よくこう言われることがあります。

よく働く人とあまり働かない人がいます。どうして同じように働けないのか?

まあ、もっともな意見だし、私も若い頃初めて部下を持った時に同じように思っ

たものです。

今はつぎのように考えています。

ひとつは「2割のアリは働いていない」と言うことと、ふたつめには「ひとりひ

とりよく観察すること」だと思います。

ひとつずつ見ていきましょう。

「2割のアリは働かない」と言うことをお聞きになったことがあるでしょうか?

2:6:2の法則というのがあります。

2割のアリは一所懸命働きます。6割のアリはまあまあ。残り2割のアリは働か

ないのです。アリって虫のアリのことですよ。

アリって働き者のように思いますが、実は2割のアリは働いていないのです。

面白いことに、この働いていない2割のアリを集団から取り除くと残りの集団か

らまた2割の働かないアリが生まれます。

これはどういうことでしょうか?

つぎのように考えられています。

アリという集団が全て一所懸命働いてしまうと、もし大規模なアクシデントが起

こった場合対処できません。働かない2割のアリはそのための予備群と考えられ

ています。

たとえば、アリの巣が他の動物に壊されたとします。非常事態の発生です。全て

のアリが一所懸命働いていたらこのアクシデントに対処できる余力が残っていま

せん。その時の予備群が2割の働かないアリなのです。アリという集団を維持し

ていくために、全てのアリが働く必要はないと生物は今までの進化の中で学んで

きたと考えられています。

だから、全ての人が同じように働かないのが生物の世界じゃないかと思います。

 

もうひとつはひとりひとりよく観察することです。

その人の人生の中で培われてきたことはひとりひとり違います。

「こんなん当たり前にできるやん!」と思いますが、実はみんなが当たり前にで

きないのです。今まで生きてきた生活習慣が違うのだから、ある人はちょっと説

明すれば理解してすぐ仕事ができる人もいれば、ある人は全く経験がなく、言わ

れても全くわかっていないこともあります。その人は一所懸命やっているのだけ

れど、今まで経験して習慣になっていないことなので仕事の結果は全くなってい

ない。こんなこともよくありますよね。

 

「2割のアリは働かない」「ひとりひとりをよく観察してみる」ということで、

あまりムキにならなくてもいいのではと最近思うようになりました。

それよりもよく働く人たちを励ましてもっといい仕事をしてもらう方がいいので

は思っています。

働かない2割のアリに働くように力を注ぐのは時間の無駄ではないか?

ライフネット生命出口さんがつぎのようのおっしゃっていました。

小学生が遠足でハイキングに行きます。

2割の小学生は先生に言われてどんどん先に進みます。6割の小学生はそれにつ

いて行きます。残り2割の小学生は道端のトンボやセミを追いかけて先頭につい

て行こうとしない。この時、先生の行動で一番やってはいけないことは、先頭の

2割の小学生に「ちょっと待ってて」と言って待たせておいて、ついてこない2

割の、トンボやセミを追いかけている子どもたちを捕まえにいくことです。この

場合、小学生の集団は一歩も前進しません。

 

組織のリーダーが使える時間も労力も有限です。どこに時間と労力を使うのが一

番効果的なのか? ここが一番のポイントだと思いますがいかがでしょうか?