いつの間にか
2人の周りに人が集まって来た。
しかしその只ならぬ雰囲気・威圧感に止めに入るどころか俺達に何も言えないでいる。
それでも俺とピッピは目と目を合わせたまま動かない。
「ヤッシー これはいったいどういう事なんだよ? 目の前でライブ前のメンバーがボコボコにされて黙って
られるかよ!説明してくれよヤッシー!」
ピッピが怒るのは無理もない。後から来たわけだし状況を知らない。
ただ後から聞いた話だが「きっと村山が何かしでかしたなと思った」。そう思いながら俺と対峙していたわけだ。
「約束してくれ!」
元々大声の俺だがあの
時は特に
大きな声を出し張り上げるように叫んでいた。
「何をだ!」
「いいから約束するって言ってくれ!」
「わかった。わかったから。約束するから教えてくれ。何があったんだよ」
俺はピッピに諭すように言った。
「その前に約束して欲しいんだ。俺はここ東北での事ならどんな事があってもあんたを守ってやれる。どんな連中だろうとあんたに指一本触れさせない。
でも東北以外で同じような事があったら・・・ あんたの性格上仲間がやられたら訳もわかんねェで今みたいに止めに行くだろう。それをやめて欲しいんだ。
俺の知らないところで、俺の知らない街で助けに入って刺されて死んだって・・・ 俺は守ってやれない。その時、俺はその怒りをどうすればいいんだ?なぁどぉすればいいんだよ!」
俺の張り裂けるような叫び声がレストランの駐車場に響く。
ピッピは空を見上げながら何かを我慢してるように見えた。
「なぁピッピ。あんな奴の為に仲裁なんかしないでくれ」
そして俺はタクシーの中での出来事を話した。
「いくら何でも酷い話だろ?レストラン貸し切ってゆっくりしてもらおうとした俺達の気持ちを面倒くせ~って。誰でもキレるよ」
ピッピはすぐに謝ってくれた。
そして何か月もかけて俺達が準備しこの日をどれだけの想いで迎えたかも理解してくれた。
今も会うとたまにこの話になる。
「実は村山にはずっと頭に来てて正直ざまーみろって思ったんだよ」
そう言って笑うピッピ。
以来この一件もあってか俺とピッピの関係は益々深まっていった。そうまるで兄弟の契を交わしたかのように。
ボスの舘ひろしが脱退した後ピッピも暫くしてCOOLSを離れた。
「本来であればボスが抜けた時に解散すべきバンドだったんだよ」
それでも今もなおCOOLSは存在しているが私はあれをCOOLSとは思っていない。COOLSモドキだ。
そもそもメンバーを平気で裏切り、パチンコ屋の景品を盗むような奴等だ。信頼関係など皆無だと思う。
ようするに今のCOOLSは生活のためのバンド。食うため金のためにCOOLSを装ってるに過ぎない。
俺がピッピに惚れているのは今もなお彼だけがROCKしてるというところ。
自分のバンドを従いCDをリリースしツアーも行う。最もロックミュージシャンしてるのはピッピこと水口晴幸しかいない。
願わくばボスが俳優として成功したようにピッピにはROCKで大成してもらいたい。
さてそろそろボスの事を書こうか。
実はつい先日ボスに会ったばかりなんだよ。
