悲しき別離【農業とは…】
けたたましく鳴る電話のベル
嫌な予感…
それは悲しき知らせだった

どんな ふぅに話を切り出そうか?
夕食の準備をしながら静香は 考えていた
その時…電話が…
電話のベルがけたたましく鳴った
電話のベルなど どれも同じだろうと思うでしょうが…
母の危篤を知らせる電話…
マサの事故を知らせる電話…
香の流産を知らせる電話…
それらと同じ何かを感じた
嫌な予感…
家には静香と涼しか居ない!
まさか 涼にでてと云うわけにはいかない!
受話器を上げた
農事組合長の相原さんだった
『まだ父さん 母さんは帰らんかい?淳くんは?』静香は 自分ひとりだと伝えた
『そうかぁ~静香ちゃん 落ち着いて聞けよ❗️』
この言葉…前にも淳からではあるが聞いた
落ち着いてと言われても既に鼓動は早くなっていた
『実はなぁ~若妻会会長の佐々木さんは わかっとるな!旦那の茂さんがなくなった…』
“亡くなった”って…
この間まで畑で元気に作業をしている姿を見ているし…
そうだ‼️今朝だって 由里子の家に行く途中
わざわざ 2人してすれ違いざまに車を停めて 挨拶を交わした
まだ~声が耳の奥にある
真っ黒い顔に白い歯を見せて満面の笑みで…
『おはよ!また山部の姉さんトコか?偉いなぁ~頑張ってな』…と
体調も悪そうには感じなかった
『静香ちゃん‼️聞いてるか❗️』
『あっ!はい…すみません 母は山下さんの家に居ます 父は直に帰ると思います 淳は ちょっと わかりません』
『そっかぁ~いいんだ!山下さんには 今連絡するつもりだったから…』
茂さんの姿が見えない事を近所には
わからない様に家族で探して
今しがた 佐々木のじい様が発見したと組合長は 教えてくれた
今日は12月12日…
確か茂さんの誕生日だ
娘の恵ちゃんにプレゼントを何にしたらいいかと相談されていた事を思い出した
今年は根雪が遅く…積もっては いたが山の道も辛うじて車で行けた
去年なら行けなかった
静香と挨拶を交わした その後…直ぐの様だ
“礼子さん 大丈夫かな?”
最後に茂の顔を見て話をしたのは静香という事になる
何故?あの時に…茂の悲しみを静香はわからなかったのだろう!
今…死を決意している茂の いつもとは違う何かに気付いてやれなかったのか?静香は自分を責めた
静香はお腹に宿った命の事で頭がいっぱいだった
確かに静香の責任では ない 誰が責めようか…
ただ 静香自身が悔やまれて…
マサの時も涼がお腹に…また身近な人の死…
お腹に命が…すれ違いの命だともいうのか…
神様の悪戯なのか…
静香は受話器を置くとその場に座り込んだ
時計の音だけが やけに
大きい…
📖次回予告✏️
悲しき別離【農業とは…】
静香は思った‼️ 人参だ‼️
佐々木さんの家は規模を拡大して 大変だと聞いていた…
でも自殺なんて…


