犬神家の一旅(ひとたび)・井出野屋旅館と那須ホテル篇 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

前回の続き。


上田市を後にして、しなの鉄道からJRに乗り継ぎ、宿のある佐久平駅へ到着。

新幹線ならひと駅だが、30、40分くらいなら普通の電車で充分。


駅について、30分ほどたったら佐久市内巡回バスにのり、宿のある望月宿というところまで

むかう。乗っているのはおばあちゃんばかり。



1  バス

当初、宿のHPでアクセスを調べた際、駅から千曲バスで30分ほどとのことで

運賃は600円とのことだったが、バス路線で改めて検索してみると週に3回ほど

この市内巡回バスが運行されてて、運賃はどこまで行ってもどこで降りても200円

とのことで安くすんでラッキーだった。


民家密集地域や、長閑な風景の中を走ること30分。

「望月バスターミナル」という停留所で下車。



そこから1,2分歩くと、宿を発見した。

『井出野屋旅館』


この宿の宿泊が今回の最大にして最終の目的だ。


宿泊コースは数パターンあるが今回は「夕食のみ」のコースにした。



2 井出野屋


この外観も作品を見た人ならばピンとくる。


「犬神家の一族」の中で石坂浩二演じる金田一耕助が逗留した場所でもあり、前回書いた

坂口良子演じる女中はるが働いている「那須ホテル」である。



3 井出野屋映画


ガラガラと戸をあけると、映画で観たのと同じ風景が広がり感動した。

映画抜きにしても、こんな雰囲気の旅館なんてなかなか泊まれない。


目の前には金田一が駆け上がったり降りたりした階段がそのまま佇んでいる。



4 玄関からのアングル


そして右側をみれば、映画の中で女中はるがスリッパを出したアノ漢数字の

レトロな靴箱も健在。おお、すごいではないか。


げたばこ


映画の中では特別出演の横溝正史が主人役として出てくるが、現実の世界ではご主人の

奥さんらしき人が出てきて、2階へ案内してもらった。


2階と聞いて一瞬もしかしたら!と思った。

映画の中で金田一が停まった部屋も2階なのだ。

撮影で使われた部屋だったら嬉しいと思ったが、残念ながらその隣の部屋だった。


部屋は純和室。

廊下との間の壁はガラス入りの障子のような戸のみ。

防音設備もなければ鍵もない。それが古い宿の醍醐味。


廊下を歩く人の足音が漏れてくるというよりもそのまま聞こえてくる。



井6


2階のオレの部屋の前の廊下はこんな感じだ。

なかなか趣きがある。目の前には3階へと続く階段がある。



井10


廊下中央には、建物の奥と玄関前へとそれぞれ向かう階段が別れている。

奥にあるのが、今上がってきた階段だ。



井11


「お風呂どうします? 今ならほかのお客さんいませんけど」と言われたので

「じゃあ、先に頂きます」と答えたが、朝からずっと歩いて疲れたので部屋でちょっと一休み

してから頂くことにした。


でも改めて……玄関入った瞬間に来て良かったと思った。

ホントに「犬神家の一族」の世界に入りこんでしまった感覚に陥れる。


実を言うと聖地巡礼と言っても「上田市内」と「この宿」で終わりである。


行くと思っている人もいるかもしれないので先に断わっておくと、あの‘2本足の突き出た湖’には

行かない……、というか行けない。


同じ長野にある湖ならば近いと思っている人も多いかもしれないが、かなり遠いところにあるのだ。だから無理。行けるのならば行きたいけど。


映画の中ではこの「那須ホテル」のすぐ裏手にその那須湖という架空の湖があって、その向こう側に犬神財閥邸があることになっている。そして、その邸から島田陽子演じる珠世が漕ぐボートが

出てきて沈むという設定だが、実際の井出野屋旅館は思いっきり宿場町の中だ(笑)



正直、たった二か所で聖地巡礼だとか謳ってしまうのはどうかとは思った。

二か所だけなうえに、大した文章も書けないし記事構成も普通なのは申し訳ない。


記事にするにあたってどういう構成にしたら読者様に楽しんで頂けるかと

旅疲れしながらも部屋で一人考え悩んだが、何も閃かなかった。



悩んでもしょうがない。せっかくの旅だ。


とりあえず部屋でお茶飲みながら、


少し間、くつろぐことにした(-_-)








井7


一杯飲んだら風呂へ向かうべくタオルを持って部屋を出た。


入った時は気付かなかったが、部屋の外の死角の壁では何故かたくさんのマリリンが

ほほ笑んでいる。

こういうのもレトロな宿のインテリアの七不思議。



マリリン

ついでに廊下も改めてみてみる。


石坂浩二と坂口良子のダブルサイン色紙も廊下に掛けられている。


サイン


隣には横溝正史センセイのサインもあった。


建物奥へ向かう階段を下りると、右手に風呂がある。


ちなみの反対側の左へ行くと、映画の中で古舘弁護士の助手の若林サンが

タバコの毒により殺害されて、血を吐き、倒れて死んでいた洗面所である。


撮影からかなり時間が経っているので半分が改装されていたが、左半分は

まだ映像の面影が残っていて嬉しかった。

気になる人は1976年公開の本作品をどうぞ。


ちなみに就寝前と朝は、この殺害現場で顔を洗って歯を磨いた(笑)



洗面所


風呂は家族風呂。湯ぶねがけっこう広い。

戸が二つあり、一応「男」「女」という暖簾が掛かっていたから男女別かもしれない。

ただし、鍵はない。


井8


まずはここまでの旅の汗を流して、すっきりして出た。

どうせ、また寝る前に入るつもりだったので。

ただ、宿の人から、出来るだけ9時までに入ってくださいと言われた。


音の問題もあるのかもしれない。


風呂から出たら、やはりビール!



ビール

部屋にそなえてある電話の受話器をあげれば下につながり、注文すれば部屋にもって

きてもらえる。

キリンラガービールの瓶、500円。


サービスでつまみをつけてくれる家庭的な心遣いが沁みる。


この日は上田についた時から猛暑だったので格別に美味い。



と、いうところで、また次回へ続く(笑)



本来2回で納めるはずだったのだけれど、書きたいことと画像が多くて2回じゃ終われなかった!