ど…どうしよう。まさか…なんで…。絶対ばれない様にしてきたのに…。
背中に先生を感じながらも身動きが取れない。否定しなきゃ…。
ここで振り返って動揺したら認めたことになってしまう。
その時先生の手が方に触れた。ふうっと深く深呼吸が聴こえる。
「なぁ、どうやってミカちゃんを落としたんだよ!」
「昨日二人で仲良くチョコレート買に行ったんだろ!!見たヤツがいるんだよ」
え??? ミカちゃん???
なんだ―――ヨカッタ…。先生とのことがバレたんじゃなかった。一気に身体が脱力した。
「チャイム鳴ってますよ。話はあとで聞くとして早く席に戻りなさい」
ポンッと背中を弾かれ席に戻るよう促された。
ミカちゃんとのことはどうにでも弁解が出来る。
この騒ぎが本当に先生とのことじゃなくてヨカッタと安堵したのもつかの間、教卓のからこちらを見る先生の顔に一切の笑顔がない。
険しく厳しい視線を向けている。
先生…怒ってる?誤解している?
周りの奴らもはしゃぎ過ぎたと重たい空気に押しつぶされるよう俯いていた。
「柴山君…この事に関してはあとで詳しく話を聞かせてもらいます。いいですね」
事務的で突き刺すような口調に愛情なんて微塵も感じられない。早く誤解を解きたい。ただそればかりを考えていた。
ミカちゃんとのことは、相葉が助け舟を出してくれたので、大した問題にならずに済んだ。
問題は先生……。今日は時間割が全く合わない日。
今朝、顔を見たきり一度も会うことなく放課後になってしまった。
昼休みに一度先生当てにメールを送ったが返信メールも着信も履歴無し。
教室に居れば先生に会えるのじゃないかと今日の5時半締め切りの課題を手こずるふりして残っていた。
ここ数日天気がすぐれず灰色だった窓の外も、今日は日中気温も上がり3月中旬並みの気温だった。とは言え、日が傾き始めるとじっと座っている身には気温差が堪えはじめる。
指先が思うように動かなくなって、こすり合わせて息を吹きかける回数が増える。
鞄の中から昨日買ったチョコレートの箱を取り出すと試食で味わった香りが口いっぱいに蘇ってきた。
俺は箱を握りしめ窓際へ席を移した。
窓の外の桜が無言で立ち尽くす姿が自分を見ているようで急に寂寥感が込み上げる。
目の前にはあのオレンジが広がっているというのに教室の中まで満たされない。
単に日照角度の問題だって言われればそれまでなのだけど、こんな事までもが俺の気持ちに揺さぶりをかける。
待ってても仕方ない探しに行こう―――
そう思った時携帯が震えメールの受信を知らせてきた。
―――どこにいるの?
やっと繋がった…。
たったそれだけの言葉なのに胸の奥が熱くなる。
俺は慌てて返信を送るのが早いか否かのタイミングで「やっぱりここか」と先生の声が届いた。
「あ…。俺…今メール見て……送ったところで…」
「見たよ」
気のせいか声が苛立って聞える。もしかして、まだ誤解しているの?
首元に手をかけネクタイを緩めながら距離を縮めてくる。
その仕草が先生から男へとスイッチされ身体の奥の方が居心地悪く感じる。俺が同じことをしても出すことのできない色香が煽りたてて直視できない。
先生からタバコと体臭で変化した、朝とは違う匂いが感じられるほど二人の間が詰まる。
身体ごと全部預けてしまいたくなる衝動に駆られるほど、先生の匂いは甘い。だから困る。
「ミカちゃんの事…怒ってる?」
顔を上げられず、胸元で尋ねる。
「みもりから全部聞いたよ。怒ってない…今はね」
ヨカッタ……。ホッとしたら急に目頭が熱くなって込み上げるものを止めることが出来なくなった。先生の指が優しく口元に触れてゆっくり引き上げられ視線を重ね合わせた。
「バ…バレンタインのチョコなんだけど…先生に食べてもらいたくって」
「それは楽しみだね…。でもチョコも嬉しいケドもっと刺激的な事とか…」
そう言うとオレンジに染まる瞳に吸い込まれるよう引き寄せられ唇を塞がれた。いとも簡単に先生の舌先が割り込んでくる。
あっ―――――ダメ…
今朝の事が頭を過ぎった。
「せんせぇ…ここじゃダメ。俺…朝すごく怖かった…。先生とのことバレたと思って…この先どうしようって…」
堪えていた涙がボロボロと頬をつたう。その雫を受け止める先生の手が優しくて心地いい。
「ごめん…軽率だったね」
離れた手が恋しくて、駄々をこねる小さな子供のように乞う。
「先生…。これから先生んち行ったらダメ?」
「ダメじゃないよ…。最初から連れて帰るつもりだったから…」
「ここじゃぁお代官様につかまっちゃうかもよ?」
「大丈夫だと思うけどね…。優哉がそう言うなら捕まらないところに行こうか?」
ついていくって人は挙手をしてwこちらへどうぞ!
→『誰彼発恋 ~たそがれはつこい』バレンタインver.3
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素敵なバレンタインをお過ごしくださいね♡
今日一日愛をささやく言葉のシャワーに包まれますように(*˘︶˘*).。.:*♡
最後まで読んでくれてありがと

ただただ甘いだけでしかないアッチも読んでくれてありがとうね

