喫茶BLENDYLOOKのご主人 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

休日。


ゲラの修正作業を行わないといけないのだけれど、試験前の勉強と同じでいつも

自分の部屋だとどうもヤル気が減少気味になってしまう。


気分転換に久々喫茶店にて作業することにした。


中河原駅にすぐ前にその喫茶店はある。

以前、アニメ記事「母をたずねて三千里」記事内において、子供の頃迷子になって

ひとり歩道橋の上で泣いていたが、大人は誰も手をさしのべてくれなかったということを書いた

が憶えてくれている人はいるかな。

下の画像の右に見えるのがそのトラウマ歩道橋だ(笑)




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『BLENDY LOOK』

東京都府中市住吉町2-17-31・1F



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このあたりは祖父母の家が近かったことのほか、高校への通学路でもあったり、また

友人も近所に住んでいたこともあって、子供のころから店の前はよく通っていたが、

店に入ったのは二十歳をちょっと過ぎたころだった。あれ以来まったく行っていなかった。


ここは喫茶店だけど、ランチなどの定食がとても多くて、味も評判だ。



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店内に入ると、中央にテーブル。

あとは隅やコーナーに1人用、2人用などのテーブルがある。


今回はかどっこを選択して座った。



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家でおにぎり食べてきたので、ここでは気分を落ち着かせるコーヒーを。

アイスかホットか迷ったが、日差しが出てきたからアイスに。


イタリアンローストのアイスコーヒー 450円



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封筒からゲラを出して卓に広げる。

ちょっと卓が小さかった。



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コーヒーを啜りながら見なおし作業。


ううぬ……あれだけ見なおしはずで、ホントにもうこれが最後だと大口叩いたクセに

読み直してガクゼンとした。

ボロボロと直さないといけない箇所が発覚。

自分の能力のなさに発狂しそうになるが、コーヒーを飲んで気を落ちつかせる。

やはり気分転換に場所かえてヨカッタ。


今度はランチも食べてみたい。


さきほど、友人もこの近くに住んでいたと書いたが、その友人とか過去記事で書いた

せたが屋事件において決別した後輩である。


まだ仲良く会っていた頃、地元民であるその後輩に誘われて、このBLENDYLOOKに数回入って

ドリンク呑みながらドライブの予定などを相談していたのが、入ったキッカケだった。


今でも距離的にはそれほど遠くはない場所だが、こっちの方面に来ることがあまりないうえに

その後輩とも決別状態になったこともあって、もう20年くらい来ていない結果となった。


だから久々また店の雰囲気が見たくなったという理由もあるが、もうひとつはここのご主人が

お元気がまだお元気かたしかめたかったのだ。


まだ若かった当時、後輩とどこかに行こうとした時があった。

どこだったかまでは憶えていないが、時間が中途半端だったこともあって、1時間くらい

BLENDYLOOKにて時間をつぶそうということとなった。


中に入ると店の人は一人だけで、笑顔でオレらを迎えてくれた。

それから席について互いにコーヒーだけ頼んでしばらくの間くっちゃべっていたのだが

長く話しているうちに二人ともなんとなく腹が減ってきた。


「軽食1品だけ頼んで二人で食うか?」

「そうですね」


という流れになり、壁に貼られたメニューに目をやると、とあるパスタが美味そうな写真だった。


パスタにしようと思い、「あ、スイマセン!」と叫ぶと、厨房ほうから先程のご主人がまた笑顔で

出てきた。


「○○パスタひとつください」とオレが言うと、


ご主人が「すいません!! 今日はパスタの麺をもう切らしてしまいまして……」と言った。


「あ!そうなんですか!」 とオレが言ったら、ご主人は

「そうなんです……、メンがなくて、ごメン! なんてね」といい、顔の前で手を合わせて謝る

ポーズをした。


ギャグとしては昭和のべタなギャグなのだが、ギャグよりもご主人のその茶目っ気に対して

俺ら二人はその場で笑い、「ご主人面白いですねえ!」とかいうやりとりをした。

若者に対してのオヤジギャグ以外の何物でもないのに、なんかその時は温かい気持ちになった。


食べ終わって会計して店を出る際、ご主人は俺らに小さい紙包みをくれた。

紙には手書きでご縁と書かれていて、中には五円玉が入っていた。

たぶん、探せば今でもどこかにしまってある。

(これは当日来店した客全員に配っていたのだと思われる)


あのご主人、まだ店にいらっしゃるのかと思って再訪問して見たかった気持ちもあった。

もう約20年たつから……



今回、店に入ってからゲラ見なおしている間、ご主人らしき人の姿が見られなかったので

いないのかと思ったが、最後に店を出る直前、レジをみたらご主人がそこにいらした。

休憩していたのかもしれない。


オレは伝票を掴んで席を立つと、ご主人のいるレジへと歩いていった。

伝票を渡すとご主人は静かな声で「はい。450円です」「どうもありがとうございます」

とつぶやいた。


さすがにあの時のような元気はないけど、まだお店にいらっしゃることがわかって少し

安心した。


そして今回は笑顔を見れなかったけど、その寡黙な表情は昔よりもかなり‘お兄さん’に

似てきたように思えてならなかった。



「メンがなくて、ごメン!」

「ご主人面白いですねえ!」



なんて、そんなやりとりをしていたその時はまだ、そのBLENDYLOOKのご主人が

『俳優・緒方拳さんの実の弟さん』

だったなんてオレらは知らなかったんだなあ……。





これからもご主人の店が長く続くことを祈っております。


祈り――

オラシオン―祈り―

斉藤由貴と来生たかお。


(そう言えば「優駿」に緒方拳さん出演してましたな)