空を仰ぎ、こわばった心と体を解き放つ
最近、空を見上げたのはいつですか?
毎日の生活では、料理をしたり、
スマートフォンを見たり、パソコンに向かったり。
気づけば、私たちの視線は前や下に向いていることが多いものです。
今回ご紹介する、
ラクダのポーズ|ウシュトラーサナ
そんな日常とは反対に、
体の前側を大きく伸ばしながら視線を空へ向けていきます。
ひざ立ちの姿勢から上体を後ろへ。
いつもとは違う方向へ体を動かしてみると、
胸やお腹、太ももの前側などに新鮮な伸びを感じるでしょう。
ラクダのポーズで目指したいのは、「どこまで反れるか」ではありません。
今回、味わってほしいのは、
閉じていたものを、少しずつ解き放っていく感覚。
体の前側に風を通すような気持ちで、ポーズに入ってみましょう。
🌿ラクダのポーズ|ウシュトラーサナとは
ウシュトラーサナの「ウシュトラ」は、
サンスクリット語で「ラクダ」を意味します。
ひざ立ちになり、
両手をかかとへ添えながら上半身を後ろへ反らせる後屈のポーズです。
お腹、胸、肩、太ももの前側など、
日常生活では縮まりやすい体の前面を広く使います。
後屈のポーズというと、
「体が柔らかくないとできない」
と思われるかもしれません。
けれど、手がかかとに届かなくても構いません。
腰に手を添えて、少し上を見るところから始めることもできます。
完成した形よりも、
自分の体の前側に、どんな伸びが生まれているか。
そこに注目してみましょう。
🌿ラクダのポーズで味わいたいこと
🍃 縮こまりやすい体の前側を伸ばす
私たちの日常動作には、前かがみになるものがたくさんあります。
ラクダのポーズでは、それとは反対方向へ体を動かします。
お腹から胸にかけて、縦に長く伸びていく感覚を探してみましょう。
🍃 太ももの前側にも意識を向ける
ラクダのポーズというと上半身に目が向きますが、土台となっている脚も大切です。
ひざ立ちの姿勢を保ちながら後屈することで、太ももの前側や股関節まわりにも伸びを感じることがあります。
上半身だけでポーズを作るのではなく、ひざから頭までが一つにつながっているような感覚で行います。
🍃 背骨をいつもと違う方向へ動かす
日常生活では、背中を丸めることはあっても、大きく後ろへ動かす機会はそれほど多くありません。
ラクダのポーズでは、背骨全体をゆるやかに後屈させます。
腰の一部分だけで反るのではなく、胸のあたりから少しずつカーブをつくることを意識しましょう。
🍃視界が変わるおもしろさ
ラクダのポーズでは、いつもの目線から少しずつ視界が変わります。
正面から上へ。
そして、余裕があれば後方へ。
見慣れた部屋でも、体の向きが変わるだけで違った景色に見えることがあります。
ヨガの時間だからこそ味わえる、小さな発見です。
🌿ラクダのポーズのやり方
① 正座から始めます
まず正座になり、呼吸を整えます。
肩や腕に余計な力が入っていないか確認しましょう。
② お尻を持ち上げます
正座からゆっくりお尻を持ち上げ、ひざ立ちになります。
ひざは腰幅程度を目安にします。
太ももが床に対してまっすぐになる位置を探しましょう。
ここがラクダのポーズの土台になります。
③ 右腕を上へ伸ばします
右手を頭の上へ伸ばします。
すぐに後ろへ反るのではなく、まず体を上方向へ長くします。
頭のてっぺんと指先が、空へ引っ張られているようなイメージです。
④ 右手を右のかかとへ
体の長さを保ちながら、
右手をゆっくり右のかかとへ近づけます。
左手は上へ伸ばしたまま。
かかとまで届かない場合は、腰の後ろへ手を添えて構いません。
「届かせよう」とするより、安定していられる位置を選びます。
⑤ 上半身を少しずつ後ろへ
右手が安定したら、上半身をゆっくり後ろへ傾けます。
腰を前へ押し出して無理に反るのではなく、
胸の中心が斜め上へ向かっていく
ようなイメージを持ちます。
お腹から胸まで、体の前側が長くなっていく様子を感じてみましょう。
⑥ 左手もかかとへ添えます
余裕があれば、左手も左のかかとへ。
両手をかかとに添えたら、胸の位置を高く保ちます。
肩は耳から遠ざけます。
両ひざで床をとらえ、下半身を安定させましょう。
⑦ 首をゆるめます
問題がなければ、視線を上へ向け、頭を少しずつ後ろへ。
首に圧迫感や痛みを感じる場合は、頭を深く倒す必要はありません。
あごを軽く引いた状態でもポーズは行えます。
⑧ 戻るときは頭から
まず頭を起こします。
次に片手ずつかかとから離し、上半身をゆっくり垂直へ戻します。
急に起き上がると、ふらつくことがあります。
※首に問題がある人は、後ろまでそらす必要はありません。
目の位置を前方に向いたまま↓のひざ立ちに戻ります、
ひざ立ちに戻ったら、一度呼吸を整えましょう。
最後は正座前屈のくつろぎのポーズに戻りましょう。
🌿ラクダのポーズのバリエーション
基本の姿勢に慣れてきた方は、次のバリエーションにも挑戦できます。
🌿片腕を床と平行に伸ばす
片手でかかとを支えながら、もう一方の腕を床と平行になるように伸ばします。
視線も伸ばした腕の方向へ。
左右で体の感覚がどう変わるか確かめてみましょう。
🌿あごと視線の位置を変えてみる
同じ姿勢でも、あごや視線の位置によって首や胸まわりの感覚が変わります。
あごを軽く引くなど、自分が安定する位置を探してみます。
首を無理に動かす必要はありません。
🌿腕を交差してかかとを持つ
十分に慣れている方は、腕を交差させてかかとを持つバリエーションもあります。
基本のラクダよりもバランスや柔軟性が求められます。
まずは基本姿勢が安定してから取り入れてみましょう。
🌿ラクダのポーズで大切にしたいこと
後屈では、
「反る」という言葉から腰を大きく曲げようとしてしまいがちです。
けれどラクダのポーズでは、
腰の深さより胸の高さを意識してみましょう。
体を後ろへ向ける前に、まず上へ長くなる。
そこから少しずつ後方へ。
この順序を大切にします。
また、首を後ろへ倒すことも必須ではありません。
腰や背中、首、ひざなどに痛みがある場合や、
めまい・体調不良があるときには行わないようにしましょう。
治療中の方や体に不安がある方は、
必要に応じて医療者や専門家へ相談してください。
その日の体にとって十分な場所で止まることも、立派な選択です。
🌿今日のヨガメッセージ
たまには、
空を見上げてみよう。
抱えているものを少しゆるめると、
心にも風が通っていく。
広い空のように、
自分の中にも
小さな余白を残しておこう。
🌿次回は「三角形のポーズ|トリコナーサナ」
ラクダのポーズでは、
空を仰ぎ、上へ広がる感覚
を味わいました。
次は、両足を大きく開いて立つ、
三角形のポーズ|トリコナーサナ
です。
次回は視線を空だけに向けるのではなく、足元にも意識を向けます。
テーマは、
「大地・安定・三つのつながり」
です。
大地を踏む足。
空へ向かう手。
そして、その間にいる自分。
三角形という形を通して、私たちを支えているものを感じてみましょう。









