『アンの青春』訪問。 第29回目: 季節は九月、アンの教師二年目のスタート。

 

 

九月、学校は新学期になった。 アンは一年の経験を積んだので以前のような教育に関する青い理屈をならべなくなった

 

 

アンの学校にも 六歳と七歳の新入生が数人 入り、未知の世界への興味で目をくりくりさせていた。 その中には、アンとマリラが預かって世話をしている デイヴィドーラ もいた。 デイヴィはミルティ・ボウルターと一緒の席に座った。 ミルティは学校に一年前から通っているのでデイヴィにしてみると、諸事情に通じた先輩ということになる。 「デイヴィは七歳のミルティを尊敬?」 もちろん、そんなわけはない。

 

ドーラ の方はこの前の日曜学校で、同じ年齢のリリー・スローンと並んで座る約束をしていたのだが、この最初の日、リリーが欠席したので一時的に、ミラベル・コットンのそばに座らされた。 ミラベルは十歳なので、ドーラにとっては結構な大人だった。

 

《以下、デイヴィがマリラに初めて行った学校のことを話してきかせます》

 

 

 

「本文」

 

 [英語原文]  Page 150, line 13

 

 “I think school is great fun,” Davy told Marilla when he got home that night.  “You said I’d find it hard to sit still and I did . . . you mostly do tell the truth, I notice . . . but you can wriggle(ぶらぶらさせる) your legs about under the desk and that helps a lot.

 

It’s splendid to have so many boys to play with.  I sit with Milty Boulter and he’s fine.  He’s longer than me but I’m wider.  It’s nicer to sit in the back seats but you can’t sit there till your legs grow long enough to touch the floor. 

 

Milty drawed a picture of Anne on his slate and it was awful ugly and I told him if he made picture of Anne like that I’d lick殴る him at recess奥まった所休み時間.   I thought first I’d draw one of him and put horns and a tail on it, but I was afraid it would hurt his feelings, and Anne says you should never hurt anyone’s feelings.  It seems it’s dreadful to have your feelings hurt.   It’s better to knock a boy down than hurt his feelings if you MUST do something.  

 

Milty said he wasn’t scared of me but he’d just as soon callいざなう it somebody else to ‘blige me, so he rubbed out消した Anne’s name and printed Barbara Shaw’s under it.  Milty doesn’t like Barbara ‘cause she calls him a sweet little boy and once she patted him on his head.” 

 

  Dora said primly取りすまして that she liked school; but she was very quiet, even forまさに her; and when at twilight Marilla bade her go upstairs to bed hesitated and began to cry.

 

 

 

 [単語・語句の意味]

I’dI would の略): still(静かに):mostly(大部分):wriggle(ぶらぶらさせる):splendidすてきな):till(~まで):drawed描いた;draw の過去形):slate(石板):awfulとても): uglyぶさいく):lick殴るなめる” ではない): recess奥まった所、休み時間):horns(角):afraid気づかって):feelings(気分)dreadfulいやな):knock down打ち倒す): scared怖がって):as soon(むしろ): callいざなう ‘blige願いいれるoblige の言い間違い?):rubbed out消したprimly取りすまして):even forまさにtwilight日没後badebid の過去形;命ずるhesitatedちゅうちょする

 

 

 

[日本語訳] 今回は、中村佐喜子訳を提示してみます。

        ページ307、後ろから1行目

 

「学校はとても面白そうだよ」とデイヴィが、その夕家へもどるとマリラに話した。 「マリラはぼくがじっと座ってられないだろうと言ったけど、ほんとうにそうだったよ。―――マリラの言うことはよく当たるね。―-―それでも机の下で足を勝手に動かしていられるから、とても助かるよ。 

 

一緒に遊べる男の子が大勢居るからすばらしいや。 ぼくはミルティ・ボゥルターと並んだけど、ミルティはかわいい顔だよ。 ぼくより背が高い。でも肥ってるのはぼくの方なんだ。もっとうしろの席へいきたいんだけれどね、足が床につくようになるまでは、うしろへ行けないんだよ。

 

 ミルティが石板に、アンの顔をとってもみっともなく描いたから、アンをそんな風に描くなら休み時間にぶんなぐってやると言ったんだ。 ぼくもミルティの顔を描いて、それに角だの尻尾だのつけてやろうかと考えたけどね、感情を害したらわるいと思ってよしたよ。アンも人の感情を害するようなことはいてはいけないと言ったしさ。ほんとに感情を害することをやられるなんていやだものね。どうせ何かする必要があるなら、感情を害するより、男の子はなぐってやるほうがいいと思うんだ。 

 

ミルティはね、君なんかこわくないけど、そういうなら誰かほかの人にしてやると言ってね、すぐアンの名前を消してバーバラ・ショウと名前をかえたよ。 ミルティはバーバラが大嫌いなんだ。 いつかミルティのことを、かわいい坊やねと言って頭をなぜたからだって」

 

  ドラはすまして、あたしも学校は好きといった。でもそれにしては、いくらふだんのドラとしても、ひっそりしすぎるようだった。 やがて日が落ちたので、マリラがもう寝なさいというと、ドラはしばらくもじもじしたあげく泣きだした。  

 

 

 

 

 [三人の翻訳の比較] [at recess]をどう訳するか?

 

Milty drawed a picture of Anne on his slate and it was awful ugly and I told him if he made picture of Anne like that I’d lick him at recess.  I thought first I’d draw one of him and put horns and a tail on it, but I was afraid it would hurt his feelings, and Anne says you should never hurt anyone’s feelings.  It seems it’s dreadful to have your feelings hurt.  It’s better to knock a boy down than hurt his feelings if you MUST do something. 

 

Milty said he wasn’t scared of me but he’d just as soon call it somebody else to ‘blige me, so he rubbed out Anne’s name and printed Barbara Shaw’s under it.  Milty doesn’t like Barbara ‘cause she calls him a sweet little boy and once she patted him on his head.”

 

                    『美味しいミョウガ』今日の塗り絵・・・

 

 

MIによる逐語訳: 渾身の逐語訳です。MI: manual intelligence の略。[at recess]の訳は、ちょっと粗暴な “×▲高校” 風に訳してみました。 もし、 “昼休みに”でしたら、“at recess”ではなく “during recess”と、MIは考えました(屁理屈?)。

 

ミルティの奴がアンの顔をとっても不細工に描いたもんだから、僕、言ってやったんだ、もしアンの顔をそんな風に描くんなら、お前を陰につれこんで殴るよって。 僕、最初は思ったんだ、ミルティの顔を描いて、それに角と尻尾をつけてやろうかと、だけど、それじゃ彼の気分を害することになるし、アンも人の気分を害するのは止めなさいって言ってるし。 人の気分を害するのってとても嫌のもんだと思うしね。 だから何かを しなくちゃならならないのなら、そいつの気分を悪くさせるより、ノシてしまうほうがましなのさ

 

ミルティは、お前の事なんか怖くないけど、と言って、僕に謝る代わりにアンの名前を消して、代わりにバーバラ・ショウと書いたのさ。 ミルティはバーバラのことが好きじゃないのさ。なんでかというと、ミルティの事を “可愛いおチビちゃん” と呼び、一度なんか奴の頭を “なでなで” までしたからなんだよ」

379文字)

 

 

 

⦿中村佐喜子訳:極めて自然な翻訳。

 

ミルティが石板に、アンの顔をとってもみっともなく描いたから、アンをそんな風に描くなら休み時間にぶんなぐってやると言ったんだ。 ぼくもミルティの顔を描いて、それに角だの尻尾だのつけてやろうかと考えたけどね、感情を害したらわるいと思ってよしたよ。アンも人の感情を害するようなことはいてはいけないと言ったしさ。ほんとに感情を害することをやられるなんていやだものね。どうせ何かする必要があるなら、感情を害するより、男の子はなぐってやるほうがいいと思うんだ。 

 

ミルティはね、君なんかこわくないけど、そういうなら誰かほかの人にしてやると言ってね、すぐアンの名前を消してバーバラ・ショウと名前をかえたよ。 ミルティはバーバラが大嫌いなんだ。 いつかミルティのことを、かわいい坊やねと言って頭をなぜたからだって」

344文字)

 

 

 

松本侑子訳:ちょっと違う感じがする。

 

ミルティが石板にアンの似顔絵を描いたんだけど、みっともなかったの。アンをこんなふうに描くなら、休み時間にぶん殴ってやるって言ったんだ。 最初は、仕返しにミルテイの絵を描いて角と尻尾をつけてやれって思ったけど、そんなことをしたらミルティが傷つくでしょ。人の気持ちを傷つけてはいけませんってアンが言うからね。 ぼくも気持ちが傷つけられたらいやだもの。 だから何かしないと気がすまないときは、男の子を一発殴ればいいんだよ、心を傷つけるよりましだもん。

 

ミルティは、お前に殴られたって怖かないけど、そんならお前の気がすむように似顔絵に別の名前を書こうぜと言って、アンの名前を消して、下にバーバラ・ショーって書いたの。 ミルティはバーバラが嫌いなの。可愛い子ね、なんて言うし、前に頭をなでられたからだって」

(343文字)

 

 

 

村岡花子訳:全体にあまりにも端的(すっきり?)すぎる訳?

 

ミルティがアン姉ちゃんの顔をすごく、みっともなく石板にかいたもんで、ぼく、そんなふうに姉ちゃんをかいたりしたら、休み時間になぐってやるぞって言ったの。 ミルティの絵をかいて、それに角としっぽをつけてやろうかなと思ったんだけど、ミルテイが怒るかもしれないからやめたの。 友達を怒らせちゃいけないって姉ちゃんが言ったもん。 だから怒らせるよりなぐったほうがいいんだよ。

 

ミルティは君なんかこわかないけど、そんならだれかほかの人にしてやろうと言って、アン姉ちゃんの名前を消して、バーバラ・ショウの名を書いたの。 ミルティはバーバラを好きじゃないんだ。 ミルティのことを、かわいい坊やね、って言うし、いつかミルティの頭を撫でたことがあるんだってさ」

(314文字)

 

 

 

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[今回の場面のつづき]

《マリラがドーラを心配して訊ねます。「いったいどうしたと言うんだね?」》

 

あたし怖いの・・・二階が暗いから。一人で行くのが怖いの

いったいどうしてそんなことを言うんだい? 夏中、ずっと一人で怖がらなかったじゃないかい?」とマリラは言った。

 

アンは、まだ泣いているドーラを抱きしめて、やさしく囁いた。

姉ちゃんにすっかり話してごらんなさい?

 

どうやら今日隣に座った、年長のおねえさん、ミラベル・コットンから怖い話を聞かせられたのです: ミラベルの親戚は ばんばん死んでいき、ある叔父さんなどは死んでお墓に入れられた後にも家の周りをぐるぐる周っている。

 

あたし、その叔父さんのことがどうしても忘れられないの

 

翌日アンは休み時間にミラベルに、優しい中にも厳しく、埋葬後も歩き周る楽しい叔父さんがいるにしても、そんな風変わりな叔父さんのことを友だちや、幼い者たちに話して聞かせるのは良くないことだと、言いきかせた。 ミラベルは、コットン家には大して他人に自慢できることがないので、たいそう悔しがった。》

 

 

      友人との合作『山の上のオクラ?』

 

 [使用書籍]

1. Anne of Avonlea

英語版  Lucy Maud Montgomery (著)  形式: ペーパーバック

 

2.アンの青春 赤毛のアン・シリーズ 2 (新潮文庫) 文庫 – 2008/2/26

ルーシー・モード・モンゴメリ (著), Lucy Maud Montgomery (原名), 村岡 花子 (翻訳)

 

3.アンの青春 (文春文庫 モ 4-2) 文庫 – 2019/9/3

L・M・モンゴメリ (著), 松本 侑子 (翻訳)

 

4.アンの青春 (角川文庫) 文庫 – 2008/4/25

モンゴメリ (著), 吉野 朔実 (イラスト), 中村 佐喜子 (翻訳)