夢を見た。
父と母と私、親子3人で台所にいた。
ふと気づけば、いつもと雰囲気が違う。
色が違う。
形が違う。
シックな茶色いシステムキッチン。お揃いの食器棚。形が変わってオシャレになった換気扇…だけど天井が高くて機能的になったかは定かではない。天袋がない。収納にこだわる母にしては取り付けてもらわなかったことが不思議だった。
天井を見上げると、剥き出しのコンクリートと大きなタイル。薄暗くて見えないが劣化が進んでいて雨水も染みている。早く修理しないと家がもたない。キッチンを改装している場合ではないと思った。
ふいに『ただいま~』と廊下から声がした。聞き覚えのある声に『空耳かな?』と両親と話していたら、今度はハッキリと聞こえた。
『ただいま~』
忘れもしない祖父の声。
亡くなって聞けるはずのない祖父の声を確かめるために廊下の扉を開けた。
祖父がいた。
両手にたくさんの白百合を抱えて。あの笑顔で。
驚きと嬉しさ…いろんな感情が込み上げて混乱しながらも泣いている私。
祖父の手を触る。死者独特の冷たさ…あぁやはり祖父は亡くなったんだ。また会えた喜びに祖父に抱きついて、目が覚めた。私は泣いていた。