去り逝く者・産まれ来る者【告白】

義母が帰宅した‼️
恵はまだ眠りの中 涼と同じ無垢な寝顔…


義母は帰るなり大声で
『何で💢裏切り者の子が…うちで寝てるんさ💢』静香が止める間もなく恵を叩き起こした
『あんた‼️うちで何やってるんだ💢早く出ていけ💢…裏切り者め‼️』
静香は義母を睨み付けた

恵は寝ぼけ眼で 何を言われているかの?理解していない様だ

『恵ちゃん 帰りましょう おくって行くわ』その時 淳と義父が帰って来た

淳は異様な空気に気付いてくれた

『恵ちゃん…送って来るね!涼をお願い…』淳は優しく頷いた

幸いな事に義母は それ以上は 騒ぎ立てなかった


佐々木家まで 歩いて5分とかからない
夜11時も廻ると寒さは一段と増す
けれど静香は あえて歩いて行こうと思った
車では 直ぐに着いて 恵と別れてしまったら二度と再び逢えないそんな気がしたからだ

恵と一緒に過ごす時間を1秒でも長く延ばしたかった
それは恵も同じ思いの様だ!
歩きたいと言ってきた

ゆっくり…ゆっくり…ふたりは歩いた
もう少し遠ければいいなんて思う事…
きっとこれが最初で最後かもしれない~。

ふたりは手を繋いで…
キュキュと雪を鳴らしながら …
何も語らず…
カメよりもゆっくり…
月がふたりを見守るかの様についてくる

その時 突然‼️恵が雪の中に飛び込んだ
『静香ちゃん‼️気持ちいいよ~』
静香はお腹の赤ちゃんの事も忘れて飛び込んだ

そしてふたりで雪を掛け合った
大声で笑った

笑って…笑って…泣いた
見ているのは…遠くでちょこんと顔を出した キタキツネくらい…
はぁ~はぁ~言いながら抱き合った

『静香ちゃんって あったかいね…雪の天使みたい~静香ちゃん‼️ウチら裏切り者なんだよね』義母の言葉を恵は聞いていたのだ

『違うよ‼️ハッキリ言うね、私は農家の仕組みとか制度は よくわからない!でもね…違うと思う…裏切る為に お父さんは命を絶ったんじゃないと思う…』

恵は『うん❗️』と言いながら
『涙って 暖かいね』と付け加えた

『静香ちゃんが そう 云うなら…きっとそうだね!』と微笑む

静香は 雪の天使は“恵ちゃんだよ”と心で囁いた

『今まで 静香ちゃん‼️ありがとう!涼くんの様な 可愛い赤ちゃん、産んでね!』
静香は驚いた まだ家族にも言いそびれている事なのに…

『どうして?恵ちゃん…』

『私…わかちゃったもんね だって静香ちゃん ずっとお腹を大切そうにさすってたんだもん』

どうして…この子は観察力があり感受性が豊かなのだろう
静香は無意識にお腹をさすっていたのだろう
恵は立ち上がり 静香に手を差し出した
ふたりは道に戻り また歩きはじめた


『静香ちゃん‼️人間のやってる事って小さくて くだらない事も沢山あるけど…私は やっぱり人が好き…麓郷の人たちが好き…汗水流して畑仕事する おじさん、おばさん達が好き…静香ちゃんが大好き…忘れないでね 私の事』
忘れるもんですか…『忘れないよ‼️』

佐々木家には3台の車が停まっていた
農事組合長と佐々木家の親戚の車だ!

『静香ちゃん…ここでいいよ!うるさいのが いそうだし面倒だから…私は大丈夫…静香ちゃんみたいなお母さんになる 頑張る。さょ…』静香は恵の言葉を切った

『恵ちゃん…I can't say good bye~』

そして ふたりは同時にハイタッチをして 叫んだ

『さよならは言わない!』

帰り道 迷子の子どもの様に声をあげて泣いた
見てるのは お月様とキタキツネくらい…
だから泣いた
絶対に後ろは振り返らない 振り返ったら 恵を離せなくなる
でも 静香には できない事だから…

茂さん いい娘さんに
育てましたね…
なのに…何故 あなたは…

📖次回予告✏️
結局、佐々木家は誰と
会うこともなく麓郷の地から居なくなった

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