悪ふざけの殿堂 | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

「じぇじぇじぇ」「倍返し」「オモテナシ」に隠れたダークホース的な
流行語大賞エントリーは「悪ふざけ」

報道は減ったけど、表に出ていないだけで、まだマネして何かしらやっている輩は
いるんだろうな。

まあ、そんな報道をしているメディアも商品が番組だけけに飲食店のような衛生的問題は
ないにしても、これまでにある程度の「悪ふざけ」を電波でやってきてるのを10代くらいの
時に結構観てきた。

皆さん、プロ野球で言えば乱闘騒ぎが好きなように、テレビ、ラジオ、または週刊誌などの
クレーム系ってネタ嫌いじゃないでしょう?人間ですもんねえ(笑)

今回は記憶に残るそんなクレームネタ特集。
うーん、タモリ倶楽部的になってきた(爆)

今でこそ放送倫理で各メディアもきびしくなってるけど、昔はやりたいほうだいだったわな。

若いころに、ちょうど生で観ててて今でも記憶に新しいのが、
「とんねるずのみなさんのおかげです」での苦情殺到したという回。

その回のちょっと前にワイドショーでも木梨が緊急入院して、退院したとかしないとかいってた
タイミングでの「追悼ネタ」
番組始まっていきなり、でっかい木梨の遺影が映し出され、周囲には祭壇と多くの花という
セット。中央には沈んだ表情でかしこまる石橋、その横にはホンモノのフジの男性アナ。

最初見始めた時は、とんねるずの番組だけあって、当然ふざけているんだろうと思っていたが
動画を見てもらうとわかるように、この件が「やけに長い」のだ。
セットの本格的で、男性アナが真剣に話しているし。

最初はネタだと思ってずっと見てたけど、数分続くもんだから
「え?……もしかしたら、マジ?」
と、ちょっとだけ思ってしまった。

当時、実家で親と一緒に見てたのだが、母親も最初笑っていたけど
少したってから「あら、もしかしたらホントかしら?」
と言っていた。

この「尺の引っ張り」とヤケにリアルな静けさで、日本中けっこう同じように思った
人がいたらしい。



動画の通りだが、結局数分もたってから木梨が登場してオチがつき、スタジオだけ
盛り上がっていたが、放送後にクレームが殺到したらしい(笑)

そして、翌日のスポーツ新聞の見出しに大きく
『とんねるず悪ふざけ』

良い意味でも悪い意味でも、かなり時間がたった今となってはバラエティとして
「伝説的悪ふざけ」みたいになったけど、現在やったら大問題だろうな。
「死」という事象に対して、軽く扱っているようなモンだから。


とんねるずと言えば、これももう20年くらい前の番組になると思うが
「ねる様の踏み絵」という番組もやっていて、これもクレームの嵐だったらしい。

クレームも何も、こっちは番組そのものがもう「悪ふざけ」みたいなモンだった。
別れるか別れないかというマンネリ状況になっている素人カップルを数組集めて
番組の中で、彼氏と彼女をそれぞれ別のカップルの異性に接しさせる。
気に入った男(女)がいて相思相愛になれば、その場で彼氏(彼女)を捨ててその相手と
付き合う。またやっぱり現在の恋人とそのままで異様と思ったら「元サヤ」と言って
相手を乗り換えることなく元のサヤに戻る。
簡単に言えば別のカップルの異性から、付き合う相手を探すスワッピング番組。
低俗の真骨頂。

例えばカップル1のA男とB子のA男と、カップル2のC男とD子のD子が
今の恋人と別れて互いにつきあいたいということになりカップル成立したら
つい「今さっき」まで付き合っていたB子とC男の前で、あったばかりの2人がキスを
してみせるのだ。

補足すると上の場合、B子とC男が、やっぱ今の恋人とは別れたくないと言っても
こういうように相手が新しいパートナーを選ぶカタチとなれば自動的に捨てられる。

オレの説明がヘタで申し訳ないが、おわかりいただけたかな?

こんな番組をゴールデンでやっていたのだよ。
しかも企画は今をときめく秋元康大センセーだったと記憶する。

それなりに続いたが、言うまでもなく番組自体に苦情が殺到して途中から番組名が
「とんねるずのカバチ」に変わり、内容も全く違うモノに変更された。
「ねる様~」としても最後の回のラストで石橋が、

「視聴者の方々から『おまえらいい加減にしろ!』というお声をたくさん頂いたような
ので次回から番組リニューアルします」

と言っていたのを覚えている。
アレは、まさに純度100%の「悪ふざけ」だった。


松村邦弘が降板する前の「進め!電波少年」も色々悪ふざけやってたなあ。

よく「○○したい~!」という企画が定番になってて、そん時にデザイナーの君島明と女優の
吉川十和子(共に当時の名前)が婚約したけど、実は君島氏のほうに愛人が数人いたという
報道がメディアで流れていた。

それに目をつけた「電波少年」が‘もしかしたら、まだ(愛人が)いるかもしれない!’
というふうに前置きナレーションして、
「君島明氏の愛人だった人、大募集!」とか企画でテロップ出して、会場はバカうけしていた。

当然、おふざけで、とりあえず応募してくる人がいたら、そのやりとりだけを面白くとろうと
いうだけの魂胆だったんだろうけど、この放送を見ていた君島一族から抗議が来たらしく
企画倒れになった。

他のお笑い番組ならば、翌週の放送の最後とかでアナウンサーがその件のお詫びをするのを
流したりするのだが、電波少年の場合、そういう企画がウリなだけに、真剣に謝罪したら
評価が下がるという判断なのか、全く関係ない企画の時に画面の下に

「君島明氏愛人募集の件に関しましては、お叱りを受けまして企画は中止致します。
ご関係者の皆さまに対して不快な思いをさせてしまったことを心からお詫びいたします」

というテロップがサーっと流れているだけで、それ以上ふれられることはなかった。

ま、「電波少年」も全部悪ふざけみたいなもんだったからな。
面白い企画はホント面白かったけど。一部ヤラセはあったが。


オレは伊集院光が好きで、昔よくラジオを聞いていたのだが、彼もたまにやらかしていた。
伊集院は「オールナイトニッポン」のパーソナリティもやっていたのだが、
ちょうど光GENJIが全盛期の時に、番組のゲストにただの素人の「ゲン」という名前の
お爺さんを呼んだらしい。
そしてその日の新聞のラテ欄に番組名をこう書かせた。

「光ゲンジイのオールナイトニッポン」

「光」と「ゲンじい」で光ゲンジイ。
本人は新聞媒体を巻き込んだ手間を掛けたネタとして、笑わそうと思ったらしく
オレもこういうネタは好きなのだが、光ゲンジがパーソナリティをやると思って
眠い目をこすって夜中まで起きてた光ゲンジファンの子たちが大激怒して、
たっくさんのクレームをよこしたらしい。
ただ本人は今となってはもう笑い話として話している。
これは「ふざけ」にはなるがかろうじて「悪」はつかない範囲かなと(汗)

伊集院の別のラジオ番組のエピソードをもうひとつ。これは生で聞いていた。

当時、番組内のメンバーでもあった局のSというアナウンサーにドッキリをしかけるっていう
企画があったのよ。

そのドッキリの内容がニッポン放送の編成部の一番偉い人のところにリスナーからの
「Sアナウンサーに○○された」という抗議告発の手紙があちこちから、山のように届いて、
エライ人がSアナウンサーを呼び出し、手紙の山を見せて、「これはどういうことだ!」
と問い詰めて、動揺するSアナウンサーの反応を見ると言うモノ。


そのドッキリ始動に向けて、伊集院はリスナーに呼びかけた

男の子だったら「Sサンに街で殴られた」「Sサンに財布を盗られた」
女の子だったら「Sさんにイタズラされた」「Sサンからしつこく電話で誘われている」

というような内容を書いて、ニッポン放送の○○部長宛てに手紙を出して欲しいと。
ここまでで伊集院のテンションはMAX。

多くの番組のリスナーは大好きな伊集院に企画に協力するべく、「Sさんに○○されました」
というないようを手紙やはがきに書いて送ったり、送る準備をした。

と、ここで問題が発生してしまう。


1人のリスナーの女の子が、この企画に従って
「街でSさんと会って、○○されました」と書いた手紙をすぐに出さずに
1日くらい机の上においたまま、学校に行ってしまった。
そのコが学校に行っている間に、部屋に入った母親がその手紙を見てしまう。
(手紙を勝手に観るのも、まあ問題あるけど)

内容を見た母親は、娘がニッポン放送につとめるアナウンサーともあろう者に
イタズラされたと思い激怒。
局のそのエライ人宛に、怒りの電話をかけてしまったというオチ。

この件に関しては、後日、いつになく神妙なしゃべりで伊集院が報告も兼ねたお詫び。
伊集院もディレクターも作家も、上層部から、こっぴどく怒られたらしい。

でも、コレに関しては似たようなことが我々の生活でも怒り得るかもしれないから
ちょっと教訓になった。


そう言えば、数年前にペプシコーラが海外CMにて、ペプシのキャップを○○万本集めて
送れば戦闘機プレゼントというのを流していて、その数字は憶えていないがとてつもなく
大きい数字だったらしい。ペプシとしては言うまでもなく、第一そんなに集められる人
なんているわけないんだから、誰が聞いても冗談だとわかるだろうということで流した
ようだが、実際に信じて、そのぶんの数を買って集めて応募した人がいたらしい。

ペプシ側は誰が聞いても分かる冗談だと言ったが、応募した人からすれば冗談なんて
一言も言っていなかったから信じて大金をつぎ込んで買ったと対抗して、裁判になった事件
があった。アレ、結局どうなったのかな。

このように自分の中では冗談だと分かってもらえると決めつけていても相手は真剣だったり、
また、伊集院の件のようにちょっとした冗談のつもりがタイミングによって大事になって
しまうこともあるから、「冗談」が「笑えない悪ふざけ」にならないように注意せんと
怖いもんである。

結局、誰も彼もメディアもどっかで何かしらの悪ふざけは生んでしまっているのかもしれないねえ。

それ言ったら、もうこの国の政策そのものや、過剰資本主義というものが壮大な
「悪ふざけ」みたいなもんだけどね……。コマッタモンダ。