去り逝く者・産まれ来る者【告白】
結局、佐々木家は誰と会うこともなく
麓郷の地から居なくなった
茂の葬儀は密葬という事になり 富良野に住む親戚の手により行われた
この地で苦楽を共にしてきた者は誰ひとり参列する事はなかった
年を越さないと借金の返済方法等はハッキリしない
田中さんも離農する事になったが
借金は残らず 非農家として宅地を置き
麓郷から仕事に就けると聞いた
佐々木さんに関しては農機具・農地・宅地…諸々を組合長に任せて売却する手はずだが そう直ぐに買い手が見つかるとは
ならない

12月24日…
親戚たちが来て佐々木家は全て引き払い完全に出て行った
佐々木さんは もう居ない!
除雪車も入らず 家も道も雪に埋もれている
物悲しい風景である
レタス畑で早朝から収穫をしている茂と礼子 おじいちゃん、おばあちゃん そして
いつも登校前に手伝いをしていた恵の姿を静香は忘れない!
今は白一色のレタス畑に来年 緑色が置かれる事はないのだ
年が明けて暫くした頃に大金が農協に返済された
茂は自分の命と引き換えに家族を守ったのだ
自分に何かあった時の為に(自殺の事ではない!)3人の娘や家族に残す為に 生命保険を何本も掛けていたと後に聞いた
その行為が是か?非か?は 価値観や境遇にもより何が正しいなど誰にもこたえる事はできないであろう!
ただ 静香は思う
“茂さんは逃げたんじゃない…最後の綱を引いただけ…”なのだと…
その返済と農地などの売り上げで個々の
農家の返済額は大幅に減額された事は事実なのだから…
📖次回予告✏️
時は前後するが…
佐々木家が麓郷を去ったある夜
静香は妊娠を淳に報告した
淳は頭を抱えたまま何も語らない…
🎸あなたに会えてよかった🐾


