CGNでのインターンシップを終えて(山邉温子) | Cordillera Green Network インターン体験記

Cordillera Green Network インターン体験記

フィリピン・ルソン島北部のバギオを本拠地に、山岳地方(コーディリエラ地方)で活動する現地法人の環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(Cordillera Green Network:CGN)」の日本人インターンによるブログです。お問い合わせはcordigreen(a)gmail.com
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 みなさま、お久しぶりです。1月中旬から2月末までインターンとしてお世話になりました、山邉温子です。自己紹介以来、こちらのブログに何も投稿することができないままでしたが、最後にインターンの経験について振り返らせていただいきたいと思います。今後、CGNでのインターンを考えている方の何か参考になれば幸いです。

 1ヶ月半のCGNでのインターンシップは、とにかくあっという間に終わったという一言に尽きます。それほど1ヶ月半という期間は短く、慌ただしく過ぎ去って行きました。そして、そんな短い期間にもかかわらず、たくさんの経験や学びを得ることができました。全てはとても書ききれませんので、要点を絞って紹介したいと思います。

 私が主に関わった事業は、持続可能な農業に関するものとスタディツアーやワークショップに関わるものの2つです。

 まず、持続可能な農業に関わる事業についてです。私は、栃木県にある学校法人アジア学院の卒業生であり、その海外研修プログラムの一環としてCGNでインターンの機会をいただきました。アジア学院は、有機農業を基本とし農村指導者を養成する学校であるということもあり、私の主な関心は、「どのように農村地域の人々に持続可能な農業を普及させていくことができるのか」というものでした。事前に代表の反町さんにこの希望をお伝えしていたこともあり、農業に関連する事業によく関わらせていただくことができました。具体的には、カダクラン村の自然農法を行っている農家さんでのホームステイや、コーヒー事業地の視察や買い付けの同行などです。自然農法を実践する先進的な農家さんや、農薬を使用せざるを得なかったり、水不足に困ったりと様々な問題を抱える農家さんにお会いすることができ、農業の現状を幅広く知る機会を多くいただくことができました。


自然農法を実践しているアシュレイ・ラマトンさんです。彼の農場に10日間ほどホームステイをしつつ、自然農法のことやコーヒー栽培の勉強をしました。この時のホームステイの様子は、インターンの美里ちゃんが既に投稿してくれています。


CGN事務所のあるバギオ近郊で有機農業を実践しているロジェール・マルサンさん。CGNの事業と直接関わりはありませんが、CGNスタッフや他のインターンと一緒に見学に行きました。

 次に、スタディツアーやワークショップへの参加です。特に2月は日本からのツアー参加が多い時期のようで、鉱山開発やコーヒー事業地、養蜂センターなどの見学、棚田で有名な村でのホームステイプログラムの打ち合わせ、高校生対象演劇ワークショップの通訳などなど、まさに多岐にわたるツアーやワークショップに参加することができました。これらツアーの参加は、私がフィリピン国内の実情を学べるということに加え、通訳のお手伝いやツアー用冊子の作成等もさせていただく良い機会となりました。

コーヒー農場ツアー
事業地であるコーヒー農園へのツアーです。ツアー参加者がCGN代表の反町さんのお話を熱心に聞いています。ツアーの付き添いのお手伝いをしつつも、農場について学ぶことができました。


演劇ワークショップの様子です。フィリピンの高校生対象に日本人演出家の方がワークショップを行いました。演劇には全く通じていない私でしたが、通訳として参加。まったくの新しい世界に驚きつつ、高校生たちの演技が変化していく様子を楽しく感じることができました。

 これらの事業への関わりの中から、インターン生として感じたことについてお伝えしたいと思います。

 まず、役立ったことはわずかながらの語学力です。私は、インターン直前まで、アジア学院にて様々な国の人々と一緒に英語を使って生活をしてきました。その際に身につけた、日常会話レベルでの日英通訳の経験がCGNで役立つことが多くありました。CGNは日本との関わりが強いNGOのため、訪れてくる日本人がたくさんいらっしゃいます。その時に簡単な日常会話の橋渡しができるだけでも、喜んでくれる人は多くいることに気づきました。

 しかし、フィリピンの方々だけのコミュニティとなると事情は異なります。その場合は、英語よりも現地の言葉の方がずっと役に立つのではないかと感じました。その場合に必要なことは、語学力というよりも相手の文化をもっと知りたい、理解したいという純粋な好奇心です。フィリピンはどこにいっても英語が使える国ですが、やはり村の人々とコミュニケーションをとる際には、現地の言葉を覚えたり、関心を持ったりすることで打ち解けやすくなるという印象を持ちました。ところが、この現地の言葉を覚えるのがなかなか難しく、結局私は話しやすい英語に頼ってしまったように思います。村ごとに異なる言語が使われていることもあり、それらを習得するのはとても難しいことですが、彼らの言葉に関心を寄せるという態度が大切だと感じました。

 また、CGNでのインターンはもともと持っている知識や経験を大いに発揮できる環境であると感じました。特定の技術が何かあれば、それらを共有できるように事前に準備されておくと良いかもしれません。私の場合は、農村開発について学んでいたため、持続可能な農業に関するプレゼンテーションを地域の方にさせていただきました。しかし、事前に十分な準備も出来ておらず、うまく伝えることができなかったと反省しています。現地の事情は、実際にインターンを始めてみないとわからないこともありますが、自分が持っているスキルや経験を人々と共有しようという心構えやちょっとした準備をしておいても損はないかと思います。(難しいものではなく、歌や踊り、絵を描く、子どもと遊ぶなども大いに役立ちます!もちろん、専門的な農業、芸術、教育の経験なども大活躍です。)


こちらがプレゼンテーションを行った村の方々です。発表したテーマは「複合型農業について」。拙い英語でも一生懸命聞いてくれました。

 最後に、健康管理はとても大切だと感じました。私が滞在した1月、2月はバギオでも寒い時期であり防寒が必須でした。また、CGNの事業の特性上、事務所のあるバギオからバスやジプニーで移動することが多くあります。だんだん慣れてくるものですが、やはり移動後の疲れはどっと出てしまうことも…。そうやって疲労が溜まると、人間弱気にもなりますので、疲れた時は思い切って休むことをお勧めします。ただ、私の場合は休みすぎて、あまりバギオという町を楽しむことが出来ませんでした。それは仕方ないことですが、また別の機会に観光できればと思います。インターンをしつつ、町の雰囲気や人々との交流をもっと楽しみたい場合は、少し長めに滞在すると良いかもしれません。

 以上、私が感じたことを少しばかり述べさせていただきました。代表の反町さんを始め、スタッフ、ボランティア、他のインターン生など関わっている方々は本当に良い人ばかりです。短い滞在にも関わらず、私の関心に応じてスケジュールを組んでいただいたり、たくさんのことを教えていただき、さらには生活面の心配もして頂いたり、本当に感謝でいっぱいです。フィリピンならではの人々の明るさ、前向きさを楽しみつつ、たくさんのことを学べる場です。インターンとして長期滞在するのも、スタディツアーを利用して短期滞在もおすすめですので、是非一度、訪れてみてください。