新宿三丁目「どん底」 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

時はバレンタインデー。先週の土曜。


モノ書き作業のほうをけっこうつめてピッチをあげたので、なんとか最終調整の段階まで進んだ。そしてちょっとガス抜きにて息抜きがしたくなった。つまりは外で飲む酒。

男友達を誘い新宿へと繰りして、まず最初はチェーン店で飲んだ。


実はこの日、2軒目として是非行きたい店があった。

前に行ったのは、たぶんもう10年くらい前になる。

その時は、連れていってもらったのだが、まだその店の歴史や水準を知らずに過ごすといった

非常にもったいないことをしてしまった。


だから今回はその執筆作業の間の息抜きの空間としてもふさわしいと思って行きたかった

店。10年の時を経て再訪。


場所は新宿三丁目。末広亭のすぐ近く。

路地の角を曲がれば、蔦が全体に絡んだ異国情緒を醸し出す建物がそこにある。


『どん底』

東京都新宿区新宿3-10-2

詳しくはココ


まずは店の前で写真を1枚パチリ。

都内においてこれほど素晴らしい背景を持つ場所は他にあまりないだろう。


純粋な人たちが住んでいる空間を、よく「世界の片隅」とかいった表現をするが

「どん底」はまさに新宿の片隅で輝いている場所なのだ。



店前1

通の間じゃなくとも知っている人は知っている老舗居酒屋だ。

ロシア風酒場とも言われている。


実は数か月前も一度、友人と店まで来て扉を開けたことがあるのだが、やはり人気がすごく

店の前に待ちの人もいて、その時は断念した。

今回もダメ元で訪問したのだが、ちょうど来客の隙間だったのか1、2席空いていて入店できた。


「どん底」という店の名前はロシアの貧困を描いたゴーリキーの戯曲「どん底」から来ている。

(オレはまだ読んだことない)


そして、この店は歴史があり昔から多くの文化人や文豪が通っている。

映画監督の黒澤明詩人の金子光晴美輪明宏愛川欽也大山のぶ代

そして、この店に関して「世界的水準の店」と評したのが同じく常連だった三島由紀夫だ。

その他にも多くの文化人、著名人のファンがいるが詳細はHPなどで参照を。


この店の雰囲気は、どこか屋根裏風で隠れ家的。それも人気の理由のひとつ。


案内されたのは2階。カウンターに客が犇めくうす暗いフロアの奥へ進められ、一見隙間かと思われるような通路を通されたところに隠れ部屋的な空間があった。

出来ればさっきのうす暗い空間が雰囲気あったが、まあそこもなかなか落ち着けそうなので○。


オレらはテーブルに案内されたが、すぐ横にはカウンターがあり、厨房(スタッフエリア)を挟んで

反対側のひらけたフロアで飲む人達の姿が見える。女性だけのグループも目だった。

カウンターにあるレトロな椅子(画像手前)を友人は気に入ったようだ。



カウンタ2

メニューもなかなか洒落ていて、それでもって気取り感がない。



メニュー4


これまた洒落たコースターの、お通しが出される。

お通しは「生ハムとクリームチーズのカナッペ」だ。お通しの味が既にハイレベル。



お通し3


この店に来たら絶対に頼むべきなのが、どん底名物の「どん底カクテル」

通称「どんカク」650円だ。

久々に、この「どんカク」の味を確認したくて来たというのもあった。


どんカク5


この「どんカク」。

ベースは焼酎らしいのだが、詳しいレシピは企業秘密。

正体不明で、どことなく雑(いい意味&褒め言葉)な感じの味がするところがレトロで硬派っぽく

って惹かれる。


ほのかに果実テイストがあるので、とても飲みやすいのだが、実はアルコール度数が15度ほど

あるので、「なんだ、飲みやすいじゃないか」とうっかり油断してグイグイと喉に流し込むと

少し経ったら冥界、いや酩界へと連れ去られてしまうかもしれないから要注意だ。


常連だった金子光晴もこのカクテルに惚れ込んで「ドンカクの歌」 なる歌まで作っているのも

有名だ。



「どんカク」を片手にダンディな男の時間が流れる(笑)



どん底が初体験の友人はどんカクにご満悦。


友人6



そしてオレはモノ書きの休息気分を味わったり。

画像タイトル「作家の休日」(笑)


ケン7

オレはここの常連でもあった世界のミシマにどこまで近づけるだろうか。

たぶん、三〇〇〇〇〇〇〇〇光年手前くらいまでは近づけそうな気がする。


どんカクが誘う心地良き酩酊ジャーニー。


「どんカク」はいろいろ語りながら1杯をゆっくり味わって舌の先で舐めるように飲むのがべスト。

結局2杯飲んだが、帰って寝てから夜中に目が醒めた!喉もなんとなく焼けてたような(爆)



あとはフード。

これも「どん底」に来たらハズせないメニューが

「林さんのライス」 950円。


林さんライス8

ハヤシライスではない。林さんのライス。


昔、林さんというお客さんの要望で生まれたメニューだとか。

肉とキャベツをウスターソースで炒めたもの。

シンプルなようでこれがかなり美味くてクセになる。

どん底の看板メニューの一つだ。


2軒目だったので1時間ほど滞在して店を出ることに。


会計の際、店員のおねえさんが伝票と一緒に未使用のコースターを持ってきてくれた。

「先程(コースターや店内の)お写真撮られていたようだったので、よろしければ……」

と記念のお土産用に持ってきてくれたようだった。


このニクい心遣い。

この店はスタッフさんの対応も素晴らしいと評判である。


「ずっと前に一度来たことがあるんですけど、三島さんが好きなんでまた来てみたんですよ」と

オレが行ったら、

「三島サンが来た時は……」と当時の説明もしてくれた。


最後は伝票を持って、入口にあるレジでお会計。

このレジもまた、海賊船の一角のようでもあり、ジブリ映画に出てきそうでもあり、

日本で言えば、山奥の秘湯の帳場のようでもある。まあ、ここも日本だけど。



レジ

久々に来てみたが、とてもよい時間だった。

酒は上手いし、食い物も上手いし、空間は風情がある。



男ふたり……


どん底で過ごすバレンタインデー……



いいじゃないか。

これこそオトナの贅沢。


合コンなどで騒ぐうるさい学生もいない。

ビジネスを熱く語る目障りなオヤジもたぶんいない。

偏差値の低い話題の会話をするギャルもいない。


最高に素晴らしくて格好の良い時間だった。

また……今度飲みにこようか。





[追伸]

ちょっと前から兆しがあって調子悪かったのですが、パソコンが明日にも稼働しなくなる

可能性があります(>_<)


とりあえずはだましだましで使って今夜も更新しましたが起動時に電源切れたりついたりが

繰り返され、1時間たってから安定し、やっと執筆&ブログ更新……。


と、いうことで何かあった時のために今のうちにお知らせだけしときますが、

今夜以降、もしぺタやコメ返が異様に遅れた場合、

それは壊れたということなのでご了解ください!無視ではないですから。

操作可能ならスマホから出来るだけ対応するかもしれませんけどね……


パソコンめ、

頼むからこの忙しい時期に完全にクラッシュしないでくれよな……まったく。

てか、ネット見れないだけならともかく、今起動すらしなくなったらヒジョーにキビシーん

ですけど(._.)