サボテンとバントライン | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

いちばんはじめに曲名を聞いた時は、メキシコで草野球でもする歌かと思った。
まだ記憶に新しい人も多いと思うが、まずはコチラの「懐かCM」を。



当時売ってたビンダスっていう塗り薬のコマーシャル。
タイアップ曲は筋肉少女帯の「サボテンとバントライン」
映像もチープな孔雀王といったテイストで印象的だった。

サボテンは歌に出てくる少年が愛する植物で、バントラインはその少年の相棒である猫の名前。
フルでのPVはこちら。



今でも日曜の夜とかたまに聴く。
筋少の曲は奥が深い。
大槻ケンヂの歌い方が特徴的だから、オチャラケソングに聴こえるが実は社会的だ。

世の中と人間がキライで、サボテンとネコと映画だけが好きな少年と相棒ネコの
バントラインを描いた歌。

歌の出だしが「目抜き通りの爆弾騒ぎ 猫が加えてきた爆弾」
ニュースでボストンマラソンの事件で、この曲がパッと浮かんだ。

そういや、あの事件の犯人は兄弟だっけ?
報道によって詳細は違ってたりするけど、オレが見たニュースの情報では
弟は兄の信仰に従ってついていってたとか。
オレが好きな映画に「アメリカンヒストリーX」っていうのがあって
白人主義者の兄(エドワード・ノートン)と、その兄に憧れる弟(エドワード・ファーロング)
の兄弟の悲劇の歴史を描いた映画だったんだけど、なんとなくそれにも似てるな。
外見的にも兄役のノートンがちょっとイカツめの顏で、弟役のファーロングがどちらかといえば
おだやかぽい顏だったという比較も、ボストンの犯人兄弟に似てる。

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アノ兄弟はたしかネットでバクダンの作り方を調べ、圧力鍋で拵えたんだっけか?
マスコミは圧力鍋が利用されたことをたいしたことのようにとりあげてたが、
ふだん使用してる日用品だって、利用しようと思えばなんだって武器になんだろ。

それこそ、ムカつくヤツの家にいって、ソイツん家の電子レンジに100円ライター10個
くらいジャラジャラ放り込んで、3分後が希望なら3分後にセットして自分だけすぐ退却すれば
「3分後に爆発する簡単な時限爆弾」になると思うし。
やべえ、やべえ、シャレで表現の自由とはいえ、こーゆーこと書くとホントにやりそうだとか
思う輩が出てきそうだ。表現者は発想力豊かでイカンね(笑)

曲に話に戻るけど、歌の中では、その目抜き通りに爆弾しかけたのは猫のバントライン。
もちろん少年の指示。でも爆弾が不発に終わり、少年とネコは逃げるのだ。

そん時に少年は犯行声明を出していた。
サボテンマークのリポート用紙に「ボクはこの世を憎むと書いてあった」と。
文学青年大槻の厭世テイストがよく出ている。

爆弾の部分では今回のボストンを思い出したが、この犯行声明文章のところでは
某女優が自殺未遂したときに、部屋に大きく書かれていた「皆憎(かいぞう)」っていう
言葉思い出すんだよな。
「皆憎」という言葉は存在しそうで存在しない。某女優の造語である。
3流コメンテーターはこの言葉を「おだやかでない」みたく言ってたようだが、
多くのクリエイターなどモノづくりを生業とする人達は、この言葉を生んだセンスを評価
した。そしてオレも評価する。

このようにこの歌には過去・現在・未来と何か社会的な事象や事件を思い出させる風刺的な
モノが多い。

世の中がキライな少年が猫を愛し、猫と共に生き、犯罪に走ると言うこと自体も
あの「江の島の猫男」の事件を彷彿させる。
ただ、この事件に関しては、ケーサツの言う証拠というのもかなりあいまいで怪しいから
彼が犯人だとはハッキリ断定出来ない。

この少年とネコは目抜き通りの爆破計画に続き、第2の犯行を計画する。
今度のターゲットは街の小さなムービーシアターで、今回もバントラインが爆弾を仕掛ける。
ま、動画見てもらってれば言うまでもないけど、一応w

ここで少年は自分で計画してバントラインに仕掛けさせた爆弾により、
ムービーシアターもろとも吹っ飛んでしまう。
何故逃げなかったのか。
それは映画好きなだけに、上映していた映画に見とれて逃げそこなったのだ。

どんなに憎しみが強くとも、やはり自分が最も好きなことには真剣になってしまう
人間というものをよく捉えている。薄っすら哲学さえ感じる。

かつて戦争中、兵士の慰安所に行ってそこに並んでいた哲学青年兵士が置いてあった
哲学書に夢中になってしまい、そのまま帰ってしまったという話があるが、この部分では
その話を思い出す。

戦争という異常な極限状況でもあり、、またその中でも本能である快楽を味わえるかも
しれないのに、それよりもやはり好きなことを見つけ、熱中してしまうという心境。
今の日本人が失ってるのはコレじゃあないの?(笑)

筋少の曲は何かを含んでいる・・・

うむむ!深いぜ筋少! 深いぜ大槻のアニキ!

筋少と言えば「踊るダメ人間」も好きだなあ。



大学時代、講義終わったあと友人としこたま飲んで終電逃して朝まで安くて汚いカラオケで
時間潰してた時はたまにこの歌も歌ってたわ。

筋肉少女帯って有名だけど、「聖飢魔Ⅱ」とか「すかんち」とかと同じで
ヴォーカルは知ってても、出してる曲知らない人って意外と多い。
だから、あまり大人数のときとか合コンの時とかは、筋少の歌って歌いにくい。

だから友人2人と終電後行ったカラオケで、友人が睡魔に負けてソファーで寝出した時に
いわゆる「練習かねて歌う」なら今だと思って歌ってみた。

歌うんじゃなかった。

国分寺の深夜のカラオケボックスで、誰も聞いてないのに1人で
「ダーメ!ダメダメ!ダメ人間!」とか「ダメ人間の王国をつくろう~!!」
とか歌うのがこんなに虚しいとは思わなかった・・・

世界の中心で「哀」を叫ぶ。