地上10階建てのデパートがあります。
最上階の10階に買いたいものがあるので、アナタは10階に向かいます。
10階まで上がる手段は
「エスカレーター」
「エレベーター」
「階段」
の3つ。
さて、アナタはどれで移動しますか?
オレは基本「エスカレーター」派。
オトナになってからは体力温存と移動時間削減のため、エレベーターを使うことに躊躇がなくなったが、小学校6年生くらいまで、オレは「エレベーター」という乗り物が大嫌いだった。
そういうと多くの人が「閉所恐怖症」を連想するかもしれない。
だけど微妙に違う。
小さい時にかくれんぼなどした際は、押入れなどによく入っていたし、外にある自動販売機の
隙間などにもすすんでスポスポと自分からハマりにいっていた。
狭い場所は落ち着けるから嫌いじゃない
しかし、それは確実に自分の意思で簡単に出入りできるからだ。
そこに閉じ込められることはない。
(よく中国人が街角のあらゆる場所にハマって抜けなくなっている映像があるがアレは特例)
ただ、エレベーターという空間は機械の箱の中であり、さらに電気で稼働している。
つまりそれは電気系統のトラブルや、地震などによる非常停止の可能性がある。
子供の頃のオレは、とにかく故障などによって、エレベーターに閉じ込められることを
非常に恐れていた。
あんな狭い空間に閉じ込められたらどうしよう。
閉じ込められてトイレ行きたくなったらどうしよう。
閉じこめられていることにも、気づかれなかったらどうしよう。
閉じ込められたエレベータ―の中でエレベーターガールのオネエサンとふたりきりに
なったら恥ずかしくて気まずいなあ。
など、エレベータ―に関しては絶えずそういう「幽閉」のイメージが付きまとっていた。
エスカレーターだったら、開かれた空間だし、もし停止しても歩いて上がったり下がったり
できる。でもエレベーターだったら、もう、じっと待つしかない。
そんなようなことを友人に言ったら、
「緊急ボタンがあるから、それ使えば助けに来てくれるだろ」という答えが決まって返って
くるのだが、そこは「マイナス思考の達人」のオレである。
「人を何人も乗っけて上下するあんなたいそうな装置が壊れるくらいの時ならば、当然
その緊急ボタンだって壊れることあるだろ」
とまで考えてしまう。
また、壊れていなかったとしても、必死にそのボタンを連打した時に限って、管理センターで
モニター見ている係がトイレに行って席を立っていたり、居眠りしたりして気付かないんじゃないかとまで想像してしまう。(アメリカのパニック映画でよくあるシーンみたいにw)
あとは、箱を吊っているワイヤーへの信頼の問題。
実はもうかなり摩耗していて、自分が乗り込んだ時に限って、それがプツリときれて
箱がフリーフォールのように真下に落下してゆくのではないかという疑い。
キアヌ・リーブス主演「スピード」の冒頭のように。
まあ、とにかくそんなようにエレベーターとは子供の頃のオレのとっていろんな意味で
ジェットコースター以上の精神的絶叫マシンといえる乗り物と言えた。
だから、基本エスカレーターがある建物はエスカレーターで登頂していた小学生。
エスカレーターがないデパートとかも稀にあったが、そういう場合でも地上10階までならば
階段を駆け上がって登っていた(爆)
時には放課後に友人数人と一緒にデパートの行くこともあった。
子供が好むオモチャ売り場はだいたい上階だ。9階とか10階。
友人たちはデパートに入ると、何の迷いもなくエレベーター乗り場にむかう。
だけどオレは怖いから乗りたくない。
でも怖いというと笑われたり、根性ナシだと言われるからなんとか言い訳をつける。
「エレベータ―来るの遅いから、オレ先に階段で行ってるよ」とか言う。
「すぐ来るよ! 階段なんてぜったい大変だし時間かかるって!」と友人が言う。
だけど、
「いいよ! 遅えから先行くよ!」
と振り切って、横にあるドアを開けてひとり階段を駆け上がる。
後発のエレベーター組よりも後につくと、
「ほら、オレらのほうが早かったじゃん」
と言われるのがわかっているので、10階まで全力で階段をあがる。
そのハードさは、もはやアメリカ横断ウルトラクイズの罰ゲーム並みである。
奴らよりもあとにオモチャ売り場のフロアにつくことは許されない。
エレベーターがストレートに上昇したら、当然オレに勝ち目はない。
途中途中のフロアで客が乗り込んで停止していたとしたら、そのロス時間があるだけ
オレにも勝機は見えるのだ。
それでも到着してみたら、ほんの十数秒の差で向こうのほうが早くついていて、案の定
「ほら、(一階で)待ってたほうが良かったじゃん」
と言われてしまう。
本当は全力で階段駆け上がってきたけど悔しいから
「そうみたいだな。でもオレもゆっくり上がってきたからそれほどの時間差でもなかったよ」
とか言っておいたりする。額に汗の滴うかべて息切らせながら(笑)
そんな純粋な少年時代だった(-.-)
でも大人になってからはねえ。
体力的な衰えが出てきたせいなのか、それとも冷静に日本という国の工業レベルの高さを
ちゃんと理解してきたせいか、エレベーターという移動装置にそれなりの信頼を預けられる
ようになってきて、いまはシッカリと利用している次第である。
小学生の時、ちょっと流行ったゲーム「エレベーターアクション」は
縦スクロール横スクロールといったまさに昭和のゲームだった。
プレイヤー(主人公)であるスパイがステージの中でメインとする乗り物はクルマでもバイク
でもなく、エレベーター。
忍び込んだ建物の中で重要書類を盗みながら、エレベーターを上手く使って敵を倒しながら
脱出する王道ゲーム。
飛んでくる弾丸をジャンプでよけれたり、電球を撃ち落とすと真っ暗になったり。
その辺の設定も今考えるとレトロだ。
真下の位置に入ってきた敵キャラを、自分の乗ったエレベーターで上から潰すという荒業も
あった(笑)
今のゲームの映像技術でそれをやるとそうとう残酷な表現になりそうだ(笑)