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男道 〜鈴木康之物語〜

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こんな俺にも愛する女性がいる。
それが今の女房だ。
彼女とは中学の頃からのつきあいだから俺の事は何でも知ってる。
もちろん「悪い事」をしてお堀に入れられた事もだ。
そして男としてのケジメをつけるためまだ若かったけど結婚しようと決めた。
やっぱり普通の女性ではこんな俺とまともに生活しようなんて人間は世界中探しても彼女しかいないからね。
そんなある日ふと思ったんだよ。
「なんかダラダラと普通の結婚式はやりたくねェなァ」と。
そこで当時中町に佐藤三郎の店があって彼に相談しに行ったんだ。
あの店は地元の音楽愛好家の溜まり場みたいなとこで今のビュープラザの向かいにあった。
苦いコーヒーを飲んでると佐藤三郎がやって来た。「どうしたんだい?」
俺は女房と結婚する旨を伝えそれだけじゃなく何か世の中の為になる事を残したいと伝えた。
その時紹介されたのがまだデビューしたてのCOOLS。
「こいつらカッコいいROCKやってるんだけどあんたらと同じ暴走族なんだ。彼らのコンサートを企画しないか?今なら勢いあるし相当盛り上がるぞ」
 
俺は「また不良ミュージシャンの面倒みなきゃいけないのか」と思った。何故ならワンステップフェスティバルで散々嫌な思いをしたからだ。
もっとも自分も不良ミュージシャンなんだが。
 
それから数日して「暴力教室」と言う映画を見た。松田優作主演でその頃流行ってた学園モノ。よくある不良と若い熱血漢先生との熱い物語。
そこで初めて舘ひろし  
そう俺の親友にして最高の男ボスと出会ったのである。
正直言えば演技は大根だし歌も上手とは言えない。そんな感じだったのにとてつもないオーラを感じた。
なんと言うか本物の男だけが出せる匂いみたいなものがスクリーンから漂っていた。
 
「よし決めた COOLSを呼ぼう!」
佐藤三郎にそういうとトントン拍子で話が決まった。
ただし普通のコンサートじゃない。チャリティーだ。
日ごろ暴走族って言うのは世間に大なり小なり迷惑をかけてるし「暴走族=悪い人」のレッテルを張られてる。それはトップである自分が一番感じている
事でもあった。
「たまには良い事やろうじゃないか」
仲間にそう伝えると皆賛同してくれた。
売上は交通安全のために使ってくれと郡山の社会福祉協議会に寄付した。
それを聞いた警察がやれ表彰状だ感謝状と煩かったけどあいつらの手柄になるのは分かってたから全部断ってやったよ。
 
コンサートは今はなき「郡山セントラルホール」プロレスの興行にも使われた広い会場だ。
チケットは完売。若い衆が頑張って売ってくれた。
俺達は駅までメンバー迎えに行く。
すると車に乗ったボスは開口一番「ここの頭は誰なんだい?」
まさか同じ車に乗って迎えに来てるとは思わなかったんだろう。
後日分かった事だがボスは相当俺の事を警戒してたらしい。
と言うのもワンステップの時、矢沢をボコボコにした事もあって周りから「気をつけろ。ヤバいから」と随分聞かされたらしい。そのせいか事務所やレコード会社など
何だかやたら取り巻きが多かったのを覚えている。
俺は俺で映画は見てたので正直あまりのカッコよさにと少々緊張していた。

「私が今回の責任者の鈴木です」

そしてこのコンサートがチャリティーである事や趣旨を説明。
すると急速に俺に興味を持ってくれたのが分かった。
 
コンサートは大盛況に終わりボスは満足そうだった。
それ以来COOLSのコンサートを郡山で10回。仙台でも2回主催した。
仙台でさえ満員にしたので当時のプロモーターが目を丸くしてたよ。「我々でもこんなに入れられません」と。当たり前だよ。こっちは東北連合だ!結束力が違うんだよ。
 
ボスに会うのは毎回楽しみだった。
何度か会ううちに気ごころが知れて来てお互いの夢やいろいろな相談をする事もあった。
「俺はいつか総理大臣になりたいんだよ」
 
そんなある日の事
ボスがCOOLSを脱退する事が公になった。
マスコミは自分で結成してリーダーでもあるのに無責任だとの非難した。
 
 
ボスの最後のライブ
中野サンプラザ
ボスだけが楽屋が別だった。
それでも開演前という事もあるのだろういつもと同じように談笑していたがふと2人だけの瞬間になった時、急に顔を曇らせ俺との目線を逸らした。
そして立ち上がりボソっとこう呟いた。
「なぁ鈴木・・・ 頭ってのは・・・ さみしいな」
あの時のボスの顔は今まで見た事もない悲しい顔をしていた。
 
ボスがCOOLSを抜ける!
この話を聞いた時「あーきっと一海と秀光のせいだ」とわかった。
女と金の無心だったうえにあいつらの窃盗問題の時、数百万のお金を肩代わりしてケツ拭いたのはボスだった。
もうそんな奴等の面倒に疲れたんだろう。
俺はそう思った。
 
 
脱退後のボスの活躍はご承知の通り。
役者として大成功。日本を代表するは俳優になった。
同時に少しずつ縁遠くなっていった。
それは住んでる世界が違うこと。
そして病気してしまった今の自分をボスに見せたくない。
そんな想いからだった。
ボスが俺をどう思ってたかは知るすべはないがお互いあの当時は所謂「ツッパっていて」カッコいい生き方をしていた。
だからこそボスにはそのイメージのままで残しておきたかった。
 
正直に言えば何度かボスに会いたいとは思った。
でも芸能人になったボスに会う事は出来ない。
俺なりの仁義でありボスへの愛情表現だった。
 
そんなボスから連絡が入る。
 
会いたいと。
誕生日会をやるからと。
しかもピッピも含めたCOOLSのメンバー(問題のある奴は呼ばれなかったが)とこの俺だけ!
 
「鈴木 俺は新幹線で郡山を通過する度にどうしてるかな?と切なくなってるんだよ」
 
本当に身内だけのボスの誕生会。
 
 
俺に断る理由がなくなった。
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