な旧分類13/手動工具の商標は14,577件あるということになります)

登録年などで区切って検索し、表示件数が1,000件以下に絞る必要があります。

 

前述の第1項(3)で使用した『その他の検索キーワード』画面の『検索項目』を『法区分(版)・類』に変更し、②『キーワード』枠に"113"を入力し、③『日付指定』で必要に応じて検索対象数を絞り、下の『検索』ボタンをクリックします。

日付指定をしなければ、④の如く14,577件がヒットします。

 

(3)類似群コード

分類コードにはさらに細かく分類された『類似群コード』があり、これを使用すると1992年の書き換えに影響を受けずに検索出来るようですが、私はまだ使い切れていません。

基本の会社名検索だけで充分に有効な情報が検索出来ていますので、この方法には今のところタッチしないつもりです。

 

3.KTCの商標例

(1)ハンドツールでの使用実績あり

  

 

(2)ハンドツール登録だが、使用実績は不明

何故かクジラが分類13/手動工具として商標登録されています。

何に使われたのでしょうか??

 

(3)ハンドツール以外での"KTC"商標

 

 

(4)類似デザインで再登録

一度抹消させてから同時に類似デザインを登録させている例が2件あります。

二重丸京とTOOL MANです。

二重丸京は手書き風からかっちりとしたデザインに変更させて再登録されていて、いまでも有効な商標です。

TOOL MANは、KTCの別ブランドとしてハンドツール群を出した後、10年後の最初の更新時期に抹消させて、字体が異なるTOOL MANを再登録させています。

再登録のTOOL MANも最初の更新時期に更新せず、抹消させています。

TOOL MANのハンドツール群は短期で姿を消しているので、再登録した理由は不明です。

 

↓最初の二重丸京(KTC最初の登録商標で、手書きデザイン)

 

 

↓55年後に一端抹消させてから再登録した二重丸京

 

 

↓再登録時に何故か登録を認められなかったようで、不服審査後に承認となっている。

 

↓TOOL MANの最初の登録と再登録(字体がブロック体からCentury体に変化)

  

 

(5)KTCで未承認となった唯一の案件

 

4.商標法の歴史

1)明治17年/1884年に商標条例が布告され、日本の登録商標制度が始まります。

前述の通り、同年に具体的な登録が始まっています。(同年は出願で、翌年に登録)

2)明治32年/1888年に最初の商標法が制定されます。(74分類)

3)明治42年/1909年に改訂され、当ブログでこれまでに登場した中で一番古い日本理器/ロブテックスのバリカン(地球トンボ印)が該当します。(67分類)

残念ながら、この時期のハンドツール分類番号はまだ見つかっていません。

4)大正10年/1921年に再改訂され、70分類となり、ハンドツールは分類19番/農工機具に入ります。

★1921年法70分類の詳細 ⇒ こちら(国会図書館デジタルのID要)

再び日本理器/ロブテックスが登場しますが、エビ印を農工機具(ハンドツール)として商標登録しています。

この商標がどの工具に使われたのかは残念ながら情報がありません。

5)昭和34年/1959年に大改訂があり、34分類になり、ハンドツールは分類13/手動工具となりました。

★1934年法30分類の詳細 ⇒ こちら

昭和34年法と俗に言われていますが、1992年まで続き、当ブログで追い掛けている工具類はほとんどがこの時期になります。

アジアの高品質低価格商品が登場する前で、アメリカへの輸出も盛んに行われていた黄金時代です。

6)平成4年/1992年に42分類に変更され、ハンドツールは分類8/手動工具となります。

平成14年/2002年に45分類となりますが、ハンドツールは分類8のままで変わり無く、現在に至っています。

商標法 Wiki

日本の商標制度 Wiki

 

5,アメリカ商標の調べ方

日本製のアメリカブランドも多いことからアメリカの商標を調べる機会も多くあります。

例えば、こちらを作る時に盛んにUS商標を調べました。

 

1)USPTO.report

USPTO.reportという商標検索サイトが簡単に使えて便利です。

USPTOは米国商標特許庁の略ですが、このサイト自体は民間のもので、USPTOのデーターベースを利用しているのだと思います。

 

USPTO.reportは、こちら

"Search Trademarks Marks"の空欄に会社名を入れるだけで、登録商標一覧が表示されます。

これもKTC/Kyoto Toolの例で解説します。

初期画面から商標と特許、意匠の3種類が検索できます。

この辺は日本のJ-Plat Patと同じです。

特許はGoogle特許が圧倒的に便利ですので、私は商標検索だけに使用しています。

初期画面の”Search Trademarks"の空欄に会社名を入力します。

J-Plat Patのように完全一致でなくとも良いようですので、"KYOTO TOOL"と入力します。

 

3件がヒットします。

ハンドツールは現在のKTCとNeprosの2件が商標登録されているのが分かります。

何故かNeprosが先で1995年、KTCは最近で2016年になってからの登録です。

 

↓Nepros登録詳細

 

↓KTC登録詳細

 

2)USPTO

USPTO/米国商標特許庁自身が運営するサイトで直接検索することも出来ます。

分かりにくい英語(商標用語)が多いため、使うのに難儀するかも知れません。

ただし、こちらで検索すると、先のUSPTO.reportでは検索されなかった楕円KTC/出願1990年も出てきます。⇒サイトは、こちら

 

【最後に】商標探しの顛末

昭和スパナの情報探しで最後まで苦労したのが商標です。

"SDF" TradeMarkと広告に表示されていますので、意地でも探し出そうと丸1年間に渡って四苦八苦しました。

ぐだぐだと顛末を書きますが、ご容赦を。

 

・検索サイトJ-PlatPadを使えば簡単に商標を探すことが出来るのは最近登録されたものだけであり、戦前から戦後の20年間ほどは見つかる確率の方が低いのが実情です。

・その理由は、この時代は主に公告番号で管理されているのですが、"公告番号"と"出願書類画像"が紐付いているだけで、データーとして管理されていないものの方が多いためです。

・例えば、今回やっとみつけた昭和スパナのSDF商標は、"公告番号S17-486"と"出願書類画像"(上の書類)が紐付いているだけで、それがどの会社なのか登録番号がいくつなのかはデーターとして管理されていないのです。

・結果として分かったことですが、SDF前後200件の登録商標の内、データー管理されていてJ-PlatPadで検索出来るのは3件だけでした。

・したがい、公告番号が分からない限り、絶対に見つからないのです。

・ほとんど諦めていた時に新たに見つけた会社紹介資料の中にSDF商標の登録年月日が載っていました。(1942年/昭和17年4月27日)

・これで見つけられると思ったのですが、そうは問屋が卸してくれませんでした。

・J-PlatPadに登録年月日がデーター管理されていないので、当然のことながら検索してもヒットしません。

・登録番号さえ分かれば、特許庁の公報閲覧室にある紙資料で公告番号を調べることが出来るのですが、登録年月日だけが分かっても登録番号は分からないのです。

・最後の手段で、適当な登録番号をJ-PlatPadに入力して昭和17年頃の登録番号を探し、同じ事を繰り返して昭和17年4月を探し出し、さらに続けて4月23日から4月30日あたりの登録番号200件まで辿り着きました。

・前述したようにこの200件の中でデータ管理されているのは3件だけでしたので、J-PlatPadでこれ以上探すことは出来ません。

・最後の砦で、特許庁の公報閲覧室に出向き、この200件を紙資料で公告番号を1件ずつ確認し、それをひとつひとつJ-PlatPadに入力していって、やっと昭和スパナの"SDF"商標に辿り着いた次第です。

・後で分かったことですが、やはり会社名等の情報はJ-PlatPadで管理されていませんでした。(4月27日に登録された41件の全てがデーター管理なし)

・したがい、まさしく"公告番号"と"出願書類画像"が紐付いているだけでしたので、この公告番号の商標が何なのかは紐付いている書類画像を目で見る以外には分からないのです。

・非現実的な方法ですが、特許庁へ行かなくとも調べる方法がひとつだけあります。

・公告番号をS17の1番から順番にひとつづつJ-PlatPadに入力していくという方法ですが、今回の場合は486番目で見つかることになります。

・昭和17年には7,000件の商標登録がありましたので、486番目で見つかれば御の字なのかもしれません。(いずれにしても、非現実的です)

・そして、これも後で分かったことですが、1935年から1953年までの商標全てが載っているはずの『文字商標集/第1~4巻』にも載っていなかったのです。

・この『文字商標集』も探し出すのに有効的なツールなのですが、掲載されていなければ、探し出せるはずが無く、商標名や会社名であれこれ検索したのは全て無駄な努力だったのです。

 

 

この回、終わり