前回の記事で、「日本人の英語力は過去最低」

というニュースがあったものの、

それはあくまで「EF SET」という

一試験の結果から導かれるものであって、

一面的な評価でしかないということを

述べました。

詳細はこちら。

 

 

今回は引き続きそのニュースについて

コメントしていきます。

そもそもなぜ半年前のニュースについて

今更コメントをするのかというと、

そのタイトルの衝撃性からか、

いまだによく引用されるからです。

新しい英語教材や塾からしても、

宣伝として使いやすいです。

「今の日本の英語教育の惨状を救うのは

これです!」という感じで。

 

ただ、前回も述べた通り、

私は実際どうなのかなと思っています。

測定の範囲が限定的であることに加えて、

少なくとも中学高校の受験生に限って言えば、

過去と比べて英語力が劣っているとは

あまり思えないなあというのが私の感想です。

 

そもそも、

中高生に求められる英語力は

変わっていっています。

大学入試の変化でいうと、私の印象は以下です。

抽象的で難解な文章や

非常に専門的な内容のものは

難関校では変わらず出題されますが、

全体として、

文法の比重は減り

(特に重箱の隅をつつくような細かいもの)、

全般的な英語処理速度が求められたり、

ライティング、リスニングの比重は

高まったりしています

ライティングも難解な和文英訳よりは

自由英作文(テーマに沿って

自分の意見等を書くもの)が

増えています。

 

英語処理速度で言うと、

例えば、大学入試センターの試験

(共通一次→センター試験→共通テスト)です。

筆記問題の総語数は驚くほど増えています

(1989年の共通一次試験の2,728語から

2024年の共通テストで6,233語)。

では語彙レベルが下がったかというと、

そういうことでもないようです。

また、明らかに難化した2023・2024は

平均点は下がりましたが、

平均点は大体60点くらいになっています。

増えていく語数に対し、

学生たちは対応し続けていると言えるでしょう。

詳細のデータ等は、

後日おまけとして記事にするつもりです。

 

以上のことも加味して、

私は「日本人の英語力は過去最低」という

ニュースに対しては、心配に思っていません

このニュースが

あまり一人歩きしないことを願って、

2回にわたり記事を書きました。

 

ただ、そういった結果が出てくる一因として、

英語格差が広がっている可能性は

心配しています。

今の学校英語の難化の仕方は、

英語嫌い・ついていけない人を

増やしてはいないか、ということです。

学校の英語学習についても

またいずれ述べたいと思います。