第39回:「赤毛のアン」 1ダースの男の子よりもアンのほうがいい!

I’d rather have you than a dozen boys. 

 

卒業したアンは、久々にグリーン・ゲイブルズに帰りました。

夏の夕暮れ時、アンとマシューは乳牛をつれて“恋人の小路”を歩いて帰ります。

 

 

 [英語原文]

 

Matthew walked slowly with bent head(腰を曲げて;頭を傾けて); Anne, tall and erect(直立した), suited(合わせる) her springing step to his(to his step の省略形).

 

‘You’ve been working too hard today, Matthew,’ she said reproachfully(とがめるように). ‘Why won’twill not の短縮形 you take things easier?’

 

‘If I had been the boy you sent for(手配する), said Anne wistfully(思い悩むように), I’dI would be able to help you so much now and spare(苦労をかけない) you in a hundred ways.  I could find it in my heart to wish I had beenthe boyの省略), just for that (そのためだけにでも).

 

‘Well now, I’d rather have you than a dozen boys, Anne,’ said Matthew patting her hand(アンの手を優しくたたきながら).  Just mind you(よくお聞き) that—rather than a dozen boys.  Well now, I guess it wasn’t a boy that took the Avery scholarship(エイヴリー奨学金), was it?  It was a girl – my girl – my girl that I’m proud of.’

 

He smiled his shy smile at her as he went into the yard(裏庭). Anne took the memory(思い出した:reminded the memory より洗練されている? of it with her  when she went to her room that night  and sat for a long while at her open window(開けた窓), thinking of the past(過去のこと) and dreaming of the futurethe past the future のセット使用)

 

    I’d rather have you than a dozen boys.

 

 

[日本語訳]

マシューは背をかがめて、ゆっくり歩いた。いっぽう背が高く、姿勢のいいアンは、弾むような足取りをマシューの歩みに合わせた。

 

「今日はずっと働き過ぎよ、マシュー」アンはとがめるように言った。「もう少しのんびりしてね」

 

「もし私が、マシューが手配した男の子だったら」アンが思い悩むように言った。「今頃はたくさん手伝って、いくらでも楽にしてあげられたのに。 そのためにも、私が男の子だったらよかったのにって思うわ」

 

「そうさな、でもわしは、1ダースの男の子よりアンのほうがいいよ」

マシューは、アンの手を優しくたたいた。 「いいかい、1ダースの男の子よりもだよ。そうだよ、エイブリー奨学金をとったのは男の子じゃなかった、そうだろ? 女の子だ、わしの娘、わしの自慢の娘だよ

 

 

マシューは裏庭へ入るとき、はにかんだ笑みをアンに向けた。 その夜、アンは自分の部屋にあがり、その笑顔を思い返した。 そして開け放った窓辺に長いあいだ腰かけ、過ぎ去りし日々を振り返り、未来に夢を思い描いた。

 

 

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マシューの「It was a girl – my girl – my girl that I’m proud of.」には、わたしは いつも泣けるんですよね。

 

 

[アンはこの夜の情景をいつまでも覚えていた。銀色の月明りに照らされ、平和で、美しく空気はほのかに香り、静寂にみちていた。

それは、哀しみの手がアンの人生に触れる前の最後の夜だった。

ひとたび、冷たくも聖なる試練にあうとき、人生はもう二度と元の静かさに戻らないのだ]

 

 

上記、後書きの部分は、松本侑子さんと、中村佐喜子さんの小説の訳を混合して使用しました。

村岡花子さんの訳も悪くないのですが、過剰に平易文的(少年・少女向け)なので、この部分では・・・・採用できませんでした。

 

 

 

[使用書籍]

1.英語で楽しむ赤毛のアン (CD1枚付き) 単行本(ソフトカバー) – 2014/7/18

L・M・モンゴメリ (著), 松本 侑子 (写真, 翻訳)

 

2.赤毛のアン 赤毛のアン・シリーズ 1 (新潮文庫) 文庫 – 2008/2/26

ルーシー・モード・モンゴメリ (著), 村岡花子(訳)

 

3.赤毛のアン (文春文庫 モ 4-1) 文庫 – 2019/7/10

L・M・モンゴメリ (著), 松本 侑子 (翻訳)

 

4.赤毛のアン (角川文庫) 文庫 – 1957/11/30

モンゴメリ (著), Lucy Maud Montgomery (原名)

中村佐喜子(翻訳)