沢木耕太郎「一号線を北上せよ」 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

旅に出たい。でもムリ。


今でも沢木耕太郎の「深夜特急」読んでいてもたってもいられなくなり

旅に出る若人は日本に多いのだろうか。


多くの書評で「深夜特急」読んだ若い男性が皆、リュック背負ってポンポンと

日本を出発した歴史があるとのことだからJALとANAにすれば沢木氏を名誉広報部長に

任命してもいいんじゃないだろうか。


日テレのTプロデューサー(当時)も深夜特急思い出して、猿岩石にヒッチハイクさせる

企画を打ちだしたようだし。


あまりにもトピックになるからオレも何年も前に「第1便」だけ買って読んだんだけど

当時はちょっと合わなくて1だけで挫折。

電波少年ヒッチハイクで言えば、香港脱出前にギブアップ。T部長激怒てなとこ。


なんでだろ?

同じ旅好きでも沢木氏の旅の出発は「チャレンジ&冒険」的なもので、

オレの旅の出発は「放浪・逃避&癒し」的なものだからかな。

だからちょっと苦手だったのかも。


オレの人生は無気力ブラブラがモットーのつげ義春テイストですから。

この時期で節電心がけてるから 「やる気スイッチ」 は一生ONにしませんよ。

生活の中の‘意’も抑えてユルリと肩の力抜いて生きないと精神がショートするって。

カンケ―ないけど「スクールIE」の一番最初のCMで、スイッチ入れられた時の顏を赤くした

女子学生の表情が鼻についたのってオレだけすかね?コレよ→ 「コレ」


閑話休題。


でも、やはり沢木サンの旅物語はなんか惹かれるとこもあるのが事実で、

「深夜特急」よりもコンパクトに読めそうなのを1冊読んでみたのだが、面白かった。

『一号線を北上せよ ヴェトナム街道編』


一号線を北上せよ<ヴェトナム街道編> (講談社文庫)/沢木 耕太郎
¥540
Amazon.co.jp

[旅に出たい- 身を焦がし、胸を締め付ける思い。ホーチミンからハノイまで〈私〉は幹線道路を

バスで走破するイメージに取り憑かれてしまった] (裏表紙より引用)


読んでて情景が目に浮かぶのなんの。


太陽GIRAGIRAの灼熱のアジアの地で、現地の人が乗る骨組みみたいな原付が走りまわる

道路の周りで砂塵が巻きあがってる風景がぁっっ!


うわああああ!また数年ぶりに「バンコク」に行きたくなってきたぁ!

(この本の舞台はベトナムだけどね)


うむむ、たしかに沢木サンの本読んで、「うおお!海外行くぜ、ニンニキニキニキニン!」

ていう若者が多いのも解かる気がしてきた。


たぶん、数年前のオレはまだ「深夜特急」に乗り込むには早すぎる人間であって

乗車拒否されたんだろうな。今ならチケットを買えるかもしれん。


沢木さんてのは行動派なんですな。

入った会社を1日でやめたとか言うし、急に旅に行ったりするし。

この本の旅に関しては、ただただ「一号線を北上」することが目的だったようだ。

なかなか作家っぽい個性的な人である。


蛇足だが昔、インタビューで「沢木耕太郎という名は本名ですか」と聞かれ、

「ペンネームです」と答えたら、「本名はなんて言うんですか」と聞き返されて


「本名言うくらいなら最初からペンネームなど使わない」


と怒ったようだが、言ってることは御尤も (-_-)。

本名でもありそうだが、たしかに「沢木耕太郎」ってペンネームっぽくちょっとカッコいい。


ちなみにオレは20代の頃にバイト仲間から

「もし自分にペンネーム付けるか、子供が出来たらなんて名づけるか」

と聴かれた時に、下の名前は『虎』に『竜』に『狼』と書いて

『虎竜狼(こたろう)』と名付けたいとマジで答えた記憶がある。


ダサダサだな・・・・。当時は本気だったけど。


バイト仲間は爆笑しながら

「なんかスクスク育ちそうな名前ですね。コタローって」 と言っていた。


おしまい。