ハンセン病患者の宮﨑かづゑさんの生い立ち~現在を追ったドキュメンタリー。

かづゑさんご本人は「自分は『らい病』患者。ハンセンさんが見つけたっていうけど、そのずっと前からあった病気なんだから。」と映画冒頭でぱしっと宣言されます。

 

2012年に公開されたドキュメンタリー映画「辰巳芳子“いのちのスープ”」に、辰巳氏がかづゑさんの住む、岡山県の離島「長島愛生園」を訪れて語り合うシーンがあり、それが私がかづゑさんを知ったきっかけです。

 

 

 

2人が大きな樹の下で話している時、さあっと風が吹いて、かづゑさんが被っていたつば広の帽子が飛びかけた瞬間、まばらな髪が映ってどきっとした記憶が…その時の伏線が今回の映画では回収されたような納得感がありました(監督も配給も違うのですが)。

 

かづゑさんは、自分の裸も含めて全部撮影して下さい、良い恰好するつもりはありません、と言います。身体も、感情も、ご主人とのやりとりもあけっぴろげで、序盤からもう本当に、お財布逆さにひっくり返して中身を全部ばらまくみたいな映像が続いて、観てるこちらは、あわわわわっ!ってなりながらもどんどん目が離せなくなっていく…。

 

私は、中盤の、思いがけずその場で本にサインをすることになり(最初のうちは、後でお送りします、って言ってたんだけど流れ的にそうなった)、そこら辺にあったゴムを指のない手に括りつけてもらって、慣れない人のサポートを受けてガッタガタのサインを書くシーンに思わず目を背けてしまったんだけど…でもかづゑさん本人は書けた後、すまし声で「すみませんね、お恥ずかしいところお見せして」ってニコ

思わず笑ってしまってから、何もこんなところまで映さなくても…と思ってしまった自分が恥ずかしくなりました。だって本人が「全部撮影して下さい」って腹括ってるんだもんね。観てる側もそれを受け止めないと。

 

感受性が豊かで、喜怒哀楽を幼児のように表すチャーミングなかづゑさん!

10歳の時に入所するまで、家族の大きな愛情をたくさん受けて、そして入所後もお母さんは年に何度も会いに来てくれたと。

家族が一切会いに来ない人も多い中、自分は羨ましがられたと。

かづゑさんの明るい人格形成には家族の存在が大きいんだろうなあ、と感じました。

またご主人が豪快で、声がでかくて、それでいて繊細な感じが素敵!お似合いの2人。

大きな樹の下(「天のしずく」で辰巳氏と語り合ったところ同じ場所では?)で2人が並んで座っている姿は小鳥が体を寄せ合ってるみたいで本当にかわいいドキドキ

 

ハンセン病患者を描いた映画で思い出すのは「ベン・ハー」と「砂の器」。

 

 

 
 
 

 

病気の苦しみは、私には想像のしようもないのですが…かづゑさんは「病気じゃなくて私という人間を見てほしい」と言いました。


肉体は魂の「容れもの」でしかないのだ、というYOGAの教えとここで繋がります。

瑞々しい感性も、自分を受け入れて生きる強さも、すべて魂から生まれてくる。

 

80歳を超えてから随筆集を2冊も出版されているの、知らなかった…読みます!