ずっとずっと昔のこと
受験勉強しながら聴いていたラジオで
彼の歌が流れた
ほんの一部がテープに録音されていて
後から聴き返す度に泣けて仕方なかった。
「…みんなとても正直者でした
あんたも僕も精一杯」
この歌を全部聴いたのは、それから何年も後のことだったけど。

そして数年後、俺は佐渡島にいた。
夢を実現するためには決して甘くない、厳しい現実に向かうことが必要、と当たり前のことを思い知る日々の中、島のライブバーで彼が演奏することを知った。
所長に恐る恐る頼んでみると、意外なことに全員で行こう、と言ってくれた。
至近距離で、憧れの歌を、聴きたかった歌はほとんど全部聴かせてもらった。

打ち上げではあろうことか、隣に座らせてもらって、歌のことやフォーク界の伝説やら話を聞いた。
そして仲間にけしかけられて、ギターを借りて歌わせてもらったり。その時から俺は歌に関しては何も恐くない(笑)

その後、かけてもらった言葉は決して忘れない。
「今、こうしてここに居ることが、オッケー。それだけで、この先どう進むことになっても、大丈夫。」その言葉にどれだけ助けられ、励まされただろう。

加川良さん。どうか安らかに。
あなたの歌はずっと忘れない。