プロフィールでも書いているが、私はサックスの練習をささやかな趣味としている。


 この場合、サックスの「演奏」ではなく、「練習」としたのは、人前で聴かせることを目的としたものではなく、自己練習で完結させてしまうことをよしとしていることを意味している。


 通常、演奏を趣味とする人は、市民楽団に属して定期演奏会に参加するとか、ジャズであればセッションに参加するといった楽しみがあろうが、自分のそういう姿が想像できない。


 趣味である以上、普段の組織社会から解放され、自由でありたいからだ。


 まあ、もっとも、素人のカラオケや演奏など聴きたくない、というのが本音だ。自分が聴きたくない以上、他人も私の演奏など聴きたくないだろう。


 そんな訳で、誰に聴かせるわけでもなく、週一回ペースで、ロングトーン、スケール、エチュードの練習に励む。


 さて、趣味を始める場合、課題になるのは初期投資だ。特に男性にとって、趣味の技術もさることながら、道具にこだわり、自己満足できる要素が必要だ。


 サックスの場合は、やはり楽器の選定、購入が大きな障壁となる。


 サックスの場合、セルマーを購入しておけば問題ない。


 アルトの場合、セルマーのシリーズⅡでも買っておけば、ジャンルにとらわれることなく使えるだろう。

 テナーの場合は、セルマーのシリーズⅢが良い。


 「以上」と言いたいところだが、私が十数年前に購入した頃から、価格が大幅に高騰した。今や、セルマーのサックスはどれも50万円超えだ。


 確かにセルマーの吹奏感は素晴らしく、あの明るい音色は何物にも替えがたい。しかし、初期投資に50万円以上を支払わなければ、サックスが始められないのか。

 

 そんなことはない。


 国内大手メーカーではヤマハが良い楽器を作っている。ヤマハ、というといい意味でも悪い意味でも一般的過ぎて、男のこだわり要素が薄いのが難点だが。


 ヤマハのYAS62、YTS62であれば、20万円~30万円台で購入できる。62シリーズとセルマーとの価格差を考えれば、それは性能差と一緒ではないと気づく。セルマーとの違いは、セルマーよりも少し雑味のあるダークな音色(トーン)である。


 ヤマハの62がムリという人にとって、個人的におすすめなのは、下倉楽器のマルカートだ。

 

 管体の仕上げにより価格が異なるが、普通のラッカー仕上げであれば、10万円と少しくらいで購入できる。一緒にセルマーのマウスピースとバンドレンのリード(青箱)を下倉楽器で買えばよい。


 ヤマハの62より下の廉価モデルを購入するくらいなら、マルカートだ。私が初心者の頃に使っていたものよりも、キーのタッチが軽くなり、確実に進化している。ピッチも良く、吹きこめば吹き込むだけ良い音が鳴り、初心者から中級者まで長く使える楽器だ。


 今、私が愛用しているのは、キャノンボールのテナーサックスだ。


 外見はいかついが、なかなか綺麗な音が鳴る。吹奏感も軽くて良い。なかなか吹いていて楽しいサックスだと思う。当然、自己満足な要素も十分に満たされている。