令和も高尾山で厄落し登山 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

2、3週前の話になるが、今年もひとりで高尾山へ登ってきた。

ここ数年、自然とほぼ恒例になりつつある。

レジャーというよりも、孤独にモクモクとひたすら歩く禊のような

感覚だ。

一歩一歩歩いて汗が流れるたびに、邪気が振り落とされてゆく気分になる。

 

台風の影響が心配されたが、水流が目玉の6号路以外はだいたい通行可能。

京王電鉄も観光客離れを防ぐため、中吊りや看板で、高尾山は元気です!

とアピールしている。

 

これは京王線高尾山口駅に置かれた看板。

 

 

訪れたときは紅葉全盛前だったけれど、駅の改札でてから

麓のケーブルカー駅までかなりの人手だ。

加工が大変なので、以降比較的人が少なく映る角度とタイミングで

撮影。

 

 

麓あたりもところどころ紅葉が見える。

 

 

例によってケーブルカー乗り場に向かい右手にある1号路から登山に入る。

 

いつも思うがやはり麓から足で登る人は少なく、ほとんどの人が途中までケーブルカー

で移動している。

 

はじめのほうの登山道画像は画的に地味で変り映えしないので省略。

 

途中で直進か展望台を経由するかの分岐点にさしかかる。

 

これまでは直進コースを選んでいた気がすることもあり、どうせあとですぐ同じ道に

合流するので、今回は展望台経由の道へすすんでみる。

 

こちらは展望台からの眺望。

 

 

スマホだと鮮明に撮影できないが、埼玉のほうまで一望できる。

 

解説板も設置。

画像では移せなかったが、左側の遙か遠くにたしかに西武ドームの

銀色の屋根も確認できた。

 

 

景色を眺めたら、先へ進む。

 

しばらく歩くと、夏場にはビアガーデンが開催される茶屋エリアに。

ここを通ると、高尾山にきたという気になれるスポットのひとつだ。

 

 

しかし、先へすすめばすすむほど人が多い。

すれ違うたびに聞こえてくる言葉の7割がハングル語のような気も。

 

ここでもケーブルカー乗り場は長い列だ。

 

 

晴れているだけにここから見える山々の頭も綺麗だ。

 

 

ひとりできて、ひとりで見つめるこういう風景もなかなか良い。

家をでてから約1時間でこんな景色に出逢えるのだから、高尾山はやはり

ありがたい存在である。

 

人が混雑する茶屋エリアを抜けてゆくと、右側にこんな門?が見えてきた。

今までもあっただろうか。

高尾山には何度かきているがあまり見た記憶がない。

 

 

「苦抜け門」。

 

よく見ると表面に苦という字が書かれていて、「口」の部分を通り抜けるように

なっていた。

嫌なことばかりあるため、禊と邪気払いのような登山なので、ここは通っておこうと

思った。通過の際、厄が削ぎ落されるような気がしたので。

 

苦抜け門をくぐり階段をあがってすすんでゆく。

塔や碑があるスポットにでると、そこを経由してふたたび1号路メインに合流。

 

ここも毎回紹介している大好きな風情ある通路。

 

 

ここの手前でつり橋がある道への分岐点となる。

迷ったのだけれど高尾山に登るからには薬王院は立ち寄りたい。

つり橋のある通路だと薬王院を通らずに山頂へといってしまうので、今回もそのまま1号路

を直進した。

 

そして薬王院到着。

薬王院途中にある階段の横には緑の中に像が立っている。

子供のころ、プラモデルの箱の下のボール紙部分を土台にジオラマをつくって

そこにこんな感じでキン消しを立てて並べたのを思いだした。

 

 

 

沈む準備にかかった太陽の光に染まる薬王院周辺には哀愁が漂っている。

日陰がいい具合に加工になって手間がはぶけた。

 

 

さらにすすみ、登山開始から2時間かからずに山頂に到着。

 

たくさんの人で大賑わいだ。

自撮りしている外国人観光客が多い。

ここでもなんとか人があまり映り込まない角度とタイミングで撮影。

画像だと少なく見えるが、実際周囲を見回すとホコ天並の人だった。

 

山頂を示す碑には撮影の順番待ちの列ができていた。

 

 

山頂でも紅葉がちらほら。

けっこう赤く見事に燃え上がっていた。

これをみんなで見ながら飲み食いする「紅葉を見る会」を開催したいものだ。

真っ赤なだけに血税使って。

 

 

きた道をそのまま引き返してもおもしろくないし、すぐに麓についてもまた物足りないので

下山は前回同様、もっとも長くて一番山道らしい稲荷山コースをゆく。

 

1号路や山頂はあれほど賑わっていたのに、稲荷山コースに入ったとたん、急に静かに

なり、途中まではあとから続いて降りてくる人もなく、また前から登ってきてすれ違う人もなく

急に寂しくなった。

 

山頂での喧噪が嘘というか、狐につままれたような妙な気分だ。

何とおりかの通路を持っているとはいえ、やはり高尾山は観光地として人気なのだろう。

登山客のほとんどが王道の1号路かケーブルカー移動しているので、ガチ寄りの登山道は

あまり使わないように捉えられた。

 

基本的には人ごみよりも静かでいい具合に孤独を感じられるシチュエーションを好むオレ

だけど、さすがに人の賑わいの温度差が激しすぎて、なんだか自分だけ世界のひずみに

迷い込んでしまったような寂しさと恐さを感じた。

 

1号路と違い、途中にトイレも茶屋も一切ない。

純粋な山道。

周囲は木々に囲まれているうえ、この季節になると陽も落ちるのが早くなり街灯の類も一切ないため、

気味悪いくらい薄暗いのだ。

 

暗くなるのが早いことを考えていなかったため、心細さとすこしの後悔を感じながら下っていたら

うしろから後続の人の気配がして、姿が見えた。

そして、ほんの数組だけど前から登ってくる人ともすれ違い安堵。

 

人に比べて歩く速度が速いため、歩いているうちに前をゆく人の姿も見えて追いついた。

 

 

画像だと明るく見えるけど、実際の体感だともっと鬱蒼としてて暗い。

ここは稲荷山コースの中でも幅が広めの道。

 

2時間ほど歩いて無事下山。

ほっとした。

ときどき、本当にこのまま遭難するんじゃないかと思った。

 

今後冬の午後に下山するときは、稲荷山コースを避けたほうがよさそうだ。

 

麓から駅まで戻り、京王線で帰宅。

禊終了。

季節の割にはいい汗をかけた1日だった。

 

一歩また一歩と歩くたび、体の中の悪い運気が汗の玉となって毛穴からそとへ出された

ような気はした。

 

身近な山でここまで緊張感ある下山ははじめてだったが、やはり高尾山はいい。

これからも年に1回はゆけたらゆこうと思う。