森博嗣さんの『オメガ城の惨劇 SAIKAWA Shohei’s Last Case』を読みました。

 

 


孤島にそびえるオメガ城。
そこに、7人の男女が集められた。物理学者、数学者、心理学者、医者、画家、記者、そして研究者のサイカワ・ソウヘイ。
招待状の差出人の名前は、マガタ・シキ。
マガタ・シキが飛び入り参加するというサプライズが起きた晩餐の後、4部屋の客室で死体が見つかるという異常事態。
しかも、島の外への電話やインターネットが使えないという事態に…


副題に「SAIKAWA Shohei’s Last Case」と銘打たれたこの作品。
森博嗣さんのデビュー作である『すべてがFになる』まで、ぐるーっと回って戻ってきたような位置づけになっています。
本当にここまで長かったー!
この作品を骨の髄まで楽しもうと思うと、「S&Mシリーズ」と「Vシリーズ」、「四季四部作」を読んでおく必要があると思います。
特に、最後のオチは「Vシリーズ」を読んだ方にしかわからないのではないかと…

ただ、森博嗣さんのことですから、本当に犀川創平最後の事件になるのかなぁ?とか、サイカワ・ソウヘイは、あの犀川創平で良いんだよね?とか、エラリー・クイーンの『レーン最後の事件』のオマージュじゃないよね?とか、読む前からいろいろと考えてしまいます。

特に、最後の疑問については、「Gシリーズ」で刊行予定とされていた『ω(オメガ)の悲劇』が出ていないだけに、この『ωの悲劇』と、『犀川創平最後の事件』をかけ合わせたような作品になっているのかな?なんて、深読みしてしまいます。
※エラリー・クイーンの「レーン4部作」は、『Xの悲劇』、『Yの悲劇』、『Zの悲劇』、『レーン最後の事件』から成る。一方、「Gシリーズ」では、『Xの悲劇』、『Yの悲劇』に対応する『χ(カイ)の悲劇』『ψ(プサイ)の悲劇』が刊行されている。

個人的には、「玉子が先か、ニワトリが先か」の議論に犀川が結論を出したところが記憶に残っています。
なるほど。言われてみればそうだなぁと、雑学を1つ得た気分。

また、数学の4色問題(面を適当に分割したとき、隣り合う面の色が重ならないように塗り分けるには、4色あれば足りるという仮定)について、東野圭吾さんが『容疑者Xの献身』で述べていたのとまったく同じ主張(コンピューターを使って物量作戦で強引に証明したことはエレガントではない)をされていたのも、興味深かったり。

今回は、犀川創平と西之園萌絵の関係についてほのめかす部分も。
あの2人ならそうかもしれないなぁと、ちょっと納得。

この作品が、本当に「SAIKAWA Shohei’s Last Case」になるのかどうかはわかりませんが、とりあえず、ここまで読んで一息つけたって気分です。

 

 

 

 

 

 

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