2002年 65歳で脳溢血の後遺症により右手の自由を失い
2004年 67歳で左手のピアニストとして復活を遂げ
83歳の現在も(1936年11月10日生まれ)
世界中で精力的に演奏活動を続ける舘野泉さん
その魂から湧き出た力強い言葉を
シリーズでご紹介しています
『命の響き』
左手のピアニスト
生きる勇気をくれる23の言葉より
今日の演奏テーマ = 命のことば
音楽家は 「手職人」
この手を通じて 音をつくり
その音で 自分の心を表現する
毎日 こつこつ手仕事を続けるうちに
気がつけば 78歳になっていた
自分の手を使って生活するのがモットー
普段から手を動かすことが大好きという舘野さん
フィンランド中部のバイヤラ村にある
サマーハウスで過ごすときは
ピアノ室(独立したコテージ)で音楽に没頭し
魚を釣り ジャガイモやネギを育て
サウナ用の蒔を切り出すことをしていました。
日本滞在中は、自由が丘の生家でひとり暮らし。
妻のマリアさんが ヘルシンキの
シベリウス・アカデミーで声楽を教えているためです。
舘野さんは ひとりでも 料理や洗いもの
掃除や洗濯も苦になりません
生家での打ち合わせや取材のときも
お茶やお菓子で もてなすといいます
手を使って仕事をすれば 成果が表れ
それだけで 嬉しくなるのだそうです
「人の手には 不思議な力が
秘められているような気がする
手を握って 親しみを伝え
撫で合って 愛を交わし
両の手を合わせて 祈るのはその表れ」(舘野)
僕は「手職人」 音楽は「手仕事」
若いころから自分は 「手職人」と思って生きてきたといいます。
自らの手で生み出す音で
心を表現し 音楽をつくるからです
手で音を撫で 大事に愛おしむ。
ごりごりと音を握り
ぶっつけたり 放り投げたりもする
一音一音の長さや強さのバランスを変え
弾き方を変えて試してみる・・・
音楽自体が呼吸をして
自由に動いてくるようになるまでには
一年ぐらいかかるそうです
「だから やっぱり演奏も 手仕事
細やかな手仕事を まめに続けていく作業なのです。
両手の半分だからといって
不足や不自由はありません
自分の左手は これまでとちがう 新しい音楽を生み出す
独自の楽器なのです」(舘野)
三年ぶりのCD 『サムライ/海鳴り』
1960年のデビュー以来 130枚にのぼるレコードやCDを生み出し
2004年以降は 左手のピアノ曲集もリリースしてきた舘野さん
2015年4月 3年ぶりに 『サムライ/海鳴り』 が発売されました。
舘野さんに捧げられた左手の作品9曲が収められています
『サムライ』 の作曲者 光永浩一郎氏は
NHKのドキュメンタリー番組を見て感銘を受け
作曲したといいます
「左手だけになったことで より深く
音楽と 向き合えるようになった」(舘野)
という舘野さんの言葉に出会ったからです
『サムライ』 は
海外でも演奏するたびに大喝采を浴びる
切れ味鋭い 「懐刀」 の名曲だということです
では 『サムライ』 をどうぞ
2016年7月2日 サントリーホール
ジャパン・アーツ スペシャルコンサート 館野泉
「光永浩一郎: サムライ(館野泉に捧ぐ)」
https://youtu.be/6P4pGtM8POc?list=RDFjN1I2VpWmg
音楽の中にいるときが 生き生きとして自分らしい
実は舘野さん 人差し指と中指 小指の第一関節が
木のコブのように変形する ヘパーデン結節症 なのです
40代以降の女性に多い症状で原因不明
世界的に名高いピアニストも同じ症状とのこと
時には腫れて痛いこともありますが
ピアノに向かって演奏が始まれば
痛みは 全く感じなくなるのだそうです
弾き始めると 一瞬で音楽の世界に入り込んで
身を委ねてしまうからだといいます
「現実の世界よりも 音楽の中にいるときのほうが
ずっと自分らしく 生き生きと 生きているような気がします
普段は よれよれしているけれど
ピアノに触れた途端 しゃんとするんです
別の人間になったみたいに(笑)」(舘野)
最後の一曲=いのちの言葉
この節くれ立った左手が
頑張ってくれているおかげで
「手職人」であり続けることができる
この手が生み出す音楽を聴いてくださる
方たちとつながり 世界と一体になれる
本当に感謝しています
<参考文献>
『命の響き』
左手のピアニスト、生きる勇気をくれる23の言葉
舘野泉(集英社2015年)
花さんぽ
ビオラ & パンジー
ヨーロッパに自生する野生種から改良されました。
かつては大輪のものをパンジー
小輪をビオラと呼んで区別していました
現在は、複雑に交雑された園芸品種の登場で区別が難しいようです。
花言葉: 赤=思い出 思想 物思い
花言葉: 青=純愛 誠実な愛
花言葉: 紫=思慮深い 揺るがない魂
花言葉: ピンク=信頼 私を想って
花言葉: 黄色=つつましい幸せ
ある日の空
強い意志を感じさせるような雲の様子でした
舘野さんが指の関節痛に耐えていたことを初めて知りました。
痛みへの 「とらわれ」 よりも
音楽への情熱が はるかに大きいのでしょうね
何か困難なことがあったとしても
それを凌駕するような 情熱があり
真剣に 大らかに 燃やしていかれたら
「とらわれ」 から解放されるのでしょう
あなたの わたしの 「とらわれ」 の部分が
より大きな 「わくわく」 のできごとで
きっと小さくなり やがて消えていきますように
今日もブログに最後までお付き合いいただき
ありがとうございました
<参考・引用させていただきました。ありがとうございます>
https://readyfor.jp/projects/izumi-janne-latempesta525/announcements/102953