木嶋佳苗の犯罪 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判/佐野 眞一
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何気にもう3,4年前になるのか。

そのセンセーショナルなニュースは日本列島全体を取り巻いて

メディアはソレ一色。


そのセレブっぷりを自慢げに書いたブログとキャラクターはワイドショーにとっては

視聴者を引き付ける最高の撒き餌だったような気もする。

かくいうオレもその一人になってしまった感はあるが。


毎回毎回、木嶋佳苗のブログの文章の引用がニュースで流れるので、当時、

その実物(ブログ)を直接覗いてみようと思ったのだが、肝心のブログタイトルがわからない。

1部抜粋文章は報道でよく流れてるけどタイトル覚えて無い。


確か報道で抜粋してた文章に警察が訪ねてきた時のブログの文章があって、そこに


「まるでサスペンスドラマのような1日でしたわ」


とかいう文が何度も写っていた。

それは覚えていたので、この1文で検索すればブログタイトルが出てくるのではないかと

思い、「まるで」まで入れたらその時点で候補に


まるでサスペンス

まるでサスペンスドラマのような

まるでサスペンスドラマのような1日でした


とズラっと出た。

やはりオレと同じ事考え、同じワードで辿りつこうとした人間は多かったようだ。

時が経ち、そのあとも凶悪事件がゾクゾク出てくるせいで、今はあまり騒がれないが

それでも決して忘れてはいけない事件のひとつだろう。


しかし、この木嶋も当然許せないが、当時のマスコミの煽りや表現も負けずと下品だった。

あえて言ってしまうとオレ(他の人もそうだと思うけど)はスゴイ違和感を感じる。

かつて某有名グループのひとりが交通関係と傷害関係で逮捕された時に、いちばん最初こそは

「I容疑者」と表記したものの、その後の番組契約関係を考え、彼を容疑者と呼ぶことに後のことを

察した各メディアは「I容疑者」という表現をやめ「Iメンバー」とかいう報道において今まで全く

馴染みのない「呼び方」をし始めた。


この状況をテレビで見た「ケガした婦人警官同僚の警察関係者」は怒った者が多いらしく、

警察内ではカレの好感度はかなり落ちたらしい。当然だろう。


そんな国民的アイドルと呼ばれる人間には気を遣って「メンバー」とか言っていたメディア。

この木嶋佳苗に対しては、もうほぼ確実に殺人犯だと判断したら「ブス」「デブ」「セレブス」

とハッキリ表記している。木嶋もメディアも醜い。


ただメディアがそう書くキモチもわかる。

木嶋を擁護するつもりはアタリマエだが、全く無い。


参考本や報道を見る限り、彼女の肝っ玉というか人間性はズレてるだけかもしれんが

動揺せず堂々と構えるその存在はまさにモンスターである。


上の本でも書いてるが、この事件は「怨恨や血の匂いがまったくしない事件」である

だから怖いし、彼女の真のモンスターだと感じる。


憎悪や恨みによって人を殺したわけでもないし、また途中で殺意が芽生えたり

金銭欲に駆られたワケでもない。


最初から「まきあげ」を目的で、まるで蜘蛛の巣を張るように、結婚サイトに登録し

その網(ネット)に掛かるオトコを待ち構えていたのだ。


いろんな資料を読む限り、彼女は家庭にある程度の問題はあったのの

極貧だったというワケでもなく、小さい頃いじめられたとかいうわけでもなく、

また付き合っていたオトコに酷い事されたとかいうワケでもない。


だから復讐とか怨みではなくホントに純粋に「欲」であそこまで出来るのだ。

ある意味すごいこと。まさにその感覚がモンスターである。


それどころか中学高校くらいから、そのセレブ志向が垣間見えてて

高校卒業アルバムでは『嫌いなタイプ』に『不潔・貧乏・バカ』とまで書いている。

過去にイジメにあったとかで、結果そういう犯罪者になったのならまだ多少少しは酌量の余地が

あるかもしれんが、この文集の見てもわかる通り同情の余地は全くない。

イジメられるどころか周りからは「キジカナ」と呼ばれ、それなりにうまくやっていたというから

世の中はどういう人間が生き残るかわからんものだ。


だが当時の同級生や、法廷の傍聴した一般の人や報道関係者の声を聞くと、

「太っているが、なぜか色っぽさがあった」とか「声がキレイ」「想像よりイケてる」という

声が多いらしい。


あそこまで色んな男性を罠に掛けただけあって、容姿ではなく何かボンヤリとしたフェロモンの

ようなモンがあるのかもしれん。

男性も女性も直接見た人はそう言っているようだ。


かつて、オウムの上祐氏や村井を追っかける「上祐ギャル」や

英国人講師リンゼイさん殺害の市橋達也を追いかける「市橋ギャル」なるものがいたが、

この事件も例外でなく「佳苗ギャル」が出現。

今までと違うのは女性からみて「同性」を追っかけるということ。


佳苗ギャルが裁判を傍聴する理由はいろいろあるらしいが、

その中でも

「女を外見で判断するオトコどもが、どうやって引っ掛かったか知りたい」といういわば

男に対するアイロニー。


もちろん、女性でもいろんな考えの人が存在して、佳苗ギャルはその一部だとは理解して

いるが、佳苗ギャルサイドからみればオトコからの視線や意見で

「オレだったら、あんなのには絶対引っ掛からない」

という意見が一番腹立つらしい。

オンナを外見で判断したうえでの、上から目線まる出しということで。


別に女性からの好感度を上げようとかいうつもりも、綺麗事を言うつもりもないが

この意見に関しては納得いく。

オトコだって、そう思われたらイイ気分はしない。

別の角度のところで、ひとつ勉強になった。


木嶋に対して「あんなの」というのはまだいいとして、そう言ってしまったら

「引っ掛かった被害者男性」に失礼だからな。


法廷での例の「過激証言ショー」の内容はもう、報道でさんざんやってるから割愛。


上の本のような参考資料もいくつか出版されてるけど、記事書いておいてこんなこと

いうのもなんだがもし読むなら北原みのりサンという人が書いてる「毒婦」のほうが

いいかもしれん。

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記/北原 みのり
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ホントはこっち読みたかったんだけど、図書館で借りれたのが佐野氏のほうだったから

先に借りてよんだ。

北原サンのはチラっと読んだだけだが、やはり男性視線で見る木嶋と、女性視線で見る

木嶋は捉え方が違う。


正直、女性視線からのほうがリアル。


「別海から来た女」のほうはちょっと著者も個人的な女性へのイメージが強いんだよな。

この佐野氏はいろんな事件のルポ書いてて、ずっと前に出た「東電OL殺人事件」に関する

本もかなり前に読んだ。


最近では「ハシシタ」問題で世間を騒がしてたアノ人。


橋下もそんな好きじゃないのだが、でもこの佐野氏は何かと人の家系やルーツを探るのが

好きなようにみえて、そのへんはオレはあまり支持出来ない・・・

記事書いておいて、こんなふうに〆るのもなんだけど。