気づくと11月は毎週末なにかやって過ごしていた。
23日の祝日は同級生たちと早めの忘年会だった。
他の週末も各方面から誘いがあって結果4回呑み会のようなものだった。
日曜日は日曜日で、近所でいろんなイベントがあり、ひとりでプラリと
鑑賞に出向いていたりした。
気の合う仲間との時間もひとりの時間も両立させてバランスをとるのが
ベストスタイル。充実するべき時間は、やじろべえのようなものである。
で、それらのイベントを紹介してゆきたいのだが、それぞれあまり知識がなく
個別の記事にしても文章を膨らませるのが難しいから、一気にまとめてアップ。
①
11月18日の日曜日
府中市民交響楽団第78回定期演奏会
『さきわうわが祖国 市民響×大井剛史
スメタナ連作交響詩「我が祖国」全曲』
場所は府中の森芸術劇場。いくつかあるホールのひとつ「どりーむほーる」にて。
もちろん無料。
この施設で開催される無料芸術イベントは何度か来ているが、一番人が多い印象。
それを見越してか、大きなホールだった。
一回席の通路側はほとんど埋まっていた。
せっかくだから2回席へ。
演者さんとの距離はあるが、俯瞰的なので臨場感は感じられた。
画像は開演前。
プログラムは以下。
第1曲 ヴィシェフラド「高い城」 約15分
第2曲 ヴァルダヴァ(モルダウ) 約12分
第3曲 シャールカ 約10分
――20分休憩――
第4曲 ボヘミアの森と草原から 約13分
第5曲 ターボル 約13分
第6曲 プラニーク 約15分
開演から終演まででだいたい2時間。
パンフによるとモルダウ川の「モルダウ」はドイツ語で、チェコでは「ヴァルダヴァ」
と呼ばれているらしい。
「日本では歌詞もつけられるほど親しまれている」と説明があるが、ということは
あの、
♪うつ~くし~き、か~わよ~~ モ~ルダゥよぉ~~
っていうのは訳詞ではなく、もともと曲だけだったものに日本人が勝手に歌詞をつけたの
だろうか?
尾崎紀世彦がゴッドファーザー愛のテーマに歌詞をつけて、
♪どうかふたりよ、泣かないで~~って歌ってたようなもんか??
はじめてモルダウをしったのは小学生のとき音楽の授業。
子供のころって、アニメの主題歌とか歌謡曲ばかりに興味があるもので、学校の教科書に
載っているような歌ってあまり興味持たない感じだったけど、それでもモルダウは当時から
耳に残っててタイトルもおぼえている。
それだけ美しく、そして偉大な曲なんだと改めて実感した。
正直、やはりしっている曲は「モルダウ」だけだったが演奏は当然
すべてよかった。
②
11月25日の日曜日
第54回 府中市民芸術文化祭
『劇団宇宙の森 第23回公演
「さくら ―MISS ROBOT LOVES HIM」』
場所は先週の「さきわうわが祖国」同様府中の森亜芸術劇場の違うホール
「ふるさとホール」
もちろんこちらも無料。
約1年前にも「愛を墓場まで」という劇を鑑賞させてもらった劇団宇宙の森の舞台。
画像は開演前。
2018年、ボロアパート「桜満開荘」で暮らす通称むさいさんのもとに、大地震を機に
記憶をなくした不思議な少女さくらがやってくる。
さくらはこの時代のものではないAI搭載型ロボットらしい。
(パンフの説明をオレなりに要約させていただいた)
現代と未来を往復する寓話のようなものあり、恋愛要素あり。
未来をかえる可能性の人間を消すために送りこまれたロボットという設定は
どことなくターミネーター2がヒントか(笑)
うん。1時間50分のステージだったけど面白かった。
1年前も感じたけど、この人たちの演技はとても温かみがある。
そして終演後もすぐに舞台からホールや通路にきて、帰る人たちに「ありがとう
ございました!」と声をかけてくれる。
事務的な冷たさや商売上的な愛想を含んだ「ありがとうございました!」ではなくて、
本当に心から観にきた人たちに感謝してくれている温度を感じるので、
こちらもすごくいい気分になる。
帰り道、気づくと訳もわからず涙がでてきた。
③
同じく11月25日の日曜日。
「さくら」を観終わったあとの夜。
大國魂神社酉の市
『奉納神楽』
劇が14時から15時50分くらいまでだったので、いったん帰宅し1時間弱休んでから
開催中の「酉の市」へ。
祭りがある日にはいつも神楽が演じられてて、この日も15時、17時、19時と一日に
3回公演がある予定だったので、前から17時の回に鑑賞しにゆこうと決めていた。
日が落ちるのがすっかり早くなったが、こういうのを見物するときは演出的にも雰囲気が
でて、暗いほうがありがたい。
最終の19時の回でなくとも、すっかり暗くなり灯もともり、いい感じだ。
外国からの青い瞳の女性もカメラをもって興味深々。
こちらも相変わらずどういう話なのかわからない部分はあるのだけれど、
理屈とか知識抜きにして、観ているだけでなんかとても和むのだ。
30分という短い時間だったけど、最初から最後までずっと見入っていた。
演技だけじゃなく笛の音もとても美しかった。
だから祭りのたびに足を運び、この場所で神楽を鑑賞している。
こうして11月は芸術に触れあう月となった。
ときどきこうやって芸術浴をしておいたほうがいい。
理解できなくてもいいのだ。
その場で空気を感じて浴びるだけでも違う。
そうでもしないと、それこそ感受性や感性を削がれたロボットのようになって
しまいそうな危機感を感じる。
そしてアホになる。打算と自己アピールと保身だけに長けたアホ。
ウゴーのシューの名誉会員みたいな人間。
実際そういった人間を何人も見てきたから、なおさらコワい。
たえず自分を研磨しておかないとイカンと心掛けたいものだ。
歩いたりしなければ肉体は肥える。
同じように、考えたり感じたりしなければ思想や神経もブヨブヨになるのである。
芸術は感受性の筋トレであり、感性のサプリ。