ア・フュー・グッドメン | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

仲が良すぎたり、絆が強すぎる職場もいかがなものかなと思う。

ドラマ「高校教師」や「ひとつ屋根の下」でその名を広めた人気脚本家の

野島伸司氏は、自分が脚本を手掛けたドラマの撮影現場には極力足を運ばない

ようにしていたという話を聞いたことがある。

 

実際に出演している役者さんと会うと、いい人だというのが改めてわかって

しまうので、脚本を書くにあたって「良い役にしてあげよう」という私情が入るのを

防ぐようにするためらしい。

その心得はさすがプロ。

 

仮に出演者と仲良くなって私情が入ってしまったとしても、この場合はドラマという

娯楽の職場だからまだいい。

 

これが、権力を持っていたり、人を裁く立場の人間がいる現場内での‘仲良し過ぎ’

だと、ちょっと危険だったりする。

 

白バイが飲酒運転やスピード違反の車を見つけて捕まえてみたら、運転していたのも

警察官で、同じ仕事仲間だということで白バイ隊員がその違反をもみ消しただとか、

警察官の不祥事を警察が組織がらみで隠蔽したとかいう話をきくたびにそう感じる。

 

かなり昔に公開された真田広之主演の映画「新宿鮫」。

主人公の刑事である鮫島は武闘派で同じ警察署内で嫌われ者だった。

どうして嫌われていたかというと、同じ警察官相手でも不正をおこなったら容赦せず

検挙するためである。

同僚たちからは「仲間なんだからすこしは見逃してやれよ」という視線を向けられ

ている。

 

でも、鮫島のやっていることはごく当然のことであり、一般市民からすればたとえ身内でも

市民と差別せずしっかり追いつめて逮捕するというのは尊敬に値する行為だ。

しかし、やはり組織の中においては「内々に処理する」「甘く見る」という風潮が今でも

多いというのは身を持って感じる。

 

アメリカのトランプ大統領の弾劾裁判でも、トランプの身内である共和党の議員から

ひとりだけ謀反者がでたようだ。

その議員の主張がどういうものだったかはわからないが、それでもただひとり謀反した

というのはたいした度胸だと思える。

 

でも、さきほどの警察官(白バイ隊員)の例にしても、もし自分がその立場だとしたら

果たして正義を貫けるかといわれたら、100%の自信はない。

 

スピード違反でも軽犯罪でも、実際捕まえてみたら、同じ警察でしかも自分より階級が

上で、「このくらい見逃してくれよ」とすごまれたら、最終的には許さなかったとしても

そこにつきつくまでグダグダと長い問答が存在するかもしれない。

 

だからオレはあまり人を裁いたり、管理したりする仕事やポジションにはつきたくない

のである。

いわゆる第3者的な立場。

 

まったく関係ない位置の人を裁くならまだ楽かもしれない。

同業者や知り合いなど同じ組織・ジャンルの中におかれた人間を第3者的視線で

裁くものになると、今後のしがらみや売買収などありそうで考えただけで頭が痛くなる。

 

よって自分にはそういう責任の大きい役割は不可。

 

昨年、映画「ア・フュー・グッドメン」を観た。

存在とその評価はけっこう前からしってはいたが、難しいストーリーっぽい印象だった

ので観てないままだったのだが、いざ観てみたらかなり面白い法廷サスペンスだった。

 

軍隊における組織図的なことなど専門的なことはあまりよくわからないので、

もしかしたらオレが間違った解釈をしているのかもしれないが、

これも大まかにいえば、軍隊内という同じ畑にいる人間が同じ畑の人間を裁いたり

弁護するような話だと思う。

 

 

 

――

キューバの米軍基地で、兵士同士の殺人事件が起こった。

弁護団は、海軍の暴力的制裁「コードR」が事件に絡んでいることをつきとめる。

だが、基地の総司令官ジェセップ大佐の陰謀で、暗礁に乗りあげてしまう。

従来の法廷作品と一線を画するのは、つまるところテーマが「軍隊とはなにか」「軍隊は正義か」で、

どちらが正しいとも言いきれない状況のなかで争われる点だろう。
   トム・クルーズやジャック・ニコルソンなど、豪華なキャストだ。

トムは「ジャック・ニコルソンと共演できる映画に出演しない役者なんていないよ」と語っている。

確かにトム、ニコルソン、ケビン・ベーコン(検事)がそれぞれの正義、プライドを激しくぶつけあう姿は

見ごたえがある。

(amazonレビューより引用)

 

「コードR」というのはすごく簡単にいえば、軍隊内の‘しごき’である。

引用した解説にあるとおり、それによってひとりの兵士が殺される。

 

実行犯であり容疑者でもあるのは他の兵士ふたり。

その背景にはいろいろと絡んでくるのだが、例によって権力をもった上の

人間ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)がそれを隠蔽?しようとし、真実を突きとめようと

動くトム・クルーズたちの前に立ちはだかる。

 

実際の世界にそこまで正義感と熱をもった人間なんていねえよ!といいたくなる

くらいにトム・クルーズたちが熱心すぎるが、そこに違和感をおぼえることもないほどに

その演技とスリリングな展開に引き込まれた。

 

果たしてオレの解説と解釈が合っているのかどうかも自信ないので、筋に関しては

これ以上書くのをやめておくが、とにかく面白いことは間違いなかった。

ジャック・ニコルソンがハマり役。

 

ストーリーが難しいかなと思ってずっと敬遠してきても、いざ観てみたらものすごく

面白い映画というのはかなりたくさんあるものだな。