通勤途中、ほぼ毎日といっていいくらい音楽を聴いている。

SONYのWALKMANが一世を風靡した頃に育った私にとって、移動の時間に音楽を聴くことは何の心理的障壁もなく、むしろ普通の生活スタイルだった。

カセットテープがミニディスクに、ミニディスクがメモリーに替わっても、その基本スタイルは同じだ。


中学生の頃、お年玉を握りしめて購入したのは、日本ビクター(現JVCケンウッド)の「ティピー」というウォークマンもどきだ。平べったいスイッチに触れると、「ウィーン」と音をたてて、ヘッドが電動で上がってくるタイプのプレイヤーだ。

ガム型充電池も、ドルビーノイズリダクションも搭載していなかったと思う。

音質は聴きやすくて良かったと記憶している。


次の購入したのは、本家本元SONYのWALKMANだ。猿の宣伝が印象的だった。ドルビーノイズリダクションも付いていたし、バスブーストスイッチも付いていたと記憶している。あと、アモルファスヘッド搭載を謳っていた。音質は悪くないが、振動の影響を受けやすかったのか、音がこもりやすかった。本体の下部を手で押すと少しクリアになった気がした。


3台目は、AIWAのカセットボーイだった。自分にとって初めての録音再生機能の付いたゴージャズな機種だ。これは、予備校での講義を録音して復習するために、楽しむというよりかは完全に業務用として購入したものだ。なので、あまり音楽を楽しんだ記憶がない。ただ、特に不満もなく、機能面で私の要求を満たしてくれた。思えば、AIWAはSONYより格下のブランドであったものの、とても手ごろな価格で、高品質な商品を提供してくれた。今はSONY本体に吸収されたのが惜しまれる。


さて、今現在であるが、ポータブルオーディオプレイヤーは、iPod Touchを使っている。


最初試聴したときは、「音が薄い」という印象だったが、購入して思ったのは、非常にフラットな音質で、ヘッドフォン(イヤフォン)や音声ファイルの圧縮に気を配れば、それなりに音楽を楽しめることだ。


ここ数年、ポータブルオーディオは、SONYのZXシリーズを始め、非常に高スペックかつ高価なものが発売され、それなりに使用している人がいるように思われる。また、プレイヤーのみならず、ポータブルアンプもラインナップが増えてきた。


ポータブルオーディオプレイヤーにお金をかける。これはオーディオ環境の変化によるものと考えてよいのだろうか。


つまり、私が育った時代は、ウォークマンが一世を風靡していたが、これはあくまで移動しながらの音楽という場面に限定され、家庭には別にメインとなるシステムがあった。メインとなるシステムの形態は、立派なコンポであれ、ミニコンポであれ、ラジカセであれ、それは様々であったが、ポータブルオーディオがメインとなる環境ではなかったということだ。


今はどうだろう。


家電量販店を覗けばわかると思うが、かつては売り場にそれなりのスペースが確保されていた、ホームオーディオの類は、片隅に追いやられ、ラインナップも少ない。かろうじてマイクロコンポと呼ばれるものが、PanasonicやONKYOから出ている程度だ。

秋葉原に行っても、一部のハイエンド機を扱っているオーディオ専門店が数軒ある程度だ。


よほどの音楽好きか、オーディオマニアでもない限り、ホームオーディオなどそろえてないのではないか。


そんな中、聴く場所を選ばないポータブルオーディオプレイヤーは、今、手軽にお金をかけられる旬な分野なのかも知れない。(もちろん、ポータブルオーディオにお金をかけられる人は、自ずとホームオーディオに手を出している人か、その予備軍な気がするが)


私は、ゼンハイザーのヘッドフォンを愛用している。

HD25 1-Ⅱという20年以上の歴史を誇る定番といってよい機種だ。あいにく、ケーブルの断線による、リケーブルの最中のため、聴けない状態が続いている。

他社のものに買い替えても良いが、やはりゼンハイザーの音が気に入っているので、手放せない。


なので、その間のつなぎとして、ゼンハイザーのイヤフォンMX-375を購入した。


イヤフォンでも、耳栓のようなカナルタイプが苦手だ。あの圧迫感が馴染めない。イヤフォンであれば、インナーイヤータイプの方がなじみがある。ウォークマン世代なので。


インナーイヤータイプの宿命であるが、遮音性はないに等しいので、やはり電車の中では使い勝手が悪いのは仕方ない。室内で聴く分には、ヌケがあっていい感じだ。まあ、2千円台なので、あれこれ贅沢は言わないでおこう。


何はともあれ、HD25 1-Ⅱの復活の日を心待ちにしている状態だ。