鈴木光司講演会 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

来~る


 

 きっと来る~



 きっと来る~



「リング」原作を書いた作家の鈴木光司氏が国分寺に講演にくる~ 。なんのこっちゃ。



あ、ちなみにあの有名な曲の歌詞の出だし、正確には「来~る きっと来る~」ではなくて

「Oooh きっと来る~」なんだけれど、オレも含めてずっと「来~る きっと来る~」だと思い込んでた人のほうが多いと思うのでわかりやすくあえて間違えたままでネタにしておいた(笑)



そうなのだ。作家の鈴木光司氏が国分寺市主催の無料講演会に来るという情報を少し前に

入手したのだ。


講演会マニアのオレとしては、ちょっとでも気になる人の無料講演会が近場であった際は

出来るだけ顏を出してみたいと思っている。

好きな人だったら多少遠くても出向く。


振り返ると今まで誰行ったっけな。

ゾマホン、椎名誠、ピース又吉&町田康、菊池弁護士、川上未映子&黒田夏子、小早川毅彦

……パッと思い出せるだけでもそれだけ。メンドくさいからリンクしないけどすべて記事にはしてる。


そして今回は鈴木光司氏。


「リング」は原作読んで映画観てけっこう好きだったし、一応「らせん」とか「ループ」も

読んだ。

だから鈴木氏は気になる人ではある。


ホラー作家のオッサンだと言ってしまえばそれだけのように聞こえてしまうが、今や日本ホラー界における最凶にしてもっとも有名となったダークヒロイン「貞子」を生んでこの世に送り出した人を

ナマで見れると考えると、物書きとしてはちょっとコーフンするではないか。


これはやはり行くしかない。


そういうわけで昨日か。例によって自転車で数分の国分寺駅駅ビルの上のほうにある会場ホールへ。



光司1

企画としては一応はこーゆー行事。



入口前に案内の掲示が出てた。



光司2

講演テーマは

「新しい歌をうたおう ~新しい家族のありかた~」というもの。


鈴木氏は奥さんが教師をやっていたので、育児と文章を書くことを中心とする生活を

おくっていた(おくっている?)ので、それをふまえた仕事や育児や家族のありかたを

講演するという内容のようだ。


まあ、そういうハナシももちろんためになるから聞いてみようと思っていたが

個人的には正直言うと、「作家の私生活」とか「リング裏ばなし」とか聞けたらいいなあという

シタゴコロはあった。鈴木センセイすいません。


開演時間が近づくと、入口からポツポツと人が入りだしてきた。

席数は200席だけど余裕があり、入場者のほとんどがご高齢だけどそれは予想どおり。


鈴木氏の人気のモンダイではないのだ。

オレが知り限り、このイベントの告知はほぼ、ポストに入れられた国分寺市の市報内のみ。


若い人は集合ポストをあけても市報なんて気にしないだろ。

どうせ一緒に入ってたピザ-ラのチラシとともに備え付けのゴミ箱に入れて終わりだと思う。

だからリングファンでもイベントそのものの開催を知らない。


だけど、高齢者はそういう市報とかもしっかり読む。

だからイベント開催は知っている。鈴木サンという作家も名前だけは知っている。

でも、「貞子」までは知らない。

貞子と言ってもおそらく緒方貞子のことだと思っている(偏見か?)


オレは「作家」「貞子を創りだした人」という視点でハナシを聞きにきたけど、多くのオジサンオバサンはおそらく「育児をするお父さん」のハナシを聞きにきた感覚だと思う。


午後2時になって開演。

鈴木光司センセイご登壇。


おお、この人があのリングを書いた人か、と改めて見つめてみる。


まずはホラー作家らしく、それっぽいツカミの冗談から入って客を笑わしていた。


楳図センセイも岩井センセイもそうだけれど、怖いハナシを書く大センセイのすごいと思うところは

作風はおどろおどろしくても、本人はクダけて明るいところだ。


講演は2時間ほど。


小学校5、6年で小説を書きだして、売れる前から奥さんと結婚して一緒に先を目指そうと決めたというハナシもあった。


本が売れてから……つまりは成功して安定してから結婚するのではなく、その前から結婚すれば

一緒に頑張るという目的が出来るということ。

そのヘンは作家らしい。すごい。


人生や結婚生活の進め方というのは、その人の環境や性格で異なってくるので話されていたことが正解は不正解かというのは判断できかねるが、それでも育児のことなどや普段は聞く機会のないハナシを聞くことが出来たのはよかった。


もちろん、ところどころに「リング秘話」などもちゃんと挟まれていた。


最初に「リング」というタイトルを聞いた時にどういう意味なのだろうと考えた。


物語が輪っかのようにつながっている、つまりリンクとかけているのかとか、

あるいは、井戸を上から見た時のカタチだろうかとか。


鈴木センセイによると、作品を書き始めてしばらくたった時に、タイトルをつけていないことに

気付いたという。

そこで近くにあった英和辞典を手にとり、無造作にぱっと開いたページに「RING」とあったので

それにしたようだ。簡単に言えば意味はナイ(笑)


ネーミングなんて所詮そんなモンである。

つい最近もNHKが教養番組にて三島由紀夫を取り上げた際に「三島」という筆名について

本人が静岡県の三島が好きだったからなんていうことをいかにも格調高そうなナレーションで

流していたが、筆名については三島の父親である平岡梓がずっと前に書いた「倅・三島由紀夫」

という本の中で「あれは電話帳を開いた時、はじめに目についた名前にしようと決めて、開いたら三島という名があったから」と明確に記している。


ただね、小説やドラマのタイトルってのは面白くて、この「RING」のように使われる文字数が少ないほど、読み手に想像力を働かすことが出来て、実質中身となんの関係もなくてもそれほど違和感もあまりなければ読者からの指摘もあまりなさそうに思える。


RINGに関しては内容がそのままで、タイトルがRINGではなくDELTAとかDARKとか

MOONとかでも通用すると思われる。

読み手に対して何か隠された意味があると思わせて実は何もないというトリックだ。

(これは鈴木センセイが言ったことじゃなくオレの見解)


そんなこぼれ話なども含めてあっという間の2時間。

聞く価値はあった。


鈴木センセイのハナシはよかったんだけど、やはりこういった誰でも気軽に入れる無料公演という場には、やはりマナーのなっていない客がツキモノだ……


講演途中で入場してきて、壇上で鈴木センセイが話している最中なのに、会場のすみっこで

声出して係員ともめているヤツがいた。時間がどうのこうのとか叫んでいた気がする。


あとは一部の高齢者。電車の中とかでもよく遭遇する光景だが、携帯電話をマナーモードにしないまま、バッグに入れてそのうえ居眠りしているオジイやオバア。


着信音が鳴った瞬間に目が醒めてあわてて音を消すか電源切るかにするぶんにはまだ許せる。

(厳密には許せないけど)


だけどタチが悪いのは高齢だけに携帯がうるさく鳴っても目を覚まさないのだ。

だから講演会場だろうが電車の中だろうが、音がずっと鳴り響き周囲は迷惑する。


今回もそんなようなことが発生した……


その怒りによってオレの目つきが映画版「RING」の終盤に出てきた「貞子の目つき」

みたいになる……



貞子っぽい目

人差し指で、まぶたの上を抑えて思い切り上に吊りあげて撮影しました。

映画でも実際そうやってカット撮ったみたいだから(笑)




小さい子供に説教するみたいだけど、マナー守らないと家のテレビから緒方サンじゃない

貞子さんがこんな目をして這い出てきますよ。





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