湯の花天女 (前編) ~甌穴から四万温泉へ~ | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

まずはじめに前回の短編について――

 

残念ながら「松井史江」という女性は存在しません(笑)

モデルとなった実在の女性もいません。

 

実在しない女性と過ごした時間も当然存在しないので、大筋はオレが描いた想像の世界です。

松井史江は静かな温泉地に似合うヒロインとして、オレが生み出した架空の女性です。

ですが、温泉地にかんしてはモデルの場所が実在し、それは四万温泉でこれまで数回訪れて

います。

なので松井史江以外における内容の一部は実話であるといえるでしょう。

 

この話はもともと数年前に太宰治賞に応募して落選した原稿用紙300枚の作品であり、

それを記事一回分に強引に短縮編集したもので、今夜からの本編温泉旅記事における

「食前酒」的な要素として楽しんでいただければという想いから先行アップした短編です。

 

昔、四万温泉にはじめていったとき感動し、その場所がとても好きになりました。

そのときはまだ執筆活動をしていなかったのですが、のちに開始して2作目くらい書き終えた

あと、

「ああ、恩返しもかねてあの素晴らしい四万を舞台にした綺麗な話でも描いてみたいな」

と思って書き始めました。

 

男ひとりでフラフラしている様子をただひたすら描いてもツマランと思い、女性を登場させて、

思い切って好きでもない恋愛モノの世界観に挑戦することにしました。

構成から人物設定まで考えているうち、「こんな女性がいたらいいな」というオレの妄想と願い

から「松井史江」は誕生しました。

 

最初に書いた通りモデルの女性はいませんが、「史江」という名前は実は株式トレーダーの

若林史江の名前からもらいました(笑)

 

昔、東京МX(東京ローカル)の「5時に夢中」という番組の中で名前についてトークしていて、

そこで出演者の若林史江が自分の名前について

「『ふみえ』っていう名前がなんか‘古風’に思えてコンプレックスだったときがあった」

といっているのを聞き、

「古風っていえば古風かもしれないけど、日本的な綺麗な響きの名前ではあると思うなァ……」

と感じました。

 

そのとき、「史江」という名前が味のある温泉街にいる女性に「しっくりくる!」と

感じ、名前を拝借させていただきました。

顔のイメージはテレ東の狩野恵理アナです。ノリや人格は別、あくまで作りだけ。

ちなみに苗字の「松井」は同番組で若林史江の隣りにいる人の本名から拝借(笑)

 

と、それだけ先にお伝えさせていただいたところで、御想像のとおり先週久々に四万温泉に

またひとりでいってきました。

ちょっといろいろとヤラれちゃってきてるので療養の意味も含んで。

 

食前酒「史江」のあとは、メインである本編の旅記事をお楽しみください。

「史江」のその後については気力があるときいつか本作を改めて改編してアップするかもです。

ではでは……

 

 

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改めて、本編。

 

出発当日朝6時におきて、まずは大宮まで。

大宮からはいつもどおり、高崎線にゆられながら乗り換えの高崎駅を目指す。

 

車両のドアの上に電光の行き先表示がでるのだけれど、そこに「鴻巣」から

「コウノス」と表示が移るたびに

「漢字で『鴻巣』だといかにも日本の駅って感じだけどカタカナで『コウノス』って

なるだけでなんだかヨーロッパのほうの都市の駅名みたいだのう」

といっつも思う。○○ノスってあたりが。

 

大宮から1時間半くらいで高崎到着。

ここからオレの大好きな吾妻線に乗るのだが、今回驚いた。

4両どの車両にもボックスシートがないではないか!

吾妻線といえばボックスシートというイメージで、そこに座って進行方向の景色を

みつめるのが楽しみだったのに……

 

ボックスシートがない吾妻線が存在するなんてしらなかった。

しょうがないので横一列のシートに腰掛けて出発を待つ。

 

ちょっとおとなしい系の女の子3人組があとから乗ってきて

向かいのシートに座った。

 

そのあとまた別の派手系(ギャルやヤンキーじゃない)の女の子ふたり組が

ひとつ空けてオレの隣りに座った。

 

派手な女の子のグループの動作を見つめるおとなしい女の子3人組の

冷めた目がオレの位置から露骨に見えて、すこしイタかった(-_-;)

 

ちなみにひとつ空けて隣りに座ったふたり組の女の子にかんしては、

偶然エピソードがあるので忘れなければ次回以降追って書くことに。

まあ、そんなたいしたことじゃないが。

 

午前11時くらい。

四万温泉の玄関口である中之条駅に到着。

 

四万温泉へはここからバスで40分くらいだが、今回は途中一カ所立ち寄りたいところ

があるので、途中下車。

そのために予定時間を早めて家をでたのだ。

 

立ち寄りスポットはここ。

 

『四万の甌穴群』

詳しくはココ

 

 

昔、はじめてひとりで四万温泉に向かったとき、バスの中から見てこの場所を

しってずっと気になっていた。

 

だが、バスの本数のこともあるので、ここで一回降りてしまうとそのあと温泉地への

到着が遅くなってしまうかと思い込んで、その後四万にゆく際も途中下車することは

なかったのだか、地図で調べてみたらここから四万温泉まで歩いてゆける距離だと

わかったので、今回はじめておりることに。

 

甌穴とは川の流れが渦巻き状になりそこにある石や砂利が回転することが続いたことで

周囲がえぐれて穴ができたものをいうようだ。

オレの下手な説明よりもサイトをみたほうが早い。

 

上の右側のような穴が8か所くらいあり、それ意外にも水が流れたり

溜まっているところがたくさん。

 

人がいたから奥地まではいってないけれど、すこし先にはまるで富士の麓の

忍野八海を思い出させるような深い水の穴もあった。

 

それにしても四万エリアは本当に水が綺麗で感動する。

 

 

チェックイン時間を計算して、ここで30分ほど時間を潰せるかとふんでいたのだが

そこまででもなかったので、すこし前倒しだがここから歩いて四万温泉を目指すことにする。

 

途中日差しが強くなったので、サングラス装着。

 

ここはすこし前にサンドウィッチマンが飲食店を探す番組で歩いていたところ。だと思う。

様々な温泉地周辺においてこれまでも歩けるところは歩いてきただけに、だいたいサンドウィッチマン

が歩いてきた場所とオレが歩いてきた場所はかぶってくる。

ただ、オレのほうが先にその道を歩いていたケースが多い←負けず嫌い

 

タオルで汗をふきふきしながら20分ほ度歩いて四万温泉に到着。

懐かしいバス停が見えた。

はじめてこの地へきたときにも宿に近いこのバス停で降りたのだが、そのレトロさに感動してしまった。

 

 

『山口』というバス停。

前回の「史江」の作品中ではこれよりすこし先に掛かる月見橋という

橋の名前にひっかけて『月見口』という名称にして書いた。

 

ん? 気のせいかもしれないが上部に設置されている各旅館の看板が

風情を損なわない程度に新しくなっている気もする。

 

チェックインは14時。

やはりまだ早い。

多少早くいっても入れてもらえるだろうが、宿の人には客がいない間はできるだけ

ゆっくりしてもらいたいので、ギリギリまで散策。

 

四万はもう5回くらい訪問していて、どこになにがあるかはわかっているけれど

それでも歩いているだけで楽しいし、心が和む。

 

10年くらい前、はじめてきたときはまだ無料の露天風呂(山口露天風呂)だったところ。

川の対岸にあり、味のある鉄製の橋を渡ってゆく。

 

 

一部のマナーの悪い輩のせいで、今は足湯へとリニューアルし、名称も

変わってしまった。

最初の訪問時に浸かっておいてよかった。

 

まだ太陽が高く足だけでも浸す気分でもないが、久しぶりなのでとりあえず

対岸まで渡ってみることに。

ベンチもあるので持参した昼食もそこで川の流れを見つめながら食べることに

した。

 

ずっと前にも書いたかもしれないけれど、この場所から見える旅館群のちょっと草臥れた

「裏側」が、またなんともつげ義春チックな哀愁があってオレはとても好きなのである。

 

 

昼食を食べてすこし休んでまだ時間があったので、メインのエリアのほうまで

足を伸ばすことにした。

 

入り口に立つ高い四万グランドホテルはすっかりランドマークだ。

でもオレが個人で泊まることはおそらくない。

泊まれるものならば一回くらいは泊まってみたいものだけれど。

 

 

温泉街へと入る。

この辺は夜もまた散歩に歩いたので、昼間の画像は一部省略、

次回の記事で追加的に数点紹介する。

 

もうすっかりおなじみの落合通り。

昔ながらの温泉街の商店街。

まるで映画のセットのよう。

ここに来ると、「ああ、やっぱり四万だ……」と感じる。

 

 

2年半前くらいに訪問したときは休業していたスマートボールの「柳屋」さんも営業を

再開していて、なんだかホッとした。

 

映画「沈まぬ太陽」のロケもたしかここだった。

機密事項を密告した香川照之が自殺する前に潜伏していた温泉街。

設定は東北の温泉地だったけれど、ロケ地は四万温泉のここだった。

 

映画ロケといえば、西加奈子原作の「まく子」の映画ロケ地もここらしく

いたるところにアピールポスターが貼られていた。

 

西加奈子は好きだから、「まく子」も一回原作読んでいるんだけどなあ。

どうもストーリーをおぼえてない。

もっとしっかり読んでおけばよかった。

 

とりあえずチェックインまでの散策はこんなところ。

 

時間になったので宿へ向かうことに。

 

 

続く。