村田沙耶香「授乳」他 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

授乳 (講談社文庫)/村田 沙耶香
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高校生の時、休み時間に友人数人とダべっていて、何か割りのいいバイトは無いものかとか

話していた。


そん時にハッと閃いて、真剣に

「あ!オレ、高校卒業したら家庭教師のバイトでもやろうかな!」と言ったら

聞いていた友人4人が腹抱えて、どっと大爆笑しやがった。


オレが「何も面白いこと言ってねえよ!」とキレたら、

「いや!今のはココ最近で一番のヒットだよ!さすが天才!」と返された。


人が真剣に言ってるのに失礼極まりないやつらだ。

たしかに当時のオレ(ら)は偏差値もさほど高くない学校にいて、

オレ自身もアメリカの首都はニューヨークだと思ってたり、香港がイギリスの植民地だったこと

も知らずに、友人がウソついていると思って、「じゃあ、ロビンマスクは香港出身なのかよ!」と

キレてそこでも笑われたり、ヘレン・ケラーの功績はスプーンを曲げた事だと思っていたりした

が、その程度でオチャメなバカで、家庭教師をしたいと言って笑われるほどのバカではない!(爆)


そんなようにオレの事を笑った悪友(一番の親友でもありボクサーのヤンキー)は残念ながら

高校2年でクラスが別になり、ダブって自主退学してしまった。元気でやっているだろうか。

そんな彼も、高校時代、家庭教師がついていて、(当時)女子大生でメチャ美人で付き合いたい

とか言っていたのを思い出す。彼氏がいるのを知って悔しがっていたが(笑)


ちょっとアダルトチックなドラマや漫画での「カテキョ」ものは、そういうふうに生徒がセンセイに

恋してしまったり、また、ちょっと禁断の愛的なほうの流れだと、オトコの家庭教師が女生徒に

手を出してしまうというのが、まあ多いかと思う。


だけど、最近、「しろいろの街の、その骨の体温の」で三島由紀夫賞を受賞した

村田沙耶香の「授乳」はちょっと違う視点のアブナイ「カテキョ」ものの短編である。


村田沙耶香に関しては、上で書いたように三島由紀夫賞受賞したということで

どんな作家かと思い、前に「マウス」というイジメを扱った作品を読んでみて、まあまあ面白かった

んで、この「授乳」も読んでみた。


以降、ちょっとネタバレもあるので注意。



メインとなる登場人物は主人公の女子中学生と、その家庭教師の男子大学生。

大学生のほうはトラウマを抱えており、明るくもなく、かといって陰気までもいかず

事務的に家庭教師という仕事をすすめる。とくに女性に対しての執着や欲もない。


そんな大人しい家庭教師大学生を目の前にして、女子中学生の支配欲が姿を見せる。


――こっちに来なさいよ。


密室の中で、気弱でおとなしくトラウマを背負った家庭教師の男に迫る女子中学生の

狂気と支配。若さが生んだエロティックで残酷なゲ―ム……


どういう方法で彼女は、人生に弱っている男を支配しようとしたか……

そのヒントは、本のタイトルに。


そして最後に女子中学生がとった残酷な行動を読むと、家庭教師の男があまりに可哀そう

でならなかった。 ワルイ女によって示談金目的の標的になった冤罪痴漢逮捕者とかを想像

してしまう。


作者の村田サンという人は、外見的には、とてもしとやかなフツ―の女性だ。

しかもオレよりも若い。

そんなフツ―の女性がこういう話を紡ぐことが出来るのだと思うと、作家としての才能が

すごいと思うと同時に、女性目線ならではのリアルさがこわい。

うーん、やっぱオンナはこわい(笑) 


ちょっとオドロオドロしいというニュアンスの話だけど、どちらかというと人間や若さゆえの

純粋な狂気をメインとしてるんで、エロさはさほど感じ無い。

レビューを見ても、女性からの評価のほうが多い。

言っておきますけど官能小説じゃなくて、れっきとした文学ですからね。念のため。

賞もとってるし。


タイトルからして、母親の育児物語とかを想像して本買った人は、読んでるうちに

ブッとぶかも(爆)




さて、今回のもう一冊。

これも前から気になっていたけど、やっと読んだ。


今夜、すベてのバーで (講談社文庫)/中島 らも
¥560
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もう、作品名くらいなら、多くの人が知っている中島らも氏の代表作。


「アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に冷めた日常」

(解説引用)


肝臓を痛めることを、‘レバ炒め’と表現していたのは、さすがコピーライター経験者。

アルコール中毒やらジャンキーやらのエッセイや物語を書かせたら、この人の右に出るものは

いない。


そういえば、最近「第3のビール」や「韓国産のまずい発泡酒」を比較的美味くビールっぽく

飲む方法を発見した。

冷凍庫のほうで、凍る一歩手前のとこまでキンキンに冷やす。

そして凍る直前で、取り出して飲む。


たまに白木屋とか行った時、ジョッキも中身もキンキンに冷え過ぎて、冷たさが先行し過ぎで

味や旨味が良くわからない冷えたビールが出てくることがあるが、それと近くて、

味が麻痺するかわりに、冷え過ぎたビールだと思えば、そんなような気がしたまま飲める。


よくわからんメーカーのビールや発泡酒なんて、どうせ、もとの味がそんなでもないし。


まあ、簡単に言ってしまえば「ごまかし」なんだけどね。