去り逝く者・産まれ来る者【告白】

佐々木さんの家はもう 誰もいない…
除雪車も入らず 雪に埋もれている

静香は やっと妊娠を告白する
淳の出した結論は…
🐾🐾🐾🐾🐾❄️❄️❄️


静香は恵の手を引っ張り 自分の胸の中へ入れた

冷たく凍えた体…

凍えた 心…

頭の雪を手で払い 

ただ、ただ…抱きしめた

恵は泣くことすら忘れた様に身を静香に
委ねる

『お~ぃ し・ず・か…』待ちきれず淳が出てきた

『どうしたんだ?恵ちゃんか?…早く中に入れ‼️』静香はその言葉で我に返る

恵を抱える様に家の中に入る

さっきまで吹雪いていたのが嘘の様に
空は晴れ 満天の星が眩いばかりに輝きを放っていた

空気はピーンと張り詰めていた

淳は車を出して義父と寄合い場へ 急いだ

『静香…話を聞いてあげて…佐々木さんには連絡を入れるんだぞ!』と淳は 言い残しエンジンをふかした
雪煙に 車は見えなくなった

恵をソファーに座らせ
静香特製ココアを飲ませた

『まずは体から暖めないとね❗️』

恵がココアをゆっくり大切そうに飲んでる間に 佐々木さんに電話を入れた

『はい!大丈夫です…暫くあずかりますので…いいえ!うちは…はい!また…電話しますね』

礼子の口調は トーンこそ低いがいつもと変わらない
恵は静香の側に居る方が礼子も安心なのだろう
親とはいえ 今は自分の精神を保つ事が精一杯なのだと静香は思った
少しの間でも 心配がひとつ無くなれば礼子の気持ちも違うはず…
ほんの少しなのだけれど…

恵が不意に…独り言の様に話 はじめた

『田中さんのおじさん、大丈夫かな?玄関の外に座ってたの…うちの責任だよね?おじさん…死なないよね?お母さんは普通にご飯作ってるの…静香ちゃんに教えて貰った…尾崎の曲…毎日仕事中もお父さんと
聴いていた曲…“僕が僕であるために”
大きな声で 唄いながら…』

《何がいけないと~いうわけでも~♪ないけど~人はみな わがままだ~♪》

静香が尾崎豊の話をした時にテープにダビングしてプレゼントした楽曲を礼子は気に入ってずっと聴いていると聞いていた

『お母さん、普通なんだよ!』そしてココアをすする…少し落ち着いてきたのか
 恵は話続ける

姉の美咲も妹の真実もずっと泣いている
ばあちゃんは仏壇に手を合わせている
ずっと じいっちゃんは帰って来ない!

田中さんが佐々木家を訪れても礼子は 出ていかなかった
田中さんは玄関の外で喚き泣き崩れた
恵が対応した様だ
田中さんは恵に 一緒に死んでくれと言った
恵は“いいかな…一緒に死んでも…”と思った
田中さんが 茂に 見えた様だ!

静香はこんな小さな農村の小さな出来事の ひとつと日本の政治家は…農林水産省は…鼻にもかけないのだろうと胸が張り裂けそうだった
ここの話しに限らずどれだけの自殺者や
自殺孤児を出したら お偉いさんは 動くのだろうか?
また…静香は恵を強く抱きしめた

📖次回予告✏️

去り逝く者・産まれ来る者【告白】

恵は『静香ちゃん…私涙が出ないんだよ お姉ちゃんも真実も…あんなに泣いているのに…お姉ちゃんがね 恵は冷血人間だ💢って…でも出ないんだよ…静香ちゃん…静香ちゃん…』

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