SANKI, SUNKEYのすべて
by 北陽産業 & 三条機械製作所

 

【2025年2月23日 追記】
生産履歴まとめ(JIS認証情報から分かる生産工場の変遷)

JISレポート詳細 (12件) ⇒ こちら

 

・三條機械製作所 四日町工場…三条市四日市1310

・北陽産業(創業時/販売会社)…三条市島田4144(1960年広告より)

・1st Factory 西本成寺工場 …三条市西本成寺(ほんじょうじ)4141

・2nd Factory 東本成寺工場…三条市東本成寺1825

・3rd Factory 土場工場      …三条市土場(どば)7-54

※土場工場のみ現在の住所表示であり、正確な位置を表示できています。

※左側の建屋写真は土場工場跡地の現在の状況です。

 

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"SANKI"と"SUNKEY"は、燕三条の北陽産業によるハンドツール・ブランドで、ユニークなデザインの商品を多く世に出していました。

しかしながら、20年前に廃業していることもあり、その成り立ち(製造者やブランド名の由来、創業と終業など)に不明な点が多くありました。

したがい、残っているデーターや情報をつなぎ合わせて、その不明点を出来うる限り明確にさせました。

その結果に基づき、従来のページを『SANKI、 SUNKEYのすべて』として全面的に書き直しました。

前段の会社解説が長くなってしまい、商品解説にたどり着くまで時間が掛かるのはご容赦を。

なお、今回初めて気が付いたのですが、外注している場合の製造元がどこなのか、カタログにはっきりと明示されているのですね。(ちょっと驚きました!)

 

1.製造者、販売者、ブランド名の変遷

"SANKI"および"SUNKEY"の製造者と販売者、ならびにブランド名の変更時期を一覧表にまとめました。

多くの資料を参照しましたが、下の一覧表にその全てが集約されています。

 

① 1948年から1950年に掛けてSANKIブランドが立ち上がり、初期の製造は三条機械、販売は北陽産業と推測。

根拠は、以下3点。

・1948年(株)三条機械製作所(以下、三条機械)から工具部門が独立する形で北陽産業(株)が創業

1950年に三条機械が"SANKI"を商標登録

1951年1954年に三条機械がJIS認証取得(モンキーとプライヤ)

ブランド名のSANKI/サンキは三条機械(サンジョウカイ)より来ていることから、サンキ工具は三条機械の事業として始まったと推測します。

 

② 1964年に北陽産業が三条機械に入れ替わる形でJIS認証を取得していることから、1964年頃から販売だけで無く製造も北陽産業へ移行したと推測。

1964年時にはJISリストから三条機械が消えていますので、事前にJIS認証は返上されたものと思います。

 

③ 1984年に新しいブランド"SUNKEY"が商標登録。

ただし、1990年1月のカタログはまだ"SANKI"ですので、"SUNKEY"への移行は1990年またはそれ以降になります。

ブランド名を変更した理由は、全く別の会社として1925年/大14年創業で三井物産の機械部がルーツの三機工業があり、"サンキ"という名称は三機工業の方が一般的だっただろうからだと推測。(詳細は巻末の【補足-1】にて)

"SANKI"から"SUNKEY"への変更は、カタカナ表示にすると"サンキ"⇒"サンキー"であり、あまり変化が無いようになっています。

なお、1964年頃以降のサンキ工具は生産から販売まで北陽産業が行っているものの、その20年後の1984年にSUNKEYへブランド名を変更した時の商標登録はこれまで同様に三条機械が届け出ています。

したがい、サンキ工具事業は100%北陽産業が運営していたわけでは無さそうです。(事業企画は三条機械?)

 

④ 1990年に北陽産業から販売部門が(株)サンキーとして独立。

恐らく、この1990年にブランド名は"SUNKEY"へ移行したのだろうと推測。

 

⑤ 2002年11月8日に民事再生手続きが行われ、北陽産業は事業停止。

同月にホームページの更新も中断されています。

本業とは異なる土地投資がバブル崩壊で足かせとなったことが原因とのこと。

なお、"SUNKEY"商標登録を北陽産業が自らは行わない事業運営体制でしたが、1995年と2000年に"SANKI"と"SUNKEY"の商標権が三条機械から北陽産業に移行していますので、この時に北陽産業は三条機械から事業独立していたのだと思います。

そして、親会社の立場だったであろう三条機械は、工具事業に見切りを付け、2002年に北陽産業を救済しなかったのだろうと推測しています。

※参照-2に民事再生手続きの記事掲載

 

2.会社沿革

事実として分かっていることを時系列で一覧表にしました。

全ての項目についてエビデンスを示します。

 

【参照-1】販売会社(株)サンキーによるホームページ

インターネットの過去ログ(Internet Archive)より『製品情報』や『会社沿革』などが今でもこちらから確認できます。

↓2002年11月21日、最終更新版の画面コピー

↓『会社沿革』の例

 

【参照-2】倒産(民事再生手続き/2002年11月8日)

↓越後ジャーナル2002年11月12日付け

 

2002年11月29日に『只今、工事中』となり、ホームページも中断されています。

この時に全業務停止(民事再生手続きを受けて廃業)したのだろうと思います。

 

3."SANKI"の由来

『会社名は北陽産業なのに、何故ブランド名はSANKI/サンキなんだろう?』と長く疑問に思っていました。

国会図書館資料から1960年のサンキ広告を見つけ、広告内に見かけない丸いロゴ  があったので、調べてみたら、芋づる式に全てが解明できました。

↓1960年『新潟県商工名鑑』内のサンキ広告

 

国会図書館でさらに『北陽産業』を調べたら『三条機械製作所』の名前が登場。

↓1960年『機械取引案内』より

 

次に、その『三条機械製作所』を企業年鑑から引っ張り出したら、モンキーと同じロゴがあり、北陽産業は三条機械と関係がありそうなことが分かりました。

これが、最初のビンゴ。

↓1962年『日本機械工業年鑑』より

 

そして、『三条機械製作所』の会社紹介を見つけたら、工具事業と北陽産業独立の説明があり、これが2つめのビンゴ。

SANKI/サンキの成り立ちが一気に判明しました。

↓1968年『企業の歴史:明治百年』より  【参照-3】

 

SANKI/サンキは、三条機械(サンジョウカイ)から来ていて、カタカナの"キ"が3つでサンキ。

その3つの"キ"を円形に並べたのが三条機械の会社ロゴ。

1960年広告のモンキーレンチは、ブランド名の"SANKI"とは別にJIS規則に基づく製造者記号表示として三条機械の会社ロゴが入っていることから、三条機械製と分かります。

↑ カタカナの"キ"が3つ

 

4.商標登録
1)SANKI

三条機械が1950年に"SANKI"を商標登録。

 

↓2000年に商標権が北陽産業に移行しています。

 

1992年に北陽産業も"SANKI"を自ら商標登録しています。

   

 

2)SUNKEY

北陽産業は販売だけで無く1964年に生産も始めたと考えていますが、その1964年から20年経っているにも関わらず、1984年に三条機械が"SUNKEY"を商標登録しています。

サンキ工具事業は北陽産業が全面運営していた訳では無く、三条機械が深く関わっていたことが窺えます。(一人立ちがまだ出来てない、またはそういう事業形態?)

↓最終的には1995年に商標権は北陽産業に移行しています。

 

3)その他

"CAPTAIN"/キャプテンを北陽産業が商標登録。

廉価版のモンキーレンチに採用されています。

 

"BEST"を北陽産業が商標登録。(使用例は確認できていません)

 

 

5.JIS認証

モンキーレンチとプライヤ、スパナ、メガネ、ウォーターポンププライヤでJIS認証を取得しています。(ごく初期に一瞬だけペンチも)

モンキーレンチは、1951年に三条機械がJIS認証を取得していますが、最初のJIS認証取得5社に入っていますので、歴史のある商品になっています。

また、プライヤも1954年に同じく三条機械がJISの生産工場として認可を受けていますので、この時点では三条機械が生産を担当していたことが分かります。

そして、1964年にプライヤも含めて北陽産業が三条機械に代わりJISを取得し直します。

この頃から北陽産業が生産を始めたものと思います。

このことを裏付けるように、スパナとメガネ、ウオーターポンププライヤについては1968年に最初から北陽産業が取得しています。

 

1)モンキーレンチ

↑1951年 モンキーレンチ by 三条機械

↓1964年 モンキーレンチ by 北陽産業

 

2)プライヤ

↑1954年 コンビネーションプライヤ by 三条機械

↓1964年 コンビネーションプライヤ by 北陽産業

 

3)スパナ

↓1968年 スパナ by 北陽産業(モンキー、ウォータポンププライヤと同時取得)

 

★カタログでのJIS紹介(スパナとコンビレンチ以外)

↓2002年カタログより(SA:北陽産業の製造記号)

 

モンキーレンチについては当ブログの別ページにて詳細を解説しています。⇒ こちら

 

 

6.商品情報

1)コンビレンチ

北陽産業はコンビレンチではJIS認証を取得していません。

したがい、JISマーク付きの場合、かならず外注となり、その外注メーカーの製造記号が刻印されます。

普通はアルファベット2文字の製造記号から製造元を推測していくのですが、"SANKI" と"SUNKEY"の場合はなんとカタログに製造元が明示されています。

 

 ① 凸丸パネル 

 ①-1 "SANKI" (1982年~1990年) 

・凸丸パネルの"SANKI"コンビレンチです。

・写真の商品は、製造年記号"A82"より1982年製と分かります。

・製造年記号は"A82~C89"(1982年製~1989年製)が確認出来ています。

※A~Cは鍛造型等の管理番号と推定。

・さらに私の手元にある10本の内、6本は"A82"であり、残りの4本は製造年がばらけているので、1982年に集中生産したらしいことが分かります。

・集中生産=生産立ち上がりと解釈し、1982年に生産開始されたものと推測します。

・SANKIロゴは、明朝体の"SUNKEY"とは異なり、デザイン文字になっています。

 

 ①-2 "SUNKEY" JISマーク無し (1990年~1992年頃) 

・ロゴ(ブランド)が"SANKI"から"SUNKEY"に変更されました。

・写真のモデルは"B91"より1991年製と分かります。

・後述する1990年1月カタログはSANKIブランドとして発行されていますので、SANKIからSUNKEYへのブランド変更は、1990年1月以降、かつ1991年までに実施されたことになります。

 

 ①-3 "SUNKEY" JISマーク付き (1992年頃~2002年) 

・JIS認証マーク付きが登場します。

・さらに、製造記号として"KB"が刻印されています。

・他ブランドでの分析より"KB"は小林工具製作所/KBSの製造記号であることが分かっていますが、これはあくまでも推測の域を超えませんでした。

・しかしながら、1990年カタログに『 B4651KB No.380242』と明示されています。

・これは、JIS認証番号No.380242は小林工具製作所であり、製造記号はKBであることを示しています。

・OEM外注先をカタログに明示しているのは、私が知る限りこのSUNKEY/北陽産業だけだと思いますので、ちょっと驚いています。(JIS認証番号まで明示)

・なお、小林工具製作所は1992年にコンビレンチB4651認証を取得していますので、このSUNKEYモデルも1992年以降の生産と言うことになります。

・写真の商品は、"A97"より1997年製になっています。

・ちなみに、上の①-1、-2にはJIS規則に基づく製造記号がありませんので、OEM外注先は分かりませんが、①-3のJISモデルと形状が同一ですので、同じく小林工具製作所製と思います。

 

↓2002年カタログ(ホームページ内の製品情報)より

 

↓JIS-B4651 小林工具製作所(1992年3月30日取得)

『標準ジャーナル』1992年6月号 日本規格協会/JIS発行より


・同じ"A97"の1997年製ですが、製造記号"KB"が裏面右では無く左に刻印されたモデルもあります。

・小さいサイズ(6~12mm)は、製造年と製造工場記号の2列刻印するスペースが無く、製造記号が左側に移動しているものと推定しています。

 

 

・北陽産業から販売部門が1990年に独立し、以降は(株)サンキーが発売元になっています。

 

★"SANKI" 6本セット

 

★"SUNKEY" 21本セット

・"SUNKEY"の21本セットは収納本数が日本のコンビレンチの中で最大です。

・ケースはバスタオルと同じ大きさになります。(長さ1,150mm、バスタオルは1,200mm)

・コンビレンチで設定されている6~32mmモデルの21本全てが入っています。

・ちなみに、この21本セットはSANKI/SUNKEYカタログには載っていません。

↓セット内の一番大きな32mmと一番小さな6mm

 

 ② ミラーフラット(1990年頃~2002年) 

・当時主流になり始めたミラーフラットタイプも製品化されています。

・1990年のカタログには未掲載で、廃業直前の2002年カタログには掲載されていますので、その間(1990年代)に登場したことになります。

・エキスパートシリーズ(鏡面仕上げ)として高級路線に振っています。

・このミラーフラットにも①-3と同様にカタログに"JIS B4651KB No.380242"と表示されていて、小林工具製作所製と分かります。

・商品にも製造記号"KB"が刻印されています。

 

 ③ スリム 

 ③-1 "SANKI" (1980年後半~1990年) 

・SANKI/SUNKEYの顔とも言える特徴的なデザインのコンビレンチです。

・薄板形状なので、単なる鋼材のプレス押し切り加工かとも思っていましたが、中央パネル部が凹形状になっていることから、鍛造加工と分かります。

・基本は真っ平らなボディーですが、ボックス部のオフセットを胴長部のプレス曲げで確保しています。

・Cr-VかSC材(SC55あたり)かと思いますが、モデル本体にもカタログにも表記が無く、素材は不明です。

・裏面凹部の右側に製造年記号が刻印されていて、"87A"と"90A"が確認出来ます。

・"87"は1987年と推測できますので、スリムモデルは少なくとも1987年には生産を開始していたことになります。

・このスリムモデルはMITOLOY/水戸工機でも販売されていますが、MITOLOYも含めて生産元に関する情報が全く見つかっていません。

・JAPANの刻印もありませんので、日本製かどうかすら不明です。

・ちなみに、MITOLOYモデルの製造年記号は"08G"と"14G"ですので、北陽産業倒産後の2008年と2014年の製造となり、SANKI/北陽産業製では無いことが分かります。

・デザインの秀逸さからとても気に入っているモデルなのですが、製造に関するヒントが何も無く、また商品にはJISマークや製造工場記号、さらにはJAPANの刻印もありませんので、製造元に関してありとあらゆる可能性が考えられる状態です。

・例えば、

*SANKI/北陽産業製として立ち上がり、北陽産業の廃業を経て鍛造型が水戸工機に引き継がれた

*誰かが鍛造型を引き取って水戸工機に供給

*海外も含めて共通の製造者が、初期に北陽産業、後に水戸工機に納入

 

 ③-2 "SUNKEY" (1990年~2002年) 

・ブランドがSUNKEYに変更となります。

・製造年記号"92A"と"94A"が確認出来ていますので、少なくとも1992年にはSUNKEYモデルが登場していたことが分かります。

・前述の①-2よりSUNKEYへのブランド変更は1990年から1991年にどこかで実施されていることが分かっていますので、このスリムモデル②でも1990年から1991年に掛けてSUNKEYモデルが始まったと考えるのが妥当です。

↓スリムのカタログには他モデルのような製造情報が書かれていません。

 

★MITOLOY/水戸工機への移行

・前述の通り、このスリムタイプはMITOLOY/水戸工機に引き継がれます。

・水戸工機はボックスレンチを得意とするメーカーであり、スパナやコンビレンチはは自製では無いと理解しています。

 

 ④ ホビータイプ(1980年代~1990年代) 

・斬新なデザインの薄型コンビレンチです。

・SUNKEYにはホビーツールという商品群があり、このモデルもホビーツールになっています。

・その存在を全く知りませんでしたが、ヤフオクに出品されていて、その存在を知りました。

・1990年のカタログに掲載されていました。

・なお、2002年の最終カタログには掲載されていませんので、1990年代のどこかで廃番になったものと思います。

 

・3.5~12mmの12種類のサイズ設定があります。

・私は大きい方側の10~12mmを入手しましたが、ホビー用と銘打っていることからむしろ小さいサイズ側の方が本来の用途に適しているのかと思います。

 

 

 

・12本セットも商品化されています。

・値段が1万円以上するのにはビックリです。

 

2)スパナ
 ➄ 初代スパナ 

 

・"キ"が3つのSANKIロゴが刻印されているスパナを長らく探していましたが、見つけました。

・ホンダ向けのOEMでは既に見つかっていましたが、自社ブランドSANKIとしては初めてであり、北陽産業が生産を開始する前の三条機械製作所製で、SANKIの第1号スパナと推察しています。(1948年~1950年前後)

 

 ➅-1 "SANKI" JISマーク付き 

・凹丸パネルのスパナで、JISマーク付きです。

・良く見かけると共に、かっちりとしたデザインで、SANKIの顔と言っても良い製品と思います。

・1990年カタログに掲載されていて、北陽産業のJIS認証番号である"JIS B4630 No.364147"が記載されていますので、北陽産業の自社製と分かります。

・JIS認証の取得年は1968年ですので、1968年頃には生産が始まっていたことになります。

・写真の商品は製造記号"90E"より1990年の生産になります。

・裏面左側の単独"S"表示は、サンキ工具のマークのようです。

・なお、サンキ工具は1948年頃から立ち上がっていますので、1948年~1968年の20年の間に作られたJIS無し"SANKI"スパナが必ず存在していると思うのですが、見つかりません。

(例えば、後述する➈-2のJIS無しSANKI/日産と同時代の"SANKI"オリジナル?)

 

↓1990年カタログより

 

↓JIS-B4630 北陽産業(1968年8月1日取得)

『標準化と品質管理』1968年11月号 日本規格協会/JIS発行より

 

 ➅-2 "SUNKEY" JISマーク付き 

・"SUNKEY"スパナも同じ凹丸パネルになっています。

・製造記号"KB"より小林工具製作所製と分かります。

・2002年カタログに"JIS B4630KB No.380242"と記載されていますが、同時取得しためがねレンチのJIS認証番号が表示されてしまっています。

・正しくは下表の通りNo.380243です。

・写真の商品は、製造記号"0C"であり、小林工具製作所がJIS認証を取得した1981年より後、かつ"SUNKEY"を商標登録した1984年頃以降のxxx0年になりますので、1990年の生産だと思います。(2000年もあり得る)

・➅-1と同様にサンキ工具の印として裏面左側に"S"表示が入っています。

 

↓2002年カタログ(ホームページ内の製品情報)より

 

↓小林工具製作所JIS認証2種(1981年3月18日同時取得)

『標準ジャーナル』1981年6月号 日本規格協会/JIS発行より

 

スパナではJIS認証を取得しているのに、ブランドを"SUNKEY"に移行させた時に自社生産から小林工具製作所への外注に切り替えています。

理由は不明ですが、北陽産業の自社工場ではスパナを生産はしないという意思決定があったのだろうと思います。

なお、自社製の"SANKI"スパナと小林工具製作所の"SUNKEY"スパナは完全な同一形状になっています。

北陽産業の鍛造型が小林工具製作所に移管されたのだろうと推測しています。

ちなみに、JIS認証を取得した5種(モンキーレンチ、プライヤー、スパナ、メガネ、ウォーターポンププライヤー)の内、スパナだけが外注に変更され、他の4種は最後まで北陽産業の自社製でした。

 

 ➆ "SUNKEY" ミラーフラット JISマーク付き 


・コンビレンチ②と同じミラーフラットデザインのスパナです。

・上の⑤-2スパナと同じく2002年カタログに記載のJIS認証番号を間違えてコンビレンチのNo.380242を記載してしまっています。(正しくはNo.380243)

・"KB"より⑤と同様に小林工具製作所の生産になります。

 

 ➇ "SUNKEY" 薄型 

・コンビレンチ③と同じ薄型デザインのスパナです。

・薄型はJIS規格にありませんので、JISマークは付きません。

 

3)OEM供給

 ➈ ホンダ二輪向け (JIS取得以前)  with ロゴ /三条機械製

・1960年前後のホンダ2輪向けOEM。

・1968年のJIS取得以前のスパナです。

・初期のモンキーレンチなどに使われていた  ロゴ付きであり、三条機械製と分かります。

 

 ➉-1 SAFETY/安全自動車向け 

・自動車整備機器を取り扱う安全自動車/SAFETY向け。

・➅-1"SANKI"スパナのOEM仕様です。

・裏面にサンキ工具の印である"S"マークが入っています。

 

 ➉-2 日野自動車向け 

・Hino/日野自動車向け。

 

 ➉-3 日産自動車向け 

・上の➉-1、2と同じく⑤-1のOEM納入版で、日産自動車向け。

・形状ならびに裏面左側の"S"マークより"SANKI"スパナと分かります

・JISマークが入っていませんので、1968年よりも前の生産の可能性が高いと思います。

 

6.カタログ

 1) 1990年1月 紙カタログ 

・1990年度版のフルカタログ(全30ページ)で、こちらから全ページを読むことが出来ます。(個人管理のサーバーに保存)

・コンビレンチとスパナのページだけ以下に貼り付けます。

  

 

 2) 2002年11月 Webカタログ 

・2002年のSUNKEYカタログをインターネット過去ログ(Internet Archive)で見ることが出来ます。

・事業を停止したと推測される2002年11月の直前になる2002年7月の更新ですので、最終カタログになります。

・1990年カタログに対し、ホビータイプ④が無くなり、代わりにエキスパートシリーズとしてフラットパネル②が追加されています。

・全45ページで、こちらより。

・"■CAPTAIN BRAND"の上にある"BRAND"からカタログに入れます。

・スパナとコンビレンチの2ページだけ以下に貼り付けます。

 

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【補足-1】外注先(コンビレンチ、スパナ以外)

小林工具製作所/KBへJIS付きコンビレンチとスパナを外注していることは6項.商品情報にて解説済みですが、さらに他のJIS付き工具で別の2社へ外注しています。

↓2002年カタログより

1)マルト長谷川工作所/MH

 

 

 

2)Ko-Ken(山下工業研究所)/YK

※インターネット過去ログ(Internet Archive)の2002年製品情報の中でソケットレンチのページだけが表示されないため、商品写真での確認ができませんが、ソケットにラチェットハンドル、ソケットハンドル(B4637~B4641)もKo-Ken/山下工業研究所への外注だと思います。

 

【補足-2】三条機械製作所について

冒頭で説明の通り、三条機械製作所がサンキ工具事業を開始し、かつ北陽産業の母体になっています。

その三条機械製作所は、日本で唯一のたばこ製造機械メーカーであると同時に、ディーゼルエンジンも製造販売していました。

↓1957年『漁船機関』より

三条機械製作所は、"条"が"條"に変わり、今も産業機械メーカーとして活躍中です。

⇒ 会社HPは、こちら

 

【補足-3】2つの"SANKI"

(三機工業と北陽産業/三条機械製作所)

異なる字体"Sanki"のスパナが見つかっています。

北陽産業"SANKI"の初代スパナあたりだと思っていましたが、"△に三"商標より三機工業の商品と判明しました。

三機工業は、1925年の創業で、三井物産の機械部門から独立した設備機械の生産と設置を専門とする会社です。(会社HPは、こちら

三井物産はロゴが"◇に三"ですが、三機工業は"△に三"になっています。

売り上げは2,000億円を超える大企業で、資本金でも北陽産業の100倍ですので、企業としての差は歴然としていました。

三機工業により1960年にサンキ工具と同一の"SANKI"が商標登録されています。

"SANKI"商標はサンキ工具の方が10年早い1950年に登録されていますが、SANKI/サンキという名称は歴史も企業規模からも三機工業が一般的だったのだと思います。

北陽産業がブランド名を"SANKI"から"SUNKEY"に変更した理由はこのあたりにあるのだと推測しています。

北陽産業が間違われるのを嫌ったか、または三機工業が同じ名称を使われていることを嫌ったかのどちらかでしょう。

ちなみに、三機工業は各種機械の販売を行っていて、12.2x17mmとサイズが特殊なことから、自社製品整備用スパナと推測します。(実サイズは、12.52x17.15mm)

 

↓創業の1925年/大14年に商標登録。

↓1960年にサンキ工具と同一のアルファベット"SANKI"を商標登録。

↓1968年『企業の歴史:明治百年』より

 

【補足-4】新潟県作業工具協同組合での会社案内

北陽産業が加盟していた新潟県作業工具協同組合のホームページに会社案内が残っていました。

北陽産業 本社

 

【補足-5】SUNKEYのロゴ&商品説明

呼称がサンキに似ていて、かつ"SANKI"では無いことを条件として"SUNKEY"/サンキーになったのだろうと前述していますが、ホームページに後付けとしての解説が載っています。

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☆語源
"サン"は太陽の”SUN”、"キー"は鍵の"KEY"。
"SUNKEY"はこの二つの単語の合成語として誕生しました。
その心には、太陽の国を開く鍵の役割を担い、いつもお世話になっている地域の一隅を照らす太陽でもありたいという意味が込められています。

☆TOOL

~最新の技術とノウハウが『プロの声』をカタチにする~

製品開発にあたっては、現場のプロフェッショナルの生の声を何よりも大切にしているのが特色です。
使っていただいている人たちの要望・要求をいかに形にするかという考え方で常に製品作りに取り組んでいます。
納得いくまでのサンプル作成・モニター調査の繰り返しの中で製品化されています。プロならではのシビアな要求も実現する製造技術やノウハウに関しても万全な態勢を整えています。
プロと一緒に製品を作るためその完成度は高く、誰もが納得できるツールです。

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この回、終わり