中年よ、乙武自虐を抱け | 昭和80年代クロニクル

昭和80年代クロニクル

古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

ほとんどの大人が「そういう時期は卒業した」と言うと思うがオレは未だに精神年齢が低く

また、人間の器がシルバニアファミリーの食器くらいに小さいので、昔ほどでないにしろ、

自分より若い男性タレントやスポーツ選手や文化人が世間からチヤホヤされるとジェラシる

ことも少なくはない。(ほとんど年下になってしまったが)


すごい破格の契約金でプロに入り、スポーツも出来て顔もイケメンだとマスコミや女性から

騒がれる若僧が嫌いなチームに入ったもんなら

「プロ初打席で伊良部クラスの剛球投手からデッドボール受けてケガして1シーズン棒に振り

やがれ、コンニャロメ!」

とかオチャメに思ったりする。


また、イケメンだと言われて毎日のようにテレビジョンで見かける若手俳優とか見ると

「熱愛発覚直後に別のブサイクな女優とラブホ入ったとこをスクープされて好感度下がりやがれ、

コンニャロメ!」

とかも思ったりする。


サイテー人間街道を時速120㌔まっしぐらだな( 一一)

いや、サイテーと言ってしまえばサイテーだけど、言いかえれば「正直」なんだよ!

読者の皆さんだって、なんでもこなせてルックスも良い美男美女見ると、たまにそう思うこと

だってあるでしょう!ありますよね!? … え?ないって!

なんだよ・・・・そんだったらホントはオレもないよ!(爆)


ま、そんなジェラシー銀河大皇帝のオイラなんだけど、

「うわ!年下だけど、この人スゲェ!あたま上がらん!」と思う人もいる。


今さらな上にベタになってしまうが「乙武洋匡氏」である

乙武クン・・・いや乙武サンと呼ぼう。

乙武サンに関しては実は以前一回お見かけしたことがある。

営業で山手線移動してる時に高田馬場駅のホームで。

実際は後姿だけで、正面からや顏は観ていないが、あのシルエットは間違いなく

乙武サンであった。まだ五体不満足が出だあとくらいだっただろうか。


乙武サンの価値観や割り切り方はすごい。本も数冊読んだけど。

障害者の人とかハンデもった人って、やっぱかなりの苦労してきてるから、本とか講演とかでも

障害者の人にやさしくしよう、とか、多少行動が荒れてたりしても大目に見てあげよう、とか

言ったりするのが普通。もしオレがハンデもってたら、そう言うと思う。

(持ってなくてもグダグダ言ってるけど)


でも当時の乙武サンは、あれだけメディアに出てるけど、「障害者のための社会」みたいな

講義とかはあまりしたくないと言ってて、実際してなかった。むしろ「ごきげんよう」とかで

話すみたいな「笑わせトーク」のほうがほとんどだったような気がする。今でも。


五体不満足の中で書いてたことでオレなりに衝撃受けたのは障害者と向き合うことに対して

「相手が障害者だからってムリに付き合うことはない」と書いていた部分。


普通だったら、障害者は苦労してるから時々荒む事もある。だから多めに見て我慢して

優しく付き合ってあげてくださいとか書きそうなもんだが、乙武サンは障害者にも性格が悪い

奴もいるので、そういう奴とはムリに付き合わなくてもいいと書く。


付き合うのをやめると宣告した時に、障害者が『差別だ』とかホザいたら

『アンタの性格が悪いからだよ』と障害者に言ってやればいい、と書いている。


‘ホザく’という表現も含めて、障害者という立場からでここまで割り切って、

健常者の立場も考えた事を言えるというのは斬新だった。これはすごいかなと。



だが、そんな擁護的な発言以外でも、すごいのが割り切った「自虐ネタ」


過去に「自虐が出来ない人間は他人をいじって笑いをとるな」という記事を書いたが

今回の記事、というか乙武サンのネタこそ、自虐と言うモノのやり方を知らない人には

読んでほしい!


有名サブカルインタビュアーの吉田豪氏の本(だったと思った)で乙武サンと吉田氏も

対談が載っていたのだが、そこで乙武サンがマシンガンのように次から次へと乱れ撃つ

「自虐ネタ」がすごいのだ。


たぶん乙武サンの中で「ボケ」のマニュアルがあるような感じかねw

あとから知ったがいろんなインタビューや発言の場で言ってるらしい。


乙武サンの人気とか信頼度はもうかなりのモンなんで、もし選挙とか出たら確実に

当選するだろう。

そこで「出馬の予定や、党から誘いは?」 とか聞かれた時に、「ない」と答えた上で

「もし『立ち上がれ日本』から声掛けられても、その立ちあがる「足」がないんですよね(笑)」

とか笑いながらこたえてたようだ。


また「指紋がないから完全犯罪出来ますよ」 とかいう自虐も。


そういやなんの番組だったか忘れたが、こうも言ってた。

新宿で友人と飲んでて気分よく酔っ払って店を出たあと、酔って気分イイ勢いで街角の易者に

「ちょっと手相を見て!!」とか言って、易者が困ってたとか。


ある意味でかなりデリケートな問題ではあるから、説明に欠落があったらオレが誤解される

から、思っていることを全部書いてゆくけど、オレはコレらの「乙武自虐ネタ」を聞いてウケた。

だってオモシロイじゃん。


ただ「笑ったことの前提」は乙武サンが確信犯であること。

そして確信犯だということと、乙武サンの性格がわかっているからこそ、

単なる自虐でなく、ネタとしてもハイレベルであり、乙武サンが自分も多少傷つくことを覚悟で

周りを笑わそうとしてサービスしてるんだから、これで笑わないのは逆に失礼というか差別に

なるのではないかというオレの判断。


自虐と言うギャグはかなりの技術を必要とする上に「諸刃の剣」である。

自分で言ってて自ら多少傷つくが、それでも周りがウケて笑ってくれるなら嬉しいという

いわば「捨て身」の賭けである。これこそヘタにプライドが高い輩には出来ん至難のワザなり。


乙武サンは、ヘタに同情してもらって暗くなったりするくらいなら自分の特徴を武器に笑って

くれたほうが嬉しいと思っているんだと思う。もともとお笑いとか好きなようだし。


だから、その捨て身で笑わそうとしてくれてる乙武サンの自虐ネタには笑うのが礼儀だと思う。

もしツマらんかったらムリに笑わなくてもいいが、面白かったら笑うのが礼儀だ。

ヘタに引いたり反応に困ったりするのは逆に失礼。


オレもたまにあるのだが、おもいきり自分をバカにしたネタとか、恥ずかしいエピソードとか話した

時に、相手も気を遣っているのか真剣な顏で「へえー・・・大変だったんだね(';')」とか言われると

「おい!そこは笑ってくれよっ!」って思う。

相手は優しさのつもりの対応したつもりかもしれんけど、逆にこっちが笑えない・・・

その同情の反応みて「オレの状況ってそんな深刻だったのかよ」とか考え込んでしまったり。


時と場合によるが自虐には笑うのが礼儀である(つまらなければ笑う必要ない)


ただ、乙武サンのケースとかでいえば重要で、間違えてはいけないのは

あくまで、「当事者自らの自虐」はノったり笑ったりしていいってこと。


言うまでもないが、向こうが気にしてる場合も多いんで、こっちから「身体的なハンデ」もしくは

「コンプレックスだろう箇所」に突っ込んだり触れたりするのはタブーだ。

それこそホントの差別になってしまう。


世の中には自分が目立ったりウケをとりたいために、コンプレックスのあるっぽい人を

いじって笑いをとろうとする人間が意外と多いのだ。

しかもそういう人間に限って自虐はやらず鈍感だったりするので、嫌われてたりすることに

気づいていない。


そういうあらゆるパターンを考えると乙武サンは優しい。

自分から自虐を言う事で、普段から周りにあまり気を遣わせないようにしてると思う。


障害者の友人と遊んでたり話したりすると、その気がなかったり偶然だったりでも

たまに障害者の人のデリケートな部分を連想する言葉が出てしまったりすることもある。

大体そういう時、言ってしまったほうは「しまった」と思い、気まずくなるけど、

乙武サンはもともと自分から言ってるから、もし言ってしまっても、別に気にしてないかなとか

周りにかんじさせようとしてるんじゃないかな。

もしかしたら、そこまで考えてなく、ただ単に笑い取りたいだけかもしれんけどw


そういう流れで「乙武洋匡」という人間の器はやはりすごい。


自虐を知らない人間は乙武サンを見習えと言いたいとこだが、

でも実際の障害者の方だったらここまでハンデをネタに出来る人はなかなかいない。

決して出来ない人がオカシイのではない。

乙武サンが偉大すぎるのだ。


だから健常者の方なら、なおさら「自虐力」をつけることが出来るだろう。


ハンデを背負っている乙武サンが、ここまで自分をネタにして他人をバカにせず周りを

楽しませようとしてるんだから、乙武サンから自虐ネタを学び、人をいじるんでなく自分を

ネタにして笑わす力をつけてみてはいかがだろうか。


ちなみに乙武サンは対談や相談で、こういう立派な意見や経験談を語るから

よく対話相手から感動されるらしい。

息子・娘や彼氏・彼女・友人に乙武サンのツメの垢を煎じて飲ませたいと言われることが

多いらしいが、そんな時は決まって


「ところが、そのツメがないんですよね(笑)」

と答えるとか。


完敗だ・・・・そのセンスと割り切り恐るべし!



最後に改めて言おう。



自虐を知らない人たちよ!

笑いと人気を得たいなら人を傷つける前に、まず我が身を切れよ!


少年、中年よ! 乙武自虐魂を抱け!

Boys be an 自虐


BY 暗悪博士