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「傘立て」の著作物性を認めなかった事例

 

▶平成30年10月18日大阪地方裁判所[平成28(ワ)6539]

ア 原告傘立て1が傘立てとして実用に供されるためにデザインされた工業製品であることは当事者間に争いがないところ,原告は,これを前提に,原告傘立て1が美術の著作物として保護を受けると主張する。

イ この点,著作権法2条2項は美術工業品が美術の著作物として保護されることを明記したにすぎず,それ以外の実用的機能を有する美的創作物を一切保護の対象外とする趣旨とは解されないものの,著作権法による保護と意匠法による保護との適切な調和を図る見地からすれば,それに著作物性が認められるためには,その実用的な機能を離れて見た場合に,それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていることを要すると解するのが相当である。

この観点から見ると,傘立てが,玄関等に置いておいて傘を立てて入れておくための家具であることに照らせば,有底略角柱状の容器である原告傘立て1の基本的形状は,傘立てとしての実用的機能に基づく形態である。また,原告は,原告傘立て1の側壁のデザインが鑑賞の対象であると主張するが,そこではタイルが壁面に格子状に貼付された様になっているにすぎず,これは壁状のものによく見られる形状であって,それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えているとはいえない。したがって,原告傘立て1について,美術の著作物としての著作物性を認めることはできない。

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