昆虫大戦争!獣肉酒家「米とサーカス」@高田馬場 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

その店の存在を知ったのは数か月前。

「出没!アド街ック天国」を観ていたのがきっかけだった。


テーマが高田馬場だったのだがゲストに市川紗耶サンというタレントさんがいた。

(初めて名前だけ聴いた際、オジサンはてっきり元モー娘のコかと思ってしまったが)


その市川サンが冒頭の「高田馬場といえばコレ」というフリップ紹介において

「米とサーカス」という珍しい名前の酒場を紹介していたのだ。


詳細を聞き、そんな面白そうなオレ好みの酒場があったとは是非行きたい!と思い、

友人を誘って行ってみたものの、予約でいっぱいで入れず、結局池袋まで足を運び

24時間居酒屋「大都会」で振り替え呑み会をしてからはや一カ月。


そう、過去記事で第一希望の店に入れなかったので、しょうがないから第二希望の店で

呑んだとかいたあの記事。入れなかった店とは今回紹介するお店なのだ。


仕事などに関しては同じ失敗を何度も繰り返そうがかまわないが、遊びに関しては

同じ過ちを2度と繰り返してはいけないという、揺るぎないタモリズムを胸に抱えるオレだ。

今回は2週間前に電話でしっかりと18時から2名で予約をしておいて出陣である。


場所は駅からすぐといっていい。

高架沿いを歩いてゆくと、店へといざなう標識が立っている。



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到着前から客を楽しませてくれる。

ここを曲がればもう目の前だ。



ここが前から訪問したかった店。


『獣肉酒家 米とサーカス』

東京都新宿区高田馬場2-19-8

HPはココ



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道路に面している部分は半テラスのようになっている。

ここと2階はおそらく団体客用。


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うちらは2名なので、屋内のカウンターと聞いていたのでテラス横(画像左側)のドアをあけて

入店。


予約した旨を伝えたら、「カウンターにどうぞ」といっていただいた。


店内はまさにサーカステントの舞台裏のような雰囲気が漂っている。

画像は少し経って他のお客さんがは入ってきてからの様子。



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お店のキャッチから既にご理解していると思うが、ここは獣や珍味を食べることができる

店。つまりジビエ居酒屋。


だからこそ、ずっと来てみたかったのだ。


壁に貼られた紙やメニューをみても、惹かれるモノがたくさんある。



下は獣メニューの一部。



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珍味も豊富。


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【本日のおすすめ】は見やすく大画像でお届けを……。



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オオグソクムシ……、うん、あれだな。ちょっと前にテレビでよくみた深海にいるダンゴム……

(-_-;)



まずは生ビールで乾杯……なんだけれど、今回は比較的画像が多いので割愛。


頼みたいものはたくさんあるが、まずはすぐ卓にでてきそうなものを友人と一品ずつ。

オレのほうは下調べである程度頼むものを絞ってきているので即決。



『カエルの皮炙り』 480円



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うむ。

パリパリしていて想像以上に味があり、クセはほとんどない


2品目がでてくるまでのビールの御供としてちょうどいいかもしれない。



こちらは友人の一品目


『鯨ベーコン』 780円



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せっかくこういう店なんだから、もっと面白いモノ頼めばいいのに(笑)

と、思いながらこれもトロけるようでかなり美味。



3品目もこれまた食べると決めていたメニュー。


『鰐の天ぷら』 870円



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「ワニ」――

それは川や沼に生息する爬虫類。

生息地はおもに海外の熱帯地域の沼や川。国内ならば宝○温泉など(爆)


これがまたとても美味くてビールがぐいぐいすすむのなんのって。

好みでチリソースにつけて食べるのだけれど、しいて言えばささみに近い味だろうか。

とてもさっぱりした味。


ワニのやつめ、あんなイカツイ顔してるくせに味はとても優しくうま味があるではないか。

コラーゲンたっぷりのようで、これを食べて明日からお肌ツヤツヤのクロコダイルダンディーに。


そうそう、元ヤクルト、阪神にいた助っ人のパリッシュもワニ料理食べることで有名だったけど

なんとなく気持ちわかった。

これはもっと市場に流通するべき肉だと思う。



友人が2品目で多少の変化球。


『スズメバチの子の甘露煮』 500円



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ダメな人はこのへんでもうリタイアかもしれんが、オレはまだまだ余裕。

ボリュームは少ないが、ちょこちょこと食うにはいい。


噛むごとにプチプチとはじける感触がある。

一回の「プチ」につき、ハチ1匹の命を頂いていると感謝してしっかり味わうべし。



ここでドリンクをサワーにチェンジ。


『シークワーサーサワー』を頼んだら、分裂したカタチで出てきた。変わっていて珍しい。



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さて、料理もどんどん追加したいのだが、友人が馬以外の生肉は食べられないとのことで

どちらか希望だった「カンガルーのたたき」「ダチョウのたたき」は気を遣って断念。


生肉は避けて、揚げ系で責めることにした。


蛇足だが、この期間は新作映画のキャンペーン企画で「鴉の暗黒煮込み」という料理が1日限定

3食で提供されていたようだ。

画像みたらかなりのインパクトだ。

気になる人はHPや、各サイトで見て頂きたい。

マジで映画とかで魔女が食べているやつだ、ありゃ。



さあ、後半戦参りましょう。  ※終盤にオチャメな虫クンたちが登場します。苦手な方は注意。


『ウサギ肉の塩麹唐揚げ』 860円



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見た目は完全に鶏。

基本、跳ネルノ獣だけあって、弾力があったりする。

舌の上で肉がピョンピョン。


クセもほとんどなく、これまた美味し。




調理に時間が掛かっていたのがこちら。


『ラクダ肉のとんぺい焼き』 780円



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今回のジビエのなかではこれが比較的クセがあったかもしれない。


肉がけっこう硬め。

好ききらいは人によってわかれるかもしれないが、ひと噛みしてジワッと舌の上に広がる

肉汁をひと舐めすれば、まぶたのむこうに月のサハラ砂漠が広がってみえる。



ここで隣りの男女ふたり組のお客さんがお店の人に「ヤモリの姿揚げをください」と

いっていたのだが、お店の人が「すいません、ヤモリ今日終わっちゃいまして」と答えていた。


そうだよ!

レアなメニューばっかりなだけに、早く頼まないとお目当てのメニューがなくなってしまうかも

しれない。そんな‘虫の知らせ’がオレの頭に聞こえてきた。

ルー大柴いうところ、‘虫のインフォメーション’というやつである。



ここにきた最大の目的である『6種の昆虫 食べ比べセット』を早く頼んでおかないと品切れに

なってしまうかもしれないという危機を感じたオレはすかさず店員さんに

「6種の昆虫食べ比べセットください!」

といった。


すると店員さんが一瞬戸惑った表情をみせたような気が。


まさか。遅かったか――

と思ったら店員さんが口をひらいた。


実は6種のうちのひとつであるサソリだけ切らしてしまっているので、5種でもよろしければ。

とのことだった。


せっかく来たから、それでもいい。

ちょっと残念には違いないが、唯一なかったのがサソリというのはまだ救いだったかもしれない。

サソリは以前に歌舞伎町にある「上海シャオツー」で一度食した経験がある。

だから新鮮味に関してはそこまで強くない。


と、いうことで

【6種の昆虫 食べ比べセット】 1500円。この時は5種



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訪問前に資料で見た虫セットと微妙に違う気もするが……

まあいいか。


それでは順にご紹介していこう。


ラインナップに変更がなければ画面下から時計まわりで


・コガネムシ

・ゲンゴロウ

・イナゴ

・バンブーワーム? (これだけちょっと内容と違うようにも見える)

・カイコ


である。



思ったよりも1匹1匹が小さかったこともあり、イナゴやカイコはとくに歯触りも味も

目だたなかった。



比較的、昆虫らしい食感を与えてくれたのはゲンゴロウとコガネムシ。


ゲンゴロウ丸のブラックボディの硬度が想像以上。

まずは半分かじってみようかと思ったが、前歯で割れなかった。



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しょうがないから、奥歯の上に乗せて思いきりプレスして粉砕。


噛んだ瞬間に中から何かがムニュっとでてくるような状況を思い描いている人も多いと

思うが、そんなこともない。



もう一匹の立役者

『コガネムシ』


こちらは香ばしくてカリっとしていていかにも虫らしい歯触り。



kome拡大こがねむし


なんだったか思い出せないがサクサクしたその食感がいつか食べたことのあるなにかのオツマミの味に似ていた。


こうやって見るとオシリからはみ出ている羽も、ピーナツの中の薄皮のようなものだと思えば

ご愛敬である。


料理はこれでおしまい。

友人はイナゴのみOKということなので、ラストのみ、ほとんどオレで片づけさせてもらった。


生以外の獣の肉とイナゴはOKとのことでつきあってくれた大学時代の友人には感謝する。


今回は珍しい肉を楽しみ、また虫を食べるという貴重な経験をすることができた。


真剣な話、ラストの虫のアップ画像は苦手な人にたいする嫌がらせでもなんでもない(笑)。

人口爆発による食物危機は実際にあやぶまれている。


なにかあった時のためにカンパンや缶詰を用意しているという人も多いだろう。

それはそれでいいと思うのだけれど、でもそれは人工的な保存食。いつかは尽きる。

災害などで地球上の工場などが壊滅したら、なおさらだ。



水害なども重なって野菜もくえなくなったら何を食う?


いつか大きなハルマゲドンやファーストインパクトのようなことがおきて

動物性肉も魚も野菜もなくなったら、生き残るために食べるものはふたつ……


虫を食うか、それとも飛行機墜落をテーマにしたアメリカ映画「生きてこそ」のように――

そう、そうだな、うん。


インディー・ジョーンズの2作目、「魔宮の伝説」の中で、とある民族の住む地に流れ着いた

インディーと仲間ふたりが、現地の人たちに救世主のような存在と勘違いされ歓迎される場面が

あった。


歓迎の晩餐でだされた料理がいわゆるクセのつよい獣料理とかだったので、仲間の女性は

小さな声でインディーに「私、無理。食べられない……」と囁いた。


するとインディーは小さな声で「食え。ここの連中の一週間ぶんのご馳走だ」と返し、

女性はムリに笑顔をつくりながら喉に流し込んだ。

これ、何気に日本人にたいしてもすごく風刺してる気がした。


簡単にゲテモノっていってしまうけど、世のなかにはこれを貴重な主食としている人たちだっている。


忘れてはいけない。

かつてこの国が深刻な米不足になったあの年を。


同じアジアの仲間である日本が米がないというので、タイの人は主食であるタイ米を

自分たちの消費ぶんを削ってまで、日本へと大量に輸出してくれた。


だけどその時、日本であふれた声は

「まずい」「パサパサして食えたもんじゃない」「早く日本の米が食べたい」


こういった声を聴いたタイの人たちは激怒したのだ。

当たり前だ。


日本て家庭でも店でもテーブルにでてくるものがある程度限られているから、その範囲内で

「オレはグルメだ」だとか「私は好き嫌いなく、なんでも食べられるわよ」とうたっている人は

多いけど、本物のグルメや偏食ナシの人って、いったい何割くらいいるのかなって考えたりする

ことはおおい。


あ、ちなみにオレは正直に「好き嫌いある」っていっているので。玉ねぎ食えないからね(笑)


いかんいかん。

せっかくの珍しく面白い食ネタだったのに、また最後で倉本聰ドラマみたいに説教臭くなって

しまった……(-_-;)



そういうことで興味ある人や、食を極めたい人は是非一度いってみることをおススメする。

かなりの人気店なので飛び込みだと入れない可能性が高いので、予約してゆくのが賢明。


獣と虫をたくさん食って、その日は店をでた。

軽く一軒め酒場で飲み直してから、ラーメン食って帰宅(ラーメンはまた別記事で)


家について午前0時に就寝。

腹のなかでオレに命を与えてくれた虫たちが消化されてゆく。

虫の命がオレの血肉となってゆく。



翌朝、目が覚めるとオレはベッドの中で自分の体が巨大な1匹の毒虫になっていることに

気づいた(爆)

って、カフカかっ!


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