今回はパートの厚生年金適用拡大を見ていきましょう。

国民年金「第3号被保険者」の制度は1984年に生まれました。当時としては

画期的な制度だったのですが、時代が変わってきて手直しが必要だと思われます。

ひとつは年金は「負担が給付」だということ。ふたつ目は年寄りはつぎの世代の

ために生きているということです。

まずは日本人の所得について、一世帯当たりの平均所得推移を見ていきましょう。

1994年は664万円だったものが、2016年には545.8万円と18%下

がっています。この20年ほどで20%近く下がっています。

つぎに年齢階層別に見ていきましょう。

平成28年度(2016年度)の一世帯当たりの平均所得は40歳台、50歳台

で、全世帯平均545.8万円を上回っています。これは子供が高校、大学と進学

して行く中でお金がかかっていることがわかります。一方、20歳台・30歳台

の世帯人員一人当たりの平均所得金額は、全世帯一人当たりの平均212.4万円

を下回っています。20歳台が184.4万円。30歳台が177.1万円です。

つまり、20歳台・30歳台の若い世代が貧しいと言えます。

ここでパートの厚生年金適用拡大の対象者を見てみると、フリーターが180万

人、専業主婦パートが130万人です。合計310万人が対象者です。厚生労働

省の試算では、保険料収入が増えるので年金財政への影響はほとんどないと出て

います。「負担が給付」の大原則が貫かれているのです。

専業主婦パートの方にとっては保険料支払いと将来もらえる年金額と、トントン

になるのであまりメリットがないようなイメージですが、20歳台・30歳台の

フリーターや自営業の妻の方達にはメリットがあるように思われます。

年金は「負担が給付」という大原則からすれば正当な制度だと思われますし、年

寄りはつぎの世代のために生きていると考えたら正当な制度だと思われますがい

かがでしょうか?

 

反対意見が多かったのは企業側でした。保険料は労使折半なので企業側の負担が

大きいという意見です。

でも、これって正当なものなのでしょうか?

パート労働者で事業が成り立つっていうことは、ぶっちゃけた話(語弊があるか

もしれませんが。)安い時給で事業が成り立っているということでしょう?

例えば、極端に言えば、残業代払わずに長時間働かせておいて収益が上がったと

喜んでいるようなものです。世の中、正社員を雇用してしっかり収益を上げてい

る企業はたくさんあります。福利厚生をきっちりしている企業と、そうでない企

業と同一視していいものでしょうか? ライフネット生命出口会長はドイツでは

シュレーダー首相がつぎのように言って適用拡大を進めたとおっしゃっていまし

た。

 

「雇用するということは、その家族からご主人なり奥さんなりを預かっているこ

とだろう。企業側に雇用者の福利厚生をきちんと面倒見れないのなら、企業とし

ての存在価値はない。」

 

福利厚生をしっかり考える企業をおろそかにして、考えない企業を大事にするっ

ておかしい話だと思いますがいかがでしょうか? まあ、これは極めて政治的な

話なのでこのへんにしておきましょう。次回はつぎのように質問されたので考え

てみたいと思います。

 

「年金の不安って何よりつぎのこと。将来年寄り一人に対して、現役世代が一人

で肩車して支えないといけなくなるのではないか? 」

 

もっともな不安点だと思います。次回みていきましょう。