9月に入り晩夏と秋の気配の中 本格的な収穫期を迎えていた

麦刈りも終り 少しではあるがジャガイモを収穫してD形ハウス(大きな倉庫)の中で毎日t袋(1t入る袋)を朝の内に淳に開けてもらい静香は涼と拓の面倒を見ながら選別作業をした
人参は業者が収穫してくれていた
女工さんのおやつの用意は 恵子が受け持ってくれ時間になると出してくれた
助けてもらう毎日である
涼や拓が病気をしない丈夫な事が救いでもあった
涼一 1歳5か月
拓 3か月
淳も頑張っている
今年はジャガイモも人参も大当りの年と
なった
平田家は作付け面積にも成功して純利益が多く上がった
まだビートが11月初旬と遅出し人参が
残ってはいるがジャガイモに関しては
早い内にお金が入る

9月のある夜
丸ちゃんと本家の叔父が平田家を訪れた
最近 頻繁に本家と丸ちゃんのところに
義父母から電話が入ると云う話しだった
内容は“遅くても12月には麓郷に戻りたい”旨だった
『勝手な話しなんだ💢k青果の従業員が余計な事言いやがって💢“今年は平田さんちは左うちわですね”とほざいたらしい』
それを耳にした義父母は 自分等の農地だ!家だ!帰るのが当然だ!と言い始めているらしい…
本家の叔父は『最終的な入金は後になるが…振り込まれたらその都度引き出して…淳!お前の口座に移せ!そうしないと…全て引き出されるぞ!』
本家の叔父も丸ちゃんも明日1番に明日振り込み予定のジャガイモのお金を淳の口座に移す様に言いに来たのだった
『淳や静香ちゃんがこのシーズン頑張った成果なんだからな❗️土地や家がどうだって…関係ない…そもそも悪いのはあっちなんだからな💢』と丸ちゃんはかなり怒っていた
『ただ全ての名義は正吉だ❗️農協も本人に言われたら…なにも出来ん…』と叔父はうなだれる
叔父は続けて話す
『来年ならよかったんだがなぁ~』
来年ならば義父が60歳~65歳まで貰える農業者年金の関係で名義変更していただろうと…
それに対して丸ちゃんが『いや!名義変更は しないだろうと俺は思うぞ!』
また農業者年金を捨てる事もしないだろう
と…なると…
たぶん淳を小作人として登録するのではないかと話す

農業者年金とは当時
後継者にやる気を出させる事または国民年金が支給されるまでの空白の5年間を埋める目的
近年農業後継者が不足している一端に親父世代がいくつになっても土地などの名義を譲らずに息子たちは意欲もなくなり出て行く もしくは そんな現状を幼い頃から見ている農家の長男は はじめから農業など継ごうとは思わない
その他…亡くなるまで名義変更をしないものだから…
一切農業に携わらなかった きょうだいが遺産放棄をなかなかしないという例も少なくない!本来ならば何年も長男と嫁が農業を継いで来たのだから この先も絶やさない為にも放棄するのが当然にも思うのだが人間は“金”が絡むと醜い
まして法律上権利があるとなれば 権利のみを振りかざす 何とも哀れだ!
健全な農業をしていた農家がそんな事で廃業するケースもある
但し この制度が施行されてから還暦の
年に全てを息子夫婦に譲る農家も多くなってきた
しかし もう ひとつの制度の目的…5年の空白を埋める観点から
後継者がいなくても小作農をしてくれる人がいれば(常時自畑の農作業に従事し 先も従事出来る事を認められた場合に限る)支給対象となる
しかし今どき自分の息子夫婦を小作人にする農家は殆んどいない!
あくまでも後継者はいないが動ける内は小作人と共に農業経営をする 基本的には他人を小作人にして小作料を徴収する形と認識するが稀に 最期まで息子夫婦と言えども譲らないとなる者もいないわけではない!
その場合 年金も欲しいとなれば 息子夫婦を小作人とするだろう
さすがに小作料は徴収しないだろうが…
叔父も丸ちゃんも口を揃えて『正吉は 後者だベなぁ~』と苦笑いだ
『ジャガイモの金は明日入るな!伝票はきてるな!』…
『はい!届いてます…女工さんも使わず静香が毎日選別してくれたおかげで…種いも代・肥料代・諸々差し引かれても 儲けです❗️』
伝票を見て 叔父も丸ちゃんも…
『たいしたもんだ あの
1町もない作付けからこんな収益を上げたんだ!頭が下がるわ~』
静香は黙って 男たちの話を聞いていたが…
嫌な予感 胸騒ぎをおぼえた
📖次回予告✏️
【度重なる…裏切りと失望】
淳…泣いてるの?
もう いいじゃない
私達 頑張ったて思わない?

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