オウム真理教の後継団体であるアレフの動向が気になる。
公安局が立入にはいったときくらいしかテレビも様子を報道しない。
これでは若い子たちが一連のオウム事件をしらなくともしょうがないかも
しれない。
アレフはおそらくいまだヨガ教室とかを装ってオウムをしらない
世代とかを勧誘しているだろう。
オウム真理教の事実上ナンバー2といえば、科学者の村井秀夫で
あったが、今考えても村井秀夫の存在にはぞっとする。
組織の中でも地位もあり、科学者でもあり、弁もたつ。
ワイドショーやニュース番組に出演したときには、あれほどインテリっぽく
冷静にオウムが無罪だと話していたにもかかわらず、裏では松本サリン事件や
地下鉄サリン事件のことをすべてしって指揮しており、しかも松本サリン事件
においては松本へ向かうサリン車のなかで、魔法使いサリーを歌っていたと
いうから、本当にその表と裏の顔には恐ろしいものを感じる。
村井秀夫と同じく教団のナンバー2といってもよかった当時のスポークスマンの
上祐史浩氏と異なるところはそこである。
上祐氏の場合はサリン事件の際、ロシア支部にいたので一連のサリン事件に
はかかわっていないというのがある。
マスコミ対応要員として事件後、麻原から日本に呼び戻されたのだ。
情報が正しいとすると、上祐氏は一連の事件はオウムがやったというのを
上から聞かされていない。
だが、自分の推測で「一連の事件は教団の仕業」だと判断しつつも、教団というか
自分の居場所を守るために弁解や嘘をついていたということ。
すべてしっていて指揮もとっていた村井秀夫との違いはそこにある。
それもふまえると、やはり村井秀夫の冷酷さには恐怖を感じずにいられなかった。
濱嘉之という人のオウム事件をモチーフにした「カルマ真仙教事件」というシリーズを
すこし前に3冊読んだ。
そこには村井秀夫をはじめとする実在するオウム信者、幹部たちが名前を変えて
登場していた。
最初タイトルだけ見たときは、世間で騒がれていたオウム事件に便乗しただけの
小説かと思ったが、作者の人はどうやら元警察関係の人らしい。
(上)
――
警視庁公安部OBの鷹田は絶句した。カルマ真仙教元信者の死刑囚から、秘かに五億円もの
金を預かっている男がいたのだ。死刑囚について口を閉ざす男の余命は三ヵ月。
二十年の時を経て、あの時が蘇る。すべての蛮行に終止符を打ったはずだったのに。
自らの捜査経験をもとにした著者渾身の注目作!
(中)
――
カルマ真仙教教団施設に対する強制捜査が二日後に迫った朝だった。
都内地下鉄車内で毒ガスが撤かれたとの一報に、公安部鷹田は愕然とした。
どこから情報が漏れたのか。公安は、防げなかった―。多数の被害者を出した駅で惨状を
目の当たりにした鷹田は鳴咽し、固く雪辱を誓うが。怒涛の警察小説!
(下)
――
教団幹部が次々に自白を始め、ついに身を隠していた教祖阿佐川が逮捕された。
一方、長官狙撃事件は容疑者が絞れぬまま、迷宮入りが囁かれ始める。
度重なる捜査情報の漏洩と内部告発で公安部が揺らぐ中、鷹田はある決断をする。
貸金庫の大金と北朝鮮の関係は。平成最悪のテロ事件を描いた鎮魂の全三巻、完結!
(それぞれamazonのデータベースより引用)
実際に死刑判決を受けた人間は以下のように、名前を微妙に変えて登場している。
麻原彰晃→ 阿佐川光照(こうしょう)
村井秀夫→ 村本正雄
早川紀代秀→ 早池実知昌
新実智光→ 新間智之
土谷正美→ 土坂正道
岡崎一明→ 岡元一尚
井上嘉浩→ 井出博樹
一方で教団を脱退したり、刑期を終えた人間は本名とまったくことなる
名前で登場しているが、教団の弁護士だったり、スポークスマンだったり
あるいは、教祖の愛人とかだったりするので、一連のオウム事件を記憶している
人間であれば、誰が誰なのだかすぐにわかる。
amazonなどのレビューを見ると、けっこう評価は高いようだけれども、
オレ個人的にはちょっとという感想。
団体名や個人名などを変えただけであとは、もうオウム事件の報道そのまま
なので、これだったら一連のオウム事件のルポを読んだほうがいいような気もする。
それと、当時のオウム事件の時代背景を一冊(合計3冊)に詰め込み過ぎな気もする。
国松長官狙撃事件も「国枝長官狙撃事件」として描かれているが、そのエピソードは
なくてもよかったと思う。
事実、当時はオウムの仕業だと噂されていた狙撃事件だが、結局その線は薄くなって
きたとあとになって報道された。
ただ、オウム事件の背景をそのまま名称だけ変えて書いているので、オウム事件を
しらない若い人が読書感覚で読んで、オウム真理教事件がどんなものだったのかしるのは
よいかもしれない。
オウム事件……
自分と同年代でも、もう興味が薄れてきているかもしれない。
ナンバー2の村井秀夫はけっきょく教団の犯行について、自分で口を割る前に
刺殺されてしまった。
村井の口からすべての真実を聞きたかったというのは、国民多数が考えた
ことだろう。
機動戦士ガンダムに登場した女性キャラクター、ミハル・ラトキエの言葉に
「いつまでもこんな世の中じゃないんだろ?」
というのがある。
たしかに今の世の中はまだまだ生きづらい。
生きづらいからこそ、宗教にすがる若い人も増えて来る。
話題にならないだけで、今もどこかでオウムのようなカルト団体が誕生、活動
しているかもしれない。
それを防ぐためには我々はオウムを忘れてはならないし、オウム事件を
もっとしらないといけない。
オウム事件を考えることは、我々に課された半永久の宿題なのである。
※この記事はタイマー更新です