箱根湯本温泉奇譚②天国への階段 | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

第一の目的地「えう゛ぁ屋」はとりあえず訪問出来たので、メインである温泉宿を目指した。


駅前から宿に向かって遥かなる…と言いたいところだが、今回は振り返れば宿があるのだ。



かっぱ1


あそこ。駅のすぐ後ろに。

箱根湯本駅を利用したことのある人ならば泊まったことはなくとも一度は視界にいれた

こともある建物じゃないかと思う。


線路の下をくぐって短い坂を上がってゆくと、いろんな温泉ブロガーの方の写真でもみたことの

ある桃色の文字の古びた看板が頭上に現れる。

桃源郷への入り口。


到着したのはまだ夕方前だったが、これが夜になると妖しげな感じで桃色に発光するのだ。

「ぜったい宿にヌード小屋も併設してるだろ!」といいたくなるような発光。実際には純粋な

宿だけど。

今の時代のデザインと比較すれば、駅前世界遺産水準だと思える。


看板の下から上へと続いている階段が

‘天国への階段’


かっぱ2


階段はけっこう急だ。

だが、駅の真裏にしては尋常ではない秘湯感がプンプンと漂っている。

宿まで続くこの階段も歩いてみたかった。



かっぱ3


ちょっとした登山が終わるとオレが一度泊まってみたかった宿がそこにある。




『箱根湯本温泉 かっぱ天国』

神奈川県足柄下郡箱根町湯本777


かっぱ4


玄関を入って右側に帳場がある。



かっぱ5

入った瞬間誰もいないのは想定通り。


中にむかって「すいませーん」と呼びかけると、一拍おいて返事があってからバタバタと

音がして、ご主人らしきオジサンが登場。


電話入れた時はオバサンが対応してくれたが、ここではご主人が対応。


「今日から一泊二名で予約させて頂いた……と、申しますけど」

と言うと、

「ああ、どうぞ、お待ちしておりました」

と、とても丁寧に対応してくれた。


こういうタイプの宿だとご主人や経営者のタイプは二極化する場合が多い。

すごく低姿勢で接してくれるタイプと、ひたすら不愛想なタイプだ。

前者だったのでひと安心。


今回は一泊食事ナシの須藤マリ。

ひとりあたりの予算は 3390円。


言ってみれば意図的に貧乏学生旅行気分を味わってみたかったのだ。


「今部屋にご案内しますので」と言いご主人がカギを持って帳場から出てきて自ら案内

してくれた。

カギは昔ながらのクリスタルっぽい長い四角棒が持ち手になっているやつ。

ずっと昔のトレンディドラマでプレイボーイが女性を誘うホテルの部屋を撮った時、目の前で

見せびらかすようにクルクル回しているアレ。


オジサンの後に続いて帳場前にある階段を下に降りてゆく。


歩きながら周りを見回す。

壁をみても床をみても客室のドアを見ても、建物全体的に古ぼけた感じがとても自分好みだ。


「いいですね、こういうところ好きなんですよ」

と前を歩くご主人に言った。


「いやいや、そんな! ただ古いだけですから」

とご主人。


「いえ、本当にこういう雰囲気好きで前から泊まりにきたいって思ってたんですよ」

とオレ。


「いや~、ほんとに古いだけなんで好きって言われても困っちゃうなあ」

とご主人。

少し照れているのか、それともオレが気を遣ってお世辞を言っていると思っているのか

あまり信じてもらえていないようにも見えた。


本音で好きなのだ。

こういったどこか昭和でどこか簡易的でどこか鄙びた(失礼)匂いのするかっぱ天国には

前から来たいと思っていた。


北温泉旅館や井出野屋旅館に泊まって以降、オレはすっかり古い宿に魅せられてしまって

いる。


若い人やおカネを持った大人はみな、箱根に来ても反対側にあるオシャレなホテルへと

流れてしまうようで、オレの言葉にはあまり説得力がなかったのかもしれない。


宿泊施設関して言えば、洒落たラブホに泊まってオンナといちゃつくよりも古びたかび臭い

旅館に泊まって座敷童子と戯れたいオトコ。それがこのワタクシ、ケン74でございます。

みなさま、どうぞお、お見知りおきを!(笑)


それはさておき、どんどんと館内を歩いてゆくご主人。


階段を下りてからは本館の廊下を歩く。


オレらの泊まる部屋は本館……




かっぱ6

を突き抜けて正面のドアを開けて一度外に出る(・.・;)


いきなり足元にはミシミシきしむ板が。


上に乗るとすこし沈む。素敵だ(笑)



かっぱ7


板の上を歩いてゆくと、右下へと伸びる鉄製階段がある。

ご主人のあとに続いてそこをゆく。



かっぱ8

踏み出すたびにカンカンと響く靴音を箱根の夕闇に溶かしながら進む。


「あっ! いけない!」

階段の途中でご主人が急に足をとめてそうだ叫んだ。


どうやら間違った部屋の鍵を持ってきてしまったようで、カギを取り換えてくるので

ちょっと待っててとのこと。

うーん、ほほえましい。ご主人なかなか愛すべきキャラをしておられる。


正しいカギを持ってご主人がすぐ戻ってきたので再び歩きだす。


下に見える新館(別館)がどうやら、オレらのねぐらになるようだ。


新館の1階一番手前が部屋だった。

後に紹介する露天風呂には遠いが、玄関でたらすぐに足湯があった。


部屋はこんな感じ。

おそらく2人部屋。



かっぱ9

シンプルなつくり。


冷蔵庫があるかないかだけが賭けだったのだが、なかった。それだけ残念。

それにより風呂上がりのビールの冷却有無を考えなければならなかったのだが

部屋で冷やしておいておくという選択肢はまず消えた。

対処はあとで考えることに。

テレビは一応あった。


とりあえず駆けつけ一杯ぶんだけは、えう゛ぁ屋のあとにセブンイレブンに行って

買っておいた。

冷蔵庫があったら、まずはひとっ風呂浴びてから部屋に戻って冷たいのをグビーと

行こうと思ったがなかったのでまずは風呂に行く前に冷えた状態ので乾杯を。



かっぱ10

現地で友人が買ってくれたおススメのお菓子、ちもとの「湯もち」と

旅行前にロジャースで買っておいた60円のうすっぺらいビーフジャーキーをつまみに

淡麗でプハーとやる。



今回はとりあえずここまで。