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皆さんは、映画にもなった、有名俳優の織田裕二主演の「踊る大捜査線」という警察・刑事関係の作品はご存知でしょうか。


私は、かなり前に、弟から
【兄貴はあれだな、「踊る大捜査線」で例えるなら、新城(賢太郎)<筧利夫が演じていた役>の仮面を被った、室井(慎次)<柳葉敏郎が演じていた役>みたいな奴だな】
と言われたことがあったことが契機となって、その後に実際にその作品を観てみましたが、思わず苦笑してしまいましたね。
ある意味、映画「グッドウィルハンティング」よりも興味深かったというか面白かったです。

ただ、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」の最後の場面で、病院でリハビリをしていた青嶋刑事が室井管理官のことにも言及した上で「ここに見舞いに来る暇があったら、もっともっと偉くなって・出世する努力をしろ、と言って蹴って追い返してやる」という趣旨のことまでも看護師さんに話していたのを室井管理官が目撃して、室井管理管が慌ててその場を立ち去るシーンがありましたが…
私見としては、その場面では別に室井管理官は立ち去る必要はなかったと思いますね。室井管理官が青嶋刑事を見舞う時間を費やしたところで、室井管理官の出世の可能性・偉くなる可能性が阻害されるとはあまり思われませんし、むしろ、自分の部下や後輩の立場の者を見舞うことは人間の心情としては至極自然な行為と思われるからです。
私が室井管理官の立場ならば、青嶋刑事にその場で、プロレスラーの「中邑真輔」や「真壁刀義」やスクールウォーズの「大木大介」チックに即刻言ってやりますよ、
【おい青嶋刑事、そうやってセカセカした考え方に捕らわれてるから、現場で刺されるようなことまでされるんだろうよ。もっと精神的に余裕をもって、もっと俯瞰的に物事をみるようにしろよ。一生懸命にリハビリするのも結構だが、病室のベッドでミヒャエル・エンデの「モモ」でも読んで時間観念論や人間の心理などを自分なりにもっと勉強したらどうなんだコノヤロー】
【オマエさぁ、「俺の見舞い」と「俺が出世して偉くなる可能性が阻害されること」との間に一体どれだけの関連性があるわけ?憲法で例えるならば、「合理的関連性」すらないだろ。しかも、俺を蹴った時点で少なくとも「暴行罪」(刑法207条)が成立するぞ、現職の警察官がそんな体たらくでいいのか? 病室のベッドでミヒャエル・エンデの「モモ」と一緒に憲法や刑法関連の気のきいた分かりやすそうな書籍でも併読しろコノヤロー】
みたいな感じでね。

というのは、私は学士編入前の大学において、第二外国語としてドイツ語を履修していた際に、ミヒャエル・エンデ作の童話「モモ」という作品の原文を訳させられたことがありました。
その作品が示唆していたのは、
【人間の生活から「無駄」な時間を排除してしまうと、人間の生活そのものや人間の心までもが窮屈になってしまう】
ということでした。
つまり、「無用の用」というワードも存在するように、人間の日常生活には無駄な時間があっても差し支えないというか、そういう時間を残してある程度「ゆとり」を持たせる方が、肉体的な疲労管理のみならず精神衛生的な見地からも望ましい、という立論も可能なんですね。
簿記や財務諸表論や会社法で例えるならば、「剰余金」みたいなものかと(「剰余金」は、いざとなったときの「クッション」のような機能を果たすことについては異論がないわけですし)。

私見としては、青嶋刑事みたいに「~する暇があったら」みたいなフレーズを軽々しく持ち出して他人に説教等をする手合いは、得てして、上記のような視点が欠けていることが多いように思われます。
(もちろん、そのこととは別のことをすることが相当と思われる状況であるのが客観的にみて明らかである場合は話は別でしょうが)


ちなみに、
「合理的関連性」とは、憲法においてある規制の合憲性を検討する際にたまに用いられる基準で、ある規制が行われる「目的」と、その規制の目的を達成するための「手段」との間に、社会通念上、あながち不合理とは思われない程度の関連性をいいます。
この判断基準を本件について借用してあてはめると、室井管理官が青島刑事を見舞う時間を費やすことによって、室井管理官が出世して偉くなる可能性が阻害される程度に本来やるべきことをやれなくなることは、社会通念上、不合理ではないかと思われます(警察関係の組織の幹部に対して、民間の会社で営業関係や研究開発関係の部署等においてバリバリ勤務している方々程に一分一秒を争わざるを得なくなるほどの業績評価がなされているとはまず思われないですし)。それゆえに、「室井管理官の見舞い」と「室井管理官が出世して偉くなる可能性が阻害されること」との間には合理的関連性は認められないと考えます。


余談になりますが、
映画「踊る大捜査線THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間」で、新城管理官が「学生時代、死ぬほど勉強しておいてよかった」と室井管理官に対してボソッと言っていたシーンがありましたが…
私が室井管理官の立場ならば、プロレスラーの「中邑真輔」や「真壁刀義」やスクールウォーズの「大木大介」や日本テレビの「イマイ」さんチックに、
【だから、どうりでそんなに人間性が妙に片端で歪んでるわけですか。大層な御身分ですね、お気の毒に。むしろ、勉強しすぎてノイローゼになる等して死んでしまった方がもっとよかったかもしれませんよ。】
などと皮肉をたれたがるタチですね(こういうタチだから、特に体育会系の人間や3年B組金八先生第五シリーズの「兼末健次郎」みたいな妙に底意地の悪いタイプには好かれない・相性が悪いんでしょうけども)。
私見としては、そういう場面で妙な形で自分の自慢みたいなことをする必要は全くないし、頼まれもしないのにそういうことまでするのはむしろ「ダサい」んですよ。むしろ、「上層部からの御命令もあって、この事件は室井管理官にお任せします。日頃の室井管理官の腕前や長所を存分に発揮されてください」みたいな感じで、サラリと激励するのが同僚としてはスマートかつ妥当ではないですかね。