祭壇の前で、ロウソクに火を灯す。
お線香を手に取り、半分に折り、ロウソクにかざす。
昨日の夢のこと。
毎日は手を合わせない私だが、このときばかりは神聖な儀式をしている気がしてならなかった。
スピリチュアルなことは、分からない。
占いをするのも話のネタ程度。
ただ、タイミングはあると思う。
祭壇に向かって、呟く…『ありがとう』と。
涙を流しながら、神事や仏事をしたのは初めてだ。
母に一連の出来事、夢を説明した。
実は今も混乱している。
ただハッキリと言えることは、夢のなかでも祖父に会えたことが嬉しかった。
そして祖父が笑顔だったこと。『ただいま』と、たくさんの白百合を両手一杯に抱えていたこと。
生者の勝手な考えかもしれない。
だけど、嬉しかったという感情は紛れのない事実だ。
そして、泣いて目を覚ましたことも。