お多幸@新宿 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

先週終盤の夜は友人に会いに雨の新宿へ。

 

天気が天気だったので、紀伊国屋書店の地下にて待ち合わせ。

実は紀伊国屋書店の地下通路にいろんな飲食店が並んでいるというのを

ここ数年でしった。

昔からそうだったのだろうか。

だとしたら長い間新宿を拠点に歩き回っていたことがあるだけに情報不足を

恥じるばかりだ。

 

待ち合わせ時間よりもほんのすこし早めに到着したので、通路をふらりと歩いて

みた。

吉祥寺で有名な油そばの「ぶぶか」があった。

ちょうどこの記事をアップした今日あたりじゃなかっただろうか。

感謝デーのような感じで2、3日とても安く提供するようなポスターが張ってあった。

 

それと「モンスナック」というカレー屋があり、カレー通には有名な店だ。

気になる一店なので、いつかは訪問してみたい。

 

さて、時間通りに友人と合流。

地上にでてから歩いてすぐの目的の店へ。

 

「おでん」の老舗でしられているこちら。

 

『お多幸』

HPはココ

 

 

かつて営業で新宿を歩き回っていたり、プライベートで呑み歩いていた時代

から店の前は数えきれないほどよく通り、そのころから存在はよくしっていたが

すこしの間新宿の路地を歩かなくなったうちに外観からなにまで生まれかわった

ように綺麗に変わっていた。

 

急激な冷え込みと雨で体が冷えるような天候だったこともあり、外からでも

店内が大盛況なのが伝わってくる。

 

友人を先頭にいざ店内へ。

かなり混んでいるようだったが、2階の席が空いていたようで運よく案内された。

地下もあるようで、どうやら収容キャパは思った以上のようだ。

2階からの階段も見えたけど、3階もあるのだろうか。

だとしたら、これは立派なおでんビルである。

 

ビール画像はこれまでの居酒屋記事と変り映えしないので省略。

 

「おでん盛り合わせ1人前」

 

 

専門店の本格的なおでん。

寒くなってきたこの時季、おでんはありがたい。

身に染みるとはまさに字のごとく。

 

そういえば小学生のとき、シャーペンの芯を買うと、オマケ玩具的な消しゴム

がついてきたことがあった。

ペンにかみつかせ、そのまま話すと入歯部分だけがペンに残る「かみつきバアチャン」

というのがあったのはおぼえているが、「おでん消しゴム」というのも存在した。

全国区であれば同世代でおぼえている人はけっこういると思う。

 

大根やはんぺんなどのおでんの具に似せて作られた消しゴム玩具で、黄色い

カラシに似せた小さな消しゴムと、それを乗せるプラ性の白い小さなおでん容器まで

セットになっていた。おぼえている人いるだろうか?

 

当時、シャープペンはほとんど使用しなかったが、そのオマケ欲しさに小遣いはたいて

芯を買った気もする。

 

ちなみにおでん消しゴムは子供たちに人気を博したため、のちに別の玩具メーカーが

真似たものをガチャガチャの景品として世に送り出した記憶がある。

 

ブログのタイトルに‘クロニクル(年代記)’とあるだけに、一応一部の人だけがわかれば

いい懐かしネタも入れてもみた。

 

正式なメニューは失念レストラン。

「あんきも」なんとかだっただろうか。

 

 

以下のメニューは一緒にいた友人ともほぼ好みがシンクロして

ふたりして頼もうかと思っていたものだったから、オーダー数を抑えることが

できた。

 

「揚げチーズ」

 

 

なかなか上品で酒の肴に合う。

 

 

「栃尾油揚焼」(奥)「厚焼き玉子」(手前)

 

 

栃尾油揚焼は新潟旅行を思いだし、厚焼きは諏訪の旅行での朝食を

思いだした。

新宿発、舌の記憶旅行。

 

 

これは「梅サワー」だったかな?

 

 

ここまで全体的に色はついていなかったが、こちらは浅草の「捕鯨船」を

なんとなく思いださせる雰囲気だった。

 

ラストはおでんをバラのお好みで注文。

 

 

 

皿にあるものすべてがいうまでもなく美味かったけど、シューマイは出汁がよく

しみこんでて美味かった。

 

おでんでシューマイというと、やや邪道を感じるかもしれない。

回転寿司のにぎりでいえば、ハンバーグや塩カルビみたいに。

 

でもやはり美味いものは美味いし、それをあえて具にしてみるという着眼点は

ある意味でチャレンジだと思う。そしてその相性の良さを発見するというのは

ひとつの功績だ。

 

シューマイおでんについての発祥が果たしてここなのか他の店なのかわからないが、

おでんの具に限らず誰もやったことのないことをやった人間をはなから邪道だとか考え方が

オカシイだとか批判するのはやはり違うかなと痛感させられる。

守りに入る人間ほど、人と違う発想を持つ人間を叩いて自分は正常だと己にいい聞かせて

いるのだろうなと。

 

いやあ、しかし「おでん」は素晴らしい。

 

何度も書いているかもしれないが、子供のころは鍋とかおでんとか好きじゃなかった。

別にまずいと思っているわけじゃないが。

 

どうしてそう思っていたかという理由が最近だんだんわかってきて、おでんや鍋というのは

それぞれの具に魅力がありながらもメインというものが存在しないのだ。

 

野球でいえば、確固たる4番打者が存在しないんだけど、安定しているチームといった

ところだろうか。

 

たとえばハンバーグ定食ならばハンバーグがメインの4番で、ライスが3番。

添えてある野菜が下位打線。

 

ラーメン炒飯定食ならば、ラーメンが4番で、炒飯が3番。

 

でも、おでんには4番がいない。

 

出汁がたっぷり染みこんだ大根は人気あるし、オレも大好きだけれど、じゃあ、

その大根だけたっぷり盛られてだされたところで心ときめくかといわれたらそうじゃない。

 

どんなに大根がおでんの人気メニューであっても、それだけでは華じゃないのである。

 

メインとしては物足りない部分がある。

だけど「おでん」の醍醐味は、メインなき「個性的なおかず」だけで固められたチーム

であるところにあるのではないだろうか。

 

地味ながらも安定感のあるチームリーダー「大根」

関西と関東でその認知度と人気が面白くわかれる「ちくわぶ」

どことなく助っ人外国人のような感じの「ソーセージ」……

おっと、卵の存在を忘れちゃいけない。

 

メインひとつをガッツり楽しむのもいいが、バラエティに富んだおかずをつまむのを

楽しむ。それがおでん。

それが楽しめるようになれたときには大人の階段ひとつ上ったシンデレラ。

 

おでんケースの中には○や△や□の形をした具がたくさん煮えている。

 

店内を見回すと、おでんを食べながら酒を吞んでいる人間も若かったり、老いていたり。

丸顔だったり、四角顔だったり様々だ。

 

人間もおでんも個性がそれぞれだ。

それを思うと、この店内……というか世の中そのもの、」中でいろんな人間が煮詰まっている

おでんケースのように思えてきた。

 

今回の呑み会は、疲れ果て煮詰まっているオレを気遣った友人がオレの誘いに応じて

来てくれて、店も選んでくれた。

本当に嬉しい限りだ。