ブラックジャック | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

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……

 

いろんなカルチャーネタを書いてきたから、オレにたいして

これも当然人生で通過してきただろうと思ってくれている人も

いると思うので一応自分から先に話しておくと、上に書いた

モノはオレがまったく‘通過してこなかったモノ’の代表的な一例である。

 

周囲の同級生はみなハマったり夢中になってきたけれどオレ自身は興味を持てず

スルーしてきたカルチャーたち。

友達が話題にしていたから多少しっている部分もある(北斗の拳にジャギという

キャラがでてくるなど)もあるので、このブログで小ネタにしたりとかは

あるが基本詳細はしらない。

 

オレは好きなものについてはとことん知識を吸収してきたが

スルーしてきたジャンルに関しては、ファンからしたら信じられない

といわれるほど疎いのである。

つまり知っているジャンルとまったく知らないジャンルの高低差が

激しいのだ。

 

先日最終回を迎えたドラマ「半沢直樹」も一歩間違えばスルー領域に入っていた

のだけど周囲の強いススメもあり、かろうじてスルー系からハマり系に仲間入り

した。

 

そういえば米倉涼子が出演していた外科医モノのドラマもかなり流行ったようだが

1回も観たことがない。

 

生粋の文系人間で、昔から化学とか理科が苦手だったこともあり、俗にいう

「医療系モノ」というジャンルがどうも苦手なのである。

 

医療系で通過してきたものといって思いだすのは……

そうそう、20代の頃に読んでいた週刊少年マガジンで連載されていた

「スーパードクターK」くらいかもしれない。(まだやっているのだろうか?)

 

なので手塚治虫の「ブラックジャック」も当然ずっと読んだことがなかったの

である。

 

だが、数か月前に立川にある「まんがぱーく」に久々行く機会があり

そこでせっかくだから「ブラックジャック」を試しに読んでみようと思い

1、2巻だけ読んでみた。

 

 

 

 

これ、とても面白いではないか。

もっと早く読んでおくべき作品だったと反省する。

 

手塚治虫自身、医療にたいする知識があったのだろうか。

なければないで、それでここまで何話も描けることがすごいと思う。

とてもわかりやすい。

 

これは医療や人体の科学そのものがそれほど難しいものではなかった

ということなのか、それとも医療はやはりとても難しいものなのだけれど

手塚治虫の描き方がとても優しく天才的にわかりやすいものなのか

どちらかだろう。

 

最初読む前はブラックジャックのことを、ゴルゴ13のドクター版のような

ものだと思っていた。

 

ゴルゴ13はクールで冷静沈着だが、見方を変えればちょっととっつき

にくいスカしたキャラである。

ブラックジャックもそんなキャラかと思っていたけれど、読んでみたら

けっこう人間らしく、戸惑っている表情を見せたり、依頼主に弱みを握られて

困る表情を見せたりしていて、それが親近感あって良かった。

 

 

外科医としての腕はたしかだが、医師免許がなく法外な料金を要求するという設定も

エンタメとしてはいい。

あまりにもクリーン過ぎると、面白くなくなる。

クリーンな部分とダークな部分の絶妙なバランスがまたいいのである。

 

医者って人の命にかかわることを扱う仕事だから腕前って大事。

安くてまずいラーメン屋に行列はできないけれど、高くて美味いラーメン屋には

行列ができる例と実は似ているかもしれない。

 

あと、たしか林修先生がいっていたんだっけかな?

 

ベテランの年を召した内科医と、まだ若い内科医だったら

どちらのほうが信頼できるか?という話。

 

若僧よりも経験を積んだ老医者のほうが頼できるというのが

世間一般のイメージで強そうだけれど、実は患者の死亡率はベテランの内科医の

ほうが高いらしい。

 

医学系の大学をでていろいろ研修してきた若い医者は、最新の技術や情報を

元に治療を行うけれども、ベテランの医者は自分たちの時代に教わったことにたいする

こだわりが強く、「いや、私たちは昔からこうやってきた」と、古い情報に固執して

しまうケースが多いらしく、それでミスを招いてしまいがちだということだ。

なるほど。すべてのベテラン医師がそうだとはいわないが、その論理も一理あると

思えた。

 

ちょっと話はズレるかもしれないが、覆面アーティストのバンクシーと

ブラックジャックはちょっと似ていると思う。

 

バンクシーの落書きアートは書類上でいえば違法。

だけれどそのアートと腕前は大衆から求められている。

 

ブラックジャックも医師免許がないので、医療をすることは違法以外の

何者でもないのだが、人の命を救う腕前はたしかでそれは民衆から

求められている存在である。

 

お笑いや、歌や、芝居や、文章の世界でも、たしかな腕前を持っていながらも

なかなか目をつけられず生活できない人もいれば、たまたま運がよかったり

人たらしの才能があっただけで、成功している人もいる。

 

世の中における人間の才能と運のバランスってなかなか難しい。

才能があるから認められるわけでもなければ、いい人だから認められるという

わけでもないのが悲しい。