『アンの青春』訪問。 第13回目:【ヨナの日】の次の朝が、アンのもとにも律儀にやってくる。

 

朝ごとに新しい世界が始まる

(ダン・カスターの祈りから)

 

Every morning is a fresh beginning.

(朝毎に新しきことが始まる)
Every day is the world made new.

(毎日は神がつくりだす手つかずのキャンヴァス)
Today is a new day.
Today is my world made new.
I have lived all my life up to this moment, to come to this day.
This moment – this day – is as good as any moment in all eternity.
I shall make of this day – each moment of this day – a heaven on earth.
This is my day of opportunity.

(まだ手つかずの私の日よ) 

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学校から帰って来て、アンがいつまでも泣いているので、マリラが心配して部屋に来てくれます

 

あんたは、あまり物事を気にし過ぎだよ。あやまちというのは、誰にもあるものだよ。というか、世の中には “あやまちしかしない人” もいるくらいだよ。 誰とは言えないけれど。 それに比べたら・・・・

 

何の失敗もない明日という、新しい日が来るじゃないか。 明日あしたというのは明るい日と書くのね あなたとわたしの明日は明るい日ね♪♪★ 

 

 YouTube:『悲しみは駆け足でやって来る』アン真理子

 

 

 「きょう わたしがこしらえたプラムのお菓子でもお食べ。 元気がでるよ

夕食のテーブルは賑やかだった。ドーラとデイヴィは晴れやかな顔で座っているし、マリラの焼いたプラムのお菓子はまことに上手にできており、デイヴィなどは4つも平らげ、そのことはアンを大いに元気づけた。その晩は、ぐっすりねむり、朝起きてみると、一面の銀世界になっており、自分も世界も、すっかり変わっていることに気づいた

 

 

間違いなく「アサー!

 

 

[英語原文]  Page 82, line 11

 

“Every morn(朝) is a fresh beginning,

Every morn is the world made new,”

 

sang Anne, as she dressed.

 

 Owing to the snow she had to go around by the road to school and she thought it was certainly an impish coincidence that Anthony Pye should come ploughing along just as she left the Green Gables lane.  She felt as guilty as if their positions were reversed(逆転する); but to her unspeakable astonishment(驚くべき事に) Anthony not only lifted his cap . . . which he had never done before . . . but said easily,

 

  “Kind of bad walking, ain’t it?  Can I take those books for you, teacher?” 

 

  Anne surrendered her books and wondered if she could possibly be awake.  Anthony walked on in silence to the school, but when Anne took her books she smiled down at him . . . not the stereotyped “kind” smile she had so persistently assumed for his benefit but a sudden outflashing of good comradeship仲間意識.  Anthony smiled . . . no, if the truth must be told, Anthony GRINNED歯を見せて笑うback.   A grin is not generally supposed to be a respectful thing; yet Anne suddenly felt that if she had not yet won Anthony’s liking she had, somehow or other, won his respect.

 

  Mrs. Rachel Lynde came up the next Saturday and confirmed this.

  Well, Anne, I guess you’ve won over Anthony Pye, that’s what.  He says he believes you are some good after all, even if you are a girl.  Says that whipping you gave him was “just as good as a man’s

 

  “I never expect to win him by whipping him, though,” said Anne, a little mournfully悲しげに, feeling that her ideals had played her false somewhere.  “It doesn’t seem right.  I’m sure my theory of kindness can’t be wrong.”

  “No, but the Pyes are an exception to every known rule, that’s what,” declared Mrs. Rachel with conviction確信.

 

  Mr. Harrison said, “Thought you’d come to it,” when he heard it, and Jane rubbed it in rather unmercifully情け容赦もなく.

 

 :I thought you would come to it. 「どうせ そんなこったろうと思ってたよ」

 

 

 [単語・語句の意味]

morn(朝)Owing to(~のせいで): impishいたずらな;発音、イムピッシュ): coincidence偶然の一致;参考、What a coincidence! 偶然だな!):ploughing鋤き返す): lane細道):reversed(逆転する):astonishment驚くべき事に easily気楽にain’t itaren’t itのスラング。文法的にも間違っている。正しくは isn’t it “ 〜だよね?” の意味):surrendered(引き渡した):wondered〜かなと思う):awake目が覚めている): stereotyped(月並みな)assumed偽りのbenefit慈善):outflashingひらめき、 ぱっと出る発火):comradeship(仲間意識、友情;発音、コムドゥシップ):truth must be told(当り前のことが言われなければならない どうってことないGRINNED(歯を見せて笑う)supposed仮定されるrespectful敬意を表するsuddenly不意に):somehow or otherどういう訳だか、何かしら):respect(敬意)confirmed立証された): that’s what(そういうことさ):after all結局のところwhipping鞭打ち;発音、ワイピング):just as good as a man’s男並みにやれる):mournfully悲しげに):ideals理想;発音、アイィールズ): false間違った;発音、フォールス):kindness(いたわり) exception(例外) declared宣言したdeclare 発音(米語)レァ):conviction確信):Thought(思った通り):rubbedすり込む あてこする):unmercifully情け容赦もなく

 

 

 

 [日本語訳] 今回は、村岡花子訳を提示してみます。

       ページ174、1行目から

 

「朝ごとに、ものみなあらたにはじまり、

朝ごとに、世界はあたらしくなる」

 

 アンは着がえをしながらうたった。

 雪のため、アンは街道をまわって、学校へいかなければならず、ちょうどグリン・ゲイブルズの小径を出はずれたとき、アンソニー・パイが雪をかきわけてこちらへくるのが見えた。 アンは、なんという、いたずらな偶然だろうと思った。アンはまるで、二人の立場が反対であるかのような、具合のわるさをおぼえた。 ところが、口もきけないくらい、びっくりしたことには、アンソニー・パイは、いままで一度もしてみせたこともないのに、帽子をとって挨拶をしたばかりか、さも気安げに声をかけてきた。

 

「道がわるいですね。その本を持ってあげましょう、先生」

 

  アンは本をわたし、ほんとうに目がさめているのかとうたがった。 アンソニーはだまって学校まで歩いていったが、アンは本をうけとるとき、アンソニーにほほえみかけた・・・・これまで、アンソニーに見せていた形式的な、「親切そうな」微笑でなく不意にひらめきでた仲間同士という気持ちがこもっていた。 アンソニーもほほえみかえした・・・・というより、ありのままを言うなら、にやっと笑ってみせた。にやっと笑うことは、ふつうなら失礼だと思われることだが、アンは突然、自分がまだ、アンソニーの愛情は得ていないにしても、とにかく、アンソニーから尊敬の念をいだかれるようになったのを、知った。

 

  次の土曜日におとずれたレイチェル・リンド夫人が、このアンの観察をうらづけてくれた。

「アン、あんたはとうとう、アンソニー・パイを負かしたね、まったくのところ。アンソニーはね、あんたが女ではあっても、やっぱり、えらいところがあると思うと、言ってるんですよ。 そして、あんたの鞭のつかい方は男に負けないと言ってね」

 

「でもあたし、鞭で打ってアンソニーを負かそうなんて、思っていなかったわ」アンは悲しそうに言った。 自分の理想をみずから裏切った気がするのだった。「いいこととは思えないわ。親切でおしとおすというあたしの理論にまちがいがあるはずはないんだけど」

「まちがいなんかないともね。 ただ、パイの一族だけは、どんなにりっぱな規則にも、あてはまらないんですよ、まったくのところ」レイチェル夫人は確信にみちて言いきった。

 

 これをきくとハリソン氏は「そんなことになるだろうと思っていたよ」と言うし、ジェーンは情け容赦もなく、それみたことかと、くりかえし、あてつけた。

 

 

 

 [三人の翻訳の比較] 

 

 “Kind of bad walking, ain’t it?  Can I take those books for you, teacher?”

 

  Anne surrendered her books and wondered if she could possibly be awake.  Anthony walked on in silence to the school, but when Anne took her books she smiled down at him . . . not the stereotyped “kind” smile she had so persistently assumed for his benefit but a sudden outflashing of good comradeship.  Anthony smiled . . . no, if the truth must be told, Anthony GRNNED back.  A grin is not generally supposed to be a respectful thing; yet Anne suddenly felt that if she had not yet won Anthony’s liking she had, somehow or other, won his respect.

 

 

 

MIによる逐語訳:参考訳   (MI; manual intelligence)

 

「足もとが悪いでしょ? 先生、その本、僕が持とうか?」

 

 アンは本を渡し、自分が夢でも見ているのかといぶかった。アンソニーは黙って学校まで歩き、アンが本を受け取る際に彼に微笑みかけた―――それは、彼の善行に対する通り一遍の儀礼的な“笑顔”ではなく、自身の中に突然湧き上がってきた友情とも呼べる何かのためだった。 アンソニーは、“いいえ、何てことないですよ” とでも言うように微笑み返し。ニャと笑ったアンソニーの行為は、とても敬意に満ちたと言えるようなしろものではなかったが、アンには、自分がアンソニーの好意を得るまでには至らないまでも、何かしらの敬意を勝ち得たことを不意に感じた。

288文字)

 

YouTube: 微笑み返し」キャンディーズ

  

⦿村岡花子訳:「すばらしい!」

 

「道がわるいですね。その本を持ってあげましょう、先生」

 

 アンは本をわたし、ほんとうに目がさめているのかとうたがった。 アンソニーはだまって学校まで歩いていったが、アンは本をうけとるとき、アンソニーにほほえみかけた・・・・これまで、アンソニーに見せていた形式的な、「親切そうな」微笑でなく不意にひらめきでた仲間同士という気持ちがこもっていた。 アンソニーもほほえみかえした・・・・というより、ありのままを言うなら、にやっと笑ってみせた。にやっと笑うことは、ふつうなら失礼だと思われることだが、アンは突然、自分がまだ、アンソニーの愛情は得ていないにしても、とにかく、アンソニーから尊敬の念をいだかれるようになったのを、知った。

(281文字)

 

 

 

中村佐喜子訳:丁寧な翻訳。

 

「ずいぶん歩きにくいですね? その本を持ちましょうか、先生」

 

 アンは本の荷物をわたしながら、夢ではないかとうたがった。 アンソニイはそれから学校まで黙って歩いてきたが、アンは本をうけとるとき、彼へほほえんだ。 これまで彼へ無理にもつづけてきた形だけの親切なものではなく、思わず知らずにわき上がった仲間同士のほほえみだった。 アンソニイもほほえみかえした。――いや、ありのままを言えば、にたりとしたのだ。にたりとするなど決して感心したものではないにしろ、でもこのときアンはふと感じることができた。あたしはまだアンソニイの愛情を得るまでにならないとしても、どうやら多少尊敬をうけたらしいと。

288文字)

 

 

 

 松本侑子訳:非常に素晴らしい訳だと思う。

 

「歩きにくいですね。先生、本を持ってあげましょう」

 

 アンは本をわたしながら、寝ぼけて夢でもみているのかと思った。 アンソニーは黙々と雪道を歩いていく。 学校について本を受けとるとき、アンは彼にほほえみかけた―――それは、彼の気をひこうと今までアンが装い続けてきた、ありきたいな「作り笑い」ではなかった。むしろ彼とは良い仲間同士という意識が、突然、ひらめいたのだ。 アンソニーも笑いかえした―――いや、正しくはにやりとした。にやりとするなぞ、普通なら失礼かもしれない。しかしアンはその場で察したのだ。 アンソニーの好意はまだ得られないにしても、どういうわけか、尊敬は勝ち得たことを。

285文字)

 

 

 

 [使用書籍]

1. Anne of Avonlea ペーパーバック – 2024/3/25

英語版  Lucy Maud Montgomery (著)

 

2.アンの青春 赤毛のアン・シリーズ 2 (新潮文庫) 文庫 – 2008/2/26

ルーシー・モード・モンゴメリ (著), Lucy Maud Montgomery (原名), 村岡 花子 (翻訳)

 

3.アンの青春 (文春文庫 モ 4-2) 文庫 – 2019/9/3

L・M・モンゴメリ (著), 松本 侑子 (翻訳)

 

4.アンの青春 (角川文庫) 文庫 – 2008/4/25

モンゴメリ (著), 吉野 朔実 (イラスト), 中村 佐喜子 (翻訳)