「新訳 金瓶梅」第62回にて

玳安にはすごい!

今夢中になって読んでいる本が「金瓶梅」田中智行さんの新訳です。

この「金瓶梅」は中国5大文学の一つ。

5年ほど前に読んだときはよくわからなかったが、改めて読み返してみるとすごい小説だと思う。さてさて、第62回の玳安デアルが、何がすごいかと言うと「人間とはどういう生き物であるか!」ということをよく理解している。

主人公のひとり、西門慶は溺愛していた李瓶児が死んでしまい悲しみに沈む。飲み物も食べ物も取ろうとしない。妻たちがやいのやいのいうが一向に聞き入れない。そこに玳安が登場する。

玳安は言う。「友達の応伯爵から言ってもらったらいい。」

西門慶にしてみれば妻たちは家族なので一向に聞く耳を持たないが、応伯爵ならば客観的な意見として受け入れることができる。

その結果、食事を摂ることができた。

同じアドバイスを受けても、家族からのアドバイスはアドバイスでなく、友達からのアドバイスはまともなアドバイスになるのだ。

これが人間という生き物なのだ。