『赤毛のアン』再訪。 第5回目です。 マシュー、女の子を ひきとる気まんまん!

 

マリラは、手違いで連れてこられた女の子を返そうと考えているのですが。驚くことに、マシューのほうは、引きとる気がまんまんです。

 

 

[英語原文]  page 40, line 8

 

   ‘Well now, no, I suppose not – not exactly, ’ stammered Matthew, uncomfortably driven into a corner for his precise meaning.  ‘I suppose – we could hardly be expected to keep her.’

 

‘I should say not. What good would she be to us?’

‘We might be some good to her,’ said Matthew suddenly and unexpectedly.

 

‘Matthew Cuthbert, I believe that child has bewitched you!  I can see as plain as plain that you want to keep her.’

 

‘Well now, she’s a real interesting little thing, persisted Matthew.  You should have heard her talk coming from the station.’

 

‘Oh, she can talk fast enough. I saw that at once. It’s nothing in her favour, either.  I don’t like children who have so much to say.  I don’t want an orphan girl, and if I did she isn’t the style I’d pick out

 

There’s something I don’t understand about her.  No, she’s got to be dispatched straightway back to where she came from. ’        

 

 

 

単語意味:

suppose(思うに):stammered(口ごもる):driven into a corner(追いつめられる:ボクシング?):precise meaning(正確な意味):some good(何か役に立つ):bewitched(魅了する):as plain as(極めて明白):little thing(子ども):favour(有利な条件、好意):either(また同時に: 肯定文ではtoo;否定文ではeitherを使います):so much to say(すごいおしゃべり) :orphan(孤児):if I did(もし、引きとるにしても):I’d pick out(would pick out, 選ぶ): dispatched(派遣する、送る):dispatched~ back〈送り返す〉

 

 

 

[日本語訳] 今回は、村岡花子訳より。ページ55、2行目

 

 「そうさな、いや、そんなわけでもないが・・・・」問い詰められて困ってしまったマシュウは口ごもった。「わしは思うに・・・・わしらには、あの子を、置いとけまいな」

「置いとけませんね。あの子がわたしらに、なんの役にたつというんですか?」

 

「わしらのほうであの子に何か役にたつかもしれんよ」突然マシュウは思いがけないことを言いだした。

 

「マシュウ、きっとあの子に魔法でもかけられたんだね。あんたが、あの子を置きたがっていることが、ちゃんと顔に書いてありますよ」

 

「そうさな、あの子はほんとうに面白い子どもだよ」マシュウは なおも主張した。停車場からくる道で話したことを、お前にも聞かせたかったよ」

 

「まったく、よくもああ、しゃべれるものだ。一目でわたしにゃ、それがわかりましたよ。 ちょっともとりえにゃなりませんね。 わたしは、あんなにしゃべる子は好きませんよ。孤児院の女の子なんかほしくないし、たとえ、ほしいといっても、わたしが望むのはあんな子じゃありませんよ。 

 

なにか、えたいの知れないところがあるしね。そうですとも、すぐに、もとの所へ返さなくちゃならない」

 

 

 

:三人の翻訳の違い;

 

1. ‘Oh, she can talk fast enough.  I saw that at once. It’s nothing in her faver, either.  I don’t like children who have so much to say. ・・・・’  について。

 

◎ 村岡:

「まったく、よくもああ、しゃべれるものだ。一目でわたしにゃ、それがわかりましたよ。ちょっとも、とりえにゃなりませんね。 わたしはあんなにしゃべる子は好きませんよ。・・・・」 

 

○中村:

「そりゃァよくしゃべりますよ。いっぺんでわたしにはわかりましたよ。そんなこと、なんのねうちになるものですか。わたしは、おしゃべりな子はきらいですね。・・・・」

 

△松本:

「ええ、本当にあの子はおしゃべりですね、すぐ分かりましたよ。でも、そんなことは少しもあの子の得にならないし、私はうるさい子どもが嫌いですからね。・・・・」      

 

 

 

2.「・・・・There’s something I don’t understand about her.  No, she’s got to be dispatched straightway back to where she came from. ’

 

◎村岡:

「・・・・なにか、えたいの知れないところがあるしね。そうですとも、すぐに、もとの所へ返さなくちゃならない」

 

○松本:

「・・・・どこか得体が知れないしまっすぐに孤児院へ送りかえすべきです」

 

△中村:

「・・・・何やら正体の知れないところもあるし、そうですよ、あれはさっさとおくり返すことですよ」

 

二か所とも、優劣の評価が分かれるような気がします。ただ、トータルとして村岡さんが優れていると思いました。

 

 

  「わしらのほうであの子に何か役にたつかもしれんよ」

 

 

[参考書籍]

1.Anne of Green Gables (Puffin Classics) ペーパーバックイラスト付き, 2008/9/11

英語版  L. M. Montgomery ()

 

2.赤毛のアン 赤毛のアン・シリーズ 1 (新潮文庫文庫 – 2008/2/26

ルーシー・モード・モンゴメリ (), 村岡花子(訳)

 

3.赤毛のアン (文春文庫  4-1) 文庫 – 2019/7/10

LM・モンゴメリ (), 松本 侑子 (翻訳)

 

4.赤毛のアン (角川文庫文庫 – 1957/11/30

モンゴメリ (), Lucy Maud Montgomery (原名)

中村佐喜子(翻訳)