先日、大手印刷会社や家電量販店の幹部たちによる、障害者団体向けの郵便割引制度悪用事件が起きた。簡単にいうと、障害者団体でもないのに郵便割引制度を利用し、DM郵送を安くあげていたという犯罪だ。
法律もしくは郵便事業会社のチェック機能に抜け穴があるのかもしれない。ただ、それ以前に、ひととしての倫理観をうたがってしまった。
どうしてよりによって、それを悪用するのだろうと思う。こんな言い方は良くないとは分かっているが、いろいろと悪用しようと思えばできるものがあるだろうに…と。なにかしらのハンディを背負ったひとのために作られたであろう制度を、ハンディを背負わないひとが悪用するなんて。
たぶん、そういった悪さをするひとは、他人の痛みを理解できないんじゃないだろうか。そんなひとたちが、企業の「幹部」と呼ばれる立場にあるから怖い。
組織が大きくなっていくと、いち幹部のパーソナリティなんて気にもならなくなってしまうのかもしれない。でも、そうじゃない企業もあるはず。会社としての全うな理念を貫き続けることができる幹部、そこに信頼を寄せる社員。そうなるためには、やはり「ひととしての倫理観・道徳観」にゆがみのないことが大切ではないだろうか。
未曾有の不景気のもと、がむしゃらな利益追求が必要となっている企業は多い。ただ、そんなときだからこそ、忘れてはいけない信念をもう一度思い出してみるべきだろう。